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言葉の奥にどれだけの思考があるか


2023年11月10日(金)朝の6:00になりました。

これがボクシングならありえねえ、言葉のウェイトに差がありすぎる。

どうも、高倉大希です。




思考を言葉に、変換します。

言葉を思考に、変換します。

こうしてわたしたちは、コミュニケーションをとっています。


残念ながら、テレパシーをつかうことはできません。

語り手には、いかに思考を忠実に表現するかが求められます。

受け手には、いかに言葉を忠実に解読するかが求められます。


つまり、コミュニケーションとは、言うならば、自分が頭の中に抱いている〈抽象的〉な広義の思考内容のコピーを相手の頭の中にも創り出す行為であると言える。

池上嘉彦(1984)「記号論への正体」岩波新書


どこまでいっても、言葉と思考がぴったりと重なることはありません。

言葉はあくまでも、思考が表出したものです。


よく見る氷山のイラストとおなじです。

海上に見えている氷山の一角が、思考における言葉です。


海中には、一体どれだけ大きな氷塊が沈んでいるのか。

氷山の一角から、想像するしかありません。


読者は「なにが語られているのか」の向こうに、「この人は、どんな人なのか?」を読んでいる。(中略)「この人はおもしろい」や「この人の言うことは信用できる」があってこそ、個別具体の話も耳に届くのだ。

古賀史健(2021)「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」ダイヤモンド社


話していておもしろいのはやはり、海中の氷塊が大きな人です。

その言葉に至るまでの思考が、海上から想像できるような人です。


中には、カモフラージュがとても上手な人もいます。

本当はめちゃくちゃ考えているのに、まるで考えていないかのように話します。


それはそれで、魅力的に映ります。

どれだけカモフラージュしようとも、思考は言葉に反映されます。


僕らが話をするのを聞いて、どうしてそんなおもしろい経験ばかりしているのだろうと、一般の人は思うかもしれない。けれど、それは違う。僕らだって、普通の人と同じように平凡な普通の毎日を生きている。その日常の中から、素材を見つけ出し、料理しているだけなのだ。

島田紳助、松本人志(2003)「哲学」幻冬舎


30秒で描いた絵の価格を、100万ドルに設定した。

パブロ・ピカソの有名なエピソードのひとつです。


「たった30秒で描いた絵なのに?」と驚く相手に、ピカソはこう答えました。

「30年と30秒ですよ」


ふだん用いる言葉にも、きっとおなじことが言えるのだろうなと思います。

これまでの思考のすべてが、用いられる言葉には反映されているのです。






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