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2023年1月の記事一覧

最近読んだ本(志賀直哉、坂口安吾、叶恭子)

最近読んだ本(志賀直哉、坂口安吾、叶恭子)

娘が学校の図書館で借りてきました。志賀直哉の集英社の文庫です。

この中では、「網走まで」「范の犯罪」が良かったですね。以前読んだ文庫(多分岩波文庫かなあ?)に収録されていた夫婦の生活を描いた三部作みたいな短編が素敵だったなと思い出しました。タイトルもなんにも覚えてないんですけども……。

この文庫には13の短編が収録されていますが、ひとつひとつの作品が、個人の好みで評価がはっきり分かれるだろうな

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読書感想 中島敦 山月記 

読書感想 中島敦 山月記 

有名な「山月記」。初めて読みました。
難しかったけど、とても良かったです。
優秀な役人が、役人を辞め詩人になって名声を得ようとしますが、生活は困窮する一方となり、ついにはトラになり果てる話です。
(間違ってたらごめんなさい…)

以前投稿した叉吉直樹さんの書籍
「第二図書係補佐」のなかで「山月記」が紹介されていて、その文章がすごく素敵だったのを覚えています。
叉吉さんが虎になりかけた話です(ホント

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読書感想 中島敦 李陵

読書感想 中島敦 李陵

娘が文庫本を買ってきました。
角川文庫、「李陵、山月記、弟子、名人伝」です。

中学生なのにシブくない……?

娘が文豪に興味をもっているのはどうやら「文豪ストレイドッグス」とやらの影響らしいです。

そして、やはり娘が読むよりも先に私が読んでしまうのでした……。

中島敦、実は初めて読みました。
とても難しかったですが、すごーーく良かったです。読み終わるのにいつもの5倍は時間がかかりましたが。笑

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ヴィクトール・フランクル 夜と霧⑤

ヴィクトール・フランクル 夜と霧⑤

夜と霧の続きです。
書きたい事はもっとたくさんありますが、とりあえず今回で終わりにしたいと思います。

比較的最近、惹かれた部分です。

➀で、フランクルは奇跡の連続で生き残ったと書きました。

収容所では生き残るためにすぐさま決断を下ださなくてはならない場面が多々あったそうです。それは予告もなくやってきて、ほんの数分で生死を分けることもあったそうです。数分が運命の分かれ目です。

「ふつう五年、

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ヴィクトール・フランクル 夜と霧④

ヴィクトール・フランクル 夜と霧④

夜と霧の続きです。
書きたいことはまだまだあるのですが、私の脳みそと筆力では限界がありますね。

「壕のなかの瞑想」という項目のなかの文章です。

「被収容者の内面が深まると、たまに芸術や自然に接することが強烈な経験となった。この経験は、世界やしんそこ恐怖すべき状況をわすれさせてあまりあるほど圧倒的だった」
とあります。

収容所生活が長くなると、皆辛い現実から目を背けるために、過去のなんでもない

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ヴィクトール・フランクル 夜と霧③

ヴィクトール・フランクル 夜と霧③

夜と霧の続きです。
ためになるなあと思う部分を抜粋してます。

「教育者スピノザ」という項目に書かれている文章です。

「自分の未来をもはや信じることができなかった者は、収容所内で破綻した」とあります。

 生きる希望が見いだせなくなると、被収容者は精神的に自分を見捨て、横たわったまま動かなくなり、やがて死に至ると書かれています。

フランクルのいた棟の班長は、夢の中で1945年3月30日に収容所

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ヴィクトール・フランクル 夜と霧➁

ヴィクトール・フランクル 夜と霧➁

お正月にふと気が向いてこの作品を再読しましたが、やっぱり深いですね。
翻訳された池田香代子さんの文章も素晴らしいと思います。

何年前かは忘れてしまったのですが、この作品を初めて読んだときは、以下の文章に一番感銘を受けました。

「精神の自由」という項目のなかの文章です。

以下引用

「強制収容所にいたことのある者なら、点呼場や居住棟のあいだで、通りすがりに思いやりのある言葉をかけ、なけなしのパ

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ヴィクトール・フランクル 夜と霧➀

ヴィクトール・フランクル 夜と霧➀

以前も投稿しました「夜と霧」です。
何故か読みたくなって再読しました。

ユダヤ人の精神科医、ヴィクトール・フランクルがナチスの強制収容所での体験を精神科医としての視点で冷静に分析、考察したものです。

何回も何回も読んでいるのですが、そのたびに心にぐっとくる箇所が変わります。
きっと、読んだその時に自分自身が向き合っているテーマに触れている文章に惹かれるのでしょう。
なので、人生の岐路に立ったと

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