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【短篇小説千本ノック9】ありえなかった記憶の物語――ガブリエル・ガルシア=マルケス / 木村榮一訳「この世でいちばん美しい水死人」
もうすこし、ラテンアメリカの小説について話したいのです。お付き合いください。 これまで読んだ小説で、最高の一作はなにか? 途方もない質問である。対する答えを、私は持たない。が、これまで読んだ小説で、読んでいる間中、ほんとうに、ただひたすら楽しくて楽しくて、読み終わるのが心底惜しかった作品、そして何度繰り返し読んでも、汲めども尽きない物語の圧倒的な力を感じさせる小説、これはもう決まっている。即答だ。コロンビアの作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの大傑作『百年の孤独』で