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北京、ベルリン、A mulatto, An albino, A mosquito, My Libido

今日は映画を3つも見て、いつも恐ろしく健康に気を遣った食べ物を食べているのに恐ろしく偏食をして、1円にもならない趣味のnoteを5000字ぐらい書くというよくわからない体験をしたにも関わらず、なにかものすごい空虚が訪れてしまいました。ヘッダ写真をお借りしています。

つまりこのnoteは映画の感想になる可能性が高い。

普段健康に気を遣っているという証拠はぼくが自分用に自分のnoteを分類しているマガジンを読んでいただければ解ります。中身を見る必要はなく、普段ぼくがどういうことをしているかを題名から何となく察せられればそれでいい程度。

岩井澤氏

まず岩井澤さんという人の撮った映画を見ながら、トマトケチャップにまぶした鳥の唐揚げを3つも食べてしまった。

元々が漫画だったため、映画もアニメーションという事になっています。

もとをお書きになられた漫画家の方の特徴なのかわかりませんが、人の目の書き方が特殊なことになっている。楕円の半円と半円を逆側に重ねて目を創ってるんですね。

だから映画に出てくる人の目は全員一律、両端から2本づつ上下にまつげが生えているように見える。最初はそればかり気になって内容が頭に入って……来ないことはないでしょうが、ここがおもしろポイントだぞ、という箇所が仮にあるのだとして、そっちにほとんど気づきづらくなるというデメリットがある。見終わった今でもそれは変わりません。

で恐らくこの感想は映画の感想とすべきでなくて、漫画を書かれた大橋裕之さんに対する感想とすべきであるような気がする。

ともあれそのおかげで――――――というよりはぼくがすべての事象に対して「内容ばれ」を徹底的に避ける性格のせいで――――――主役の不良の坊主の声がゆらゆら帝国でボーカルだった坂本慎太郎だということに一切気づけなかった。

坂本慎太郎

ぼくはゆらゆら帝国が好きでした。ほとんどシングルしか知らないけど、ティーヴィープログラムで坂本慎太郎が映るような稀有なことがあればかじりついて見るような子供だった。

説得力が足りない気がするため、好きな歌を思い出せる限り列挙しましょう。発行体、ラメのパンタロン、冷たいギフト、ゆらゆら帝国で考え中、ズックにロック、夜行性の生き物3匹、空洞です……

また、SNSか何かでインフルエンサーマーケティングがしたいのだろうと思われる薬剤師が、人気商売の一環として自作のへたうま系絵を無理やりプリントしたようなグッズを主婦層あたりに売りつけたいがために、物が売れるサイトに「ゆらゆら帝国」という名前で登録しようとして、審査ではねられたことを何の悪びれもせずに「はねられちゃったみたいですw」等と言っていた時に、心底「その倫理観でマジで登録販売者の資格やら薬剤師の国家試験に受かったのか?」と思い、スパム報告並びにブロックに準ずる処理をしたぐらいにはゆらゆら帝国に敬意を払っています。

それまでその薬剤師のことを地方から有意義な情報を発信する(もちろんそれも含めてマーケティングの一貫ではありますが)人だなあと思って興味深く見ていたのですが、一気に冷めた瞬間だった。

余談でした。

もっとも、坂本の声がそんなに聞ける映画でもなかった。主役は描写的にたぶん恐ろしく凶悪な高校生なのでしょうが、とにかく無口であり、その「何を考えてるんだかわからないあたりに魅力を感じてくれ」という見せ方がしたいんだろうなと思わされる感じでした。むしろ一切喋らせないほうが面白いまであるんじゃないか。

ぼくは坂本の声を割と特徴的だと思っていて、もちろんゆらゆら帝国自体がメディアで発言するタイプではなかったから地声に触れる機会はそうなかったものの、聞き分けられるだろうという過信をしていた。でも無理だった。叫ぶ時の声とかがロンブーのカスな方に少し近いかな、とか属性分けまでしていたのになんてことだ、と思った。

制作年数7年

映画自体は手書きをここまで敷き詰めて、類まれな手法で撮影にまで及んで、トータル制作年数もえらいことになって……という劇的な大作といえるジャンルに該当すると思います。わかりやすい説明がHPにあったので引用します。

 制作期間は約7年超、作画枚数は実に40,000枚超、を全て手描き、クライマックスの野外フェスシーン をダイナミックに再現するため、実際にステージを組みミュージシャンや観客を動員してのライブを敢行。分業制、CG制作が主流のアニメーション制作において、何もかもが前代未聞の長編アニメーションプロジェクトです。アニメーション化にあたって、監督の岩井澤健治は、実写の動きをトレースする“ロトスコープ”という手法を採用。これにより、登場人物の動きがよりリアルに生々しくなります。

このロトスコープという方法は、演奏している人をわざわざ絵でもう一度書き直す感じなんだろうなと思います。GRAPEVINEのドリフト160(改)の刺繍アニメーションみたいなものでしょうか。

あと対の主人公みたいな陰気な高校生の声が女の人で、キャラクタの性別とは異なっていることがぼくは良いことだと思った。しかしながらそのキャラクタも当然歌うのですが(楽器の話なので)、歌はきちんと男の声になる。そういう手法……抵抗ないんだ?と驚きました。別に褒めても貶してもいません。見たことを後悔していないのですから。

ただ、漫画だけ見たらここまで邦楽という液体がたっぷたぷに入ったビーカーに沈められたリトマス試験紙のように「邦ロック然」としたイメージは受け取らなかったんだろうと思える。他に岡村靖幸が声を当てている箇所がある。エンドテーマを演奏している人はKING BROTHERSのギター&スクリーム担当のマーヤだった。

このように、そういうジャンルが好きな人向けに漫画が加工されて、映画として世に出されている感じがしました。

だって漫画なら多分、主役たちの演奏はただ同じ場所を叩いたりはじいたりする行為から出ただけの音だということはわからないだろうし(つまり演奏と呼べるものではない。けど実際に楽器をアンプに繋いで収録しただろうことは伝わる)、とにかく日本の歌業界とのつながりが微塵も見いだせないように思える。

もちろん褒めても貶してもいない。

ということもあり、印象に残ったのがライバル関係の森田というキャラクタでした。

ミステリアスなベクトルからすれば、森田のほうがよっぽど意味不明で振り切っている。フォークソング部なのに、そのフォークソンググループとして当然出演する文脈だと思えるステージの場面では、バキバキの3ピースロックで黒髪が金髪になっていたし、演奏会のびら配りみたいなことに弾き語りをしながら参加する場面では、誰も受け取ってくれないことに絶望し、前期の吉田拓郎でもやらなさそうな16分ストロークみたいな怒りにも似た演奏をしていて、楽器に対する衝動は桁違いであるように感じられたためです。

他2つの映画と食べ物についてはまた明日失礼いたします。

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