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ヴィクトール・フランクル 夜と霧➁

お正月にふと気が向いてこの作品を再読しましたが、やっぱり深いですね。
翻訳された池田香代子さんの文章も素晴らしいと思います。

何年前かは忘れてしまったのですが、この作品を初めて読んだときは、以下の文章に一番感銘を受けました。

「精神の自由」という項目のなかの文章です。


以下引用

「強制収容所にいたことのある者なら、点呼場や居住棟のあいだで、通りすがりに思いやりのある言葉をかけ、なけなしのパンを譲っていた人びとについて、いくらでも語れるのではないだろうか。そんな人は、たとえほんのひと握りだったにせよ、人は強制収容所に人間をぶちこんですべてを奪うことが出来るが、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない、実際にそのような例があったということを証明するには充分だ」

あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは誰にも奪えないということです。
確かに、人生これに尽きるなあ……と思ったのを覚えています。

当たり前に世の中不公平じゃないですか。
配られた手持ちのカードに文句を言っても仕方がない、それで勝負するしかない、と頭ではわかっていても、文句も言いたくなる時もあると思うんですね。(生まれた家、環境、容姿、障害、事故、病気などなどなど…)

しかし、どれだけ絶望的な環境にあろうとも、そのなかで自分がどのように生きるのかということは、絶対に誰にも奪えない最後の「自由」だということですよね。

辛いことがあっても、自分の中の最後の自由だけは奪われないようにしようと当時思ったのを覚えています。





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