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阿弖流為の死に様〜蝦夷というマイノリティと共にあった英雄〜 前編

  阿弖流為という人物がいるのですが、読めますか?恐らく、初見では分からないと思います。なぜなら、『弖』という字は、普段使うような漢字ではないからです。


 筆者がこの人物の名前を初めて聞いたのは、中学生の頃だったと思います。アテルイという名前は、とても印象的(かっこいいという意味で)であったし、今後もずっと忘れることはないと思います。

 日本史を勉強した人ならば、1度は聞いたことがあると思いますが、彼にどのような印象を抱きますか?筆者には、どうしても、


”謀反者”=忠誠を誓うべきものに背く人のこと


のイメ―ジがついてしまっています。彼が生きた時代に、忠誠を誓うべき存在というのは国家のことです。


 しかし、大久保利通の回(=大久保利通の死に様~”ギャップのある男”のかっこよすぎる最後〜 https://note.com/generation_z/n/n815e9a451142)でも、そうであったように、阿弖流為も私たちが日本史という授業で、勉強してきたイメージ像と大きく異なるかもしれません。


 しかも、大久保と大きく異なる点として、樋口知志によれば、阿弖流為は、

「たった四か所しか史料上に記述が残っていない人物」(1)

であり、その情報量は少ないと言って、差し支えありません。その情報量で人物像を判断していくのです。


 本当に、阿弖流為は、謀反者でしかなかったのでしょうか?彼の死に様から、日本史を追っていきます。





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