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本が次の本を呼ぶ


2023年9月9日(土)朝の6:00になりました。

彼は頭の上で、「おーい、でてこーい」と叫ぶ声を聞いた。

どうも、高倉大希です。




読み手は、身勝手です。

書き手がどれだけ苦労して書いたとしても、つまらないと思ったら簡単に読むことをやめてしまいます。


どうか最後まで読んでくれ。

書き手は、一生懸命に読み手をこの場に引き止めます。


読み手は、引き止めようとしている書き手の気持ちを、逆にうざったく感じます。

書き手の願いはむなしいことに、読み手にはなかなか届きません。


いい文章の条件としてぼくは、「苦労の跡がどこにも見当たらない文章」や「最初からそのかたちで存在していたとしか思えない文章」を挙げた。

古賀史健(2021)「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」ダイヤモンド社


一方で、魅力的な書き手は、見事に読み手を誘います。

その動線は、書き出しからすでにはじまります。


気がつけば、読んでいた。

読み手は、見事に読まされてしまうのです。


このような文章を書く人は、同時に優秀な読み手でもあります。

ひとりの読み手として厳しい視点をもっているからこそ、安易な作戦で読み手を誘おうとはしません。


自動的行動パターンについては、絶対に押さえておくべきポイントが存在します。それは、このパターンの機能を熟知する者に対して、私たちを恐ろしいほど無防備になるということです。

ロバート・B・チャルディーニ(2021)「影響力の武器」誠信書房


そんな中で、ときどき次の本を呼んできてくれる本と出会うことがあります。

最後まで読むだけではとどまらず、その次の本にまで誘われてしまいます。


まんまと誘われてしまっているなと思いつつ、どうしてもその本に手を伸ばしてしまいます。

そしてまた、手を伸ばしたその本が期待を裏切ることなく、やっぱりちゃんと魅力的な本なのです。


このループにはまってしまうとおしまいです。

本が次の本を呼び、気がつけば積読の山ができあがります。


象について調べているうちに、数学に関心を持って、パリの大学につながって、現地でファッションの勉強をしている女性と恋におちました......なんていう、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな、はじめっからは想像できない連鎖がほんとうにできるのが、「リンク」というものの面白いところです。

糸井重里(2014)「インターネット的」PHP研究所


この note で、アイキャッチのごとく他の方の文章を引用している理由のひとつはここにあります。

次を呼んできてくれる文章は、憎らしくもあり、魅力的でもあるなと思うわけです。






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