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【青くて痛くて脆い】成長とは?正義とは?理想とは?対話による相互理解の重要性

「君の膵臓をたべたい」でおなじみ、「青春の痛み」を描かせたら右に出る者はいない(アヤ調べ😝)住野よるさんによる青春小説!

今年6/12には文庫版も出ています。(角川文庫)

※本記事では、核心に迫るネタバレは避けておりますが、ある程度ストーリーにも言及しています。気になる方は、原作や映画をご覧になってから本記事をお読みください。なお、ネタバレにつながるコメントは控えていただきますようご配慮をお願いします🙇‍♀️

☆あらすじ

人に不用意に近づきすぎない、人の意見に反する意見はできるだけ口にしない、この2つを信条にしていた大学1年の男子学生、田端楓(たばたかえで)は同学年の秋好寿乃(あきよしひさの)に出会います。授業中に質問という形で堂々と理想論を語る青くて痛い彼女は周囲から浮いていて、けれど誰よりもまっすぐでした。ふとしたきっかけから田端楓は秋好寿乃の理想と情熱にふれて、2人で秘密結社「モアイ」をつくります。

それから3年が経ち、あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういません。そして、田端もモアイとの関わりはなくなっていました。たった2人の秘密結社だったモアイは、今ではリーダーのヒロや幹部のテンなどが運営する、大学の内外で有名な巨大組織になっていました。理想を追うことを止め、すっかり世俗的になり腐敗しきったモアイ。すべてを諦めていた田端でしたが、しかし自らの就職活動をきっかけにして、あの頃のモアイと自分を取り戻そうと何人かの力を借りながらモアイとの闘いを開始するのです。果たして田端のこの行動は、どんな結末を迎えるのでしょうか?

☆これでもかと抉り出される青春の痛さと脆さ

人との距離感を測り損なって傷つけたり傷ついたり、夢を追うつもりだったのにいつの間にか金か夢かわからない暮らしになっていたり、そういう経験って誰にもあると思います。

そんな青春の痛さと脆さが、とてもよく描かれています。タイトルのつけ方も秀逸だと思います。まさに、青くて痛くて脆い物語です。

肩出し女の子

☆見事な構成

この小説は、大学4年生現在、巨大組織となったモアイと闘うパートがメインで進行していきますが、冒頭や要所要所で回想シーンとして、かつてのモアイや田端と秋好との交流に関する描写が挟まっています。

この構成が、物語上実に効果的に展開していきます。

主人公は田端なので、基本的には田端の目線や思考で本文は描かれています。

しかし、間に挟まる回想シーン、そして登場人物のセリフなどでは、当然ですがその人物の目線で物事が語られます。

読み進めていくうちに察しの良い読者は、ちょっとした違和感というか、「おや?」と思いながら読んでいくことになるでしょう。

読み返してみると、伏線や態(ワザ)とミスリードを誘うような描写にも気づくことができて、また違う趣を味わうことができます。

☆変わるのはいけないことか?「成長」と「正義」

物語の後半、まさにクライマックスで、ついに田端はモアイの現リーダー、ヒロと直接対決をすることになります。

ここが最高に青くて痛くて脆い。

一方は変化を「世俗化・腐敗」と捉え、もう一方は変化を目的の実現に必要な「成長」だと考えている、と私は受け止めました。

私は、どちらかと言えば「ヒロ」のほうに共感を覚えましたが、皆さんはいかがだったでしょうか。

いずれにせよ、人はみな異なる正義感の尺度を持っていると思います。

田端とヒロは、国家間に擬えるならば「戦争」になってしまいました。

もっと早く対話をして相互理解を促進できていれば、あるいはもっと違った結末もあり得たのかもしれません。

誰も傷つけたくない、誰にも傷つけられたくないとただ只管(ひたすら)に願い、人に不用意に近づきすぎず、人の意見に反する意見はできるだけ口にしないということを生きる上でのテーマとして心がけてきた田端が、そのことでかえってテーマに反する結果となってしまう展開は、最高に皮肉が利いています。

これは現実も同じだと思います。個人間でも国家間でも、ときには意見を主張し合うような対話による相互理解が重要であると考えます。

エモい秋の女の子

☆男女間の友情は成立するか?

住野よるさんという作家は、ペンネームは女性っぽい感じもありますが、男性作家です。このことは作品を、特に「君の膵臓をたべたい」や「青くて痛くて脆い」を読めばすぐにわかると思います。チョイチョイ挟まるエロネタや下世話なトークは明らかに男性目線のそれです笑😝

🍓あまりモテない男性の、女性や恋愛に対して抱きがちな妄想や願望

を描かせたら超一流だと思います(disってません!褒めてます!😝)。

かわいいは正義

その妄想や願望が前面に出ていたのが恋愛小説である「君の膵臓をたべたい」だとするならば、「青くて痛くて脆い」のほうでは、隠しテーマとして描かれているという感じを私は持ちました。

古来より、女性は男性を友人だと思える、つまり「男女間の友情は成立する」と考えがちなのに対し、男性はどうもそうではないようです(アヤ調べ😝)。この差異が、ときに悲劇を生むことがあります。「青くて痛くて脆い」に描かれているできごとも、そういう視点から捉えることもできるのではないでしょうか。

換言すれば、男女の性差こそが、「青くて痛くて脆い」事態の一因になることも多いのではないでしょうか。現実においても、フィクションにおいても。

☆おわりに 自分らしく生きる

私は本書を読んで、本当の意味で「自分らしく生きる」とはどういうことなのかを考えさせられた気がします。自分勝手でもいけないし、遠慮し過ぎてもいけない。アサーティブな生き方をする必要があると。

人間が「青くて痛くて脆い」存在であるならば、対話による相互理解を心がけて寄り添い合って生きていくべきだと、そう感じました。


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