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映画『コンパートメントNo.6』、旅は人生そのものかも知れない。
ロシア最北端ムルマンスクへ向かう寝台列車、6番客室に偶然居合わせたフィンランド人女性ラウラとロシア人炭鉱労働者リョーハ。
ムルマンスクにある遺跡ペトログリフを目指すラウラは、恋人にドタキャンされひとり旅をすることに。よりによって強面でマフィアのような雰囲気のリョーハと同じ客室で過ごさなければならない。しかも彼は泥酔している。最悪だ。古びた寝台列車の客室や薄汚いトイレ、愛想のない強面の女性車掌、ど
映画『ボーンズ・アンド・オール』感想文
ホラー映画って苦手です。
『ボーンズ・アンド・オール』がカニバリズムを描くラブストーリーと知った時、これを観るべきか少し迷った。しかし、ティモシー・シャラメ、『WAVES』のテイラー・ラッセルが出演し、監督が『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノということもあって劇場に行くことにした。
心配した自分がバカらしく思えるくらい、映画は素晴らしいものだった。もちろんマーク・ライランス演じるサリ
映画『銀平町シネマブルース』、映画っていいですね。
『銀平町シネマブルース』を観てきました。
映画を愛する、愛すべき人たちの群像劇です。今も現役の川越スカラ座がロケで使用されたそう。
観客もそれこそ映画好きが集まったのか、劇場は終始笑いに包まれいい雰囲気でしたよ。2つとなりに座っていたロン毛のお爺さんと笑いのタイミングが重なるたび「映画終わったらこりゃハイタッチか」と思う程、場の空気が暖かくてホント素敵な体験でした(お爺さんはエンドロールのタ
2022年12月・2023年1月映画感想
今回はシリアス作品、そして傑作が多かったように思います。『あのこと』『ノースマン』『SHE SAID』『母の聖戦』など、圧倒的無力感が半端ない、ちょっと回復するのに時間を要する作品と同時に『THE FIRST SLAM DUNK』『モリコーネ』『ケイコ 目を澄ませて』といった優れた作品が混在する、印象的な年末年始の映画体験でした。
『あのこと』
映画は堕胎が違法であった60年代のフランスで予期
映画『ノースマン 導かれし復讐者』の感想。
「この時代に生まれていなくてよかった」
つくづくそう思いました。
もう野蛮の一言。
親ガチャとか色々言われてますが、これは時代ガチャ。国ガチャ。ガチャガチャです。現代の価値観は当然無く、暴力がものをいう時代。〜ハラスメントとかそういう発想はゼロ。強いものが生き残り、生き残るものが正しい時代です。
その中世描写のエグいこと。
連想したのは2012年のニコラス・ウィンディング・レフン監督作『ヴァル
映画『そして僕は途方に暮れる』、初笑い。
2023年初映画。
初笑い。
映画館に足が遠のいていた年末年始。年明けふと目にとまったこの作品。「途方に暮れる」のは100%分かっている、その暮れっぷりを当然見届けたくなるのが人情です。ずっとお家にこもっていた冬休み。外の空気を吸いに久々に劇場に行ってきました。
なんと言っても原田美枝子さんの素晴らしかったこと。2022年の『百花』で彼女が演じた母親と少し被るんですが、突然田舎に戻って来た息子
2022年11月映画感想
皆さんこんにちは。
師走ですね。皆さんいかがお過ごしですか?
クリスマスや大掃除、旅行にデートに年末調整。いろんなイベント盛りだくさん。世界がざわめく素敵なシーズンです。注目作が多い年末年始は映画ファンにとってもまさに師走。映画館へ走り続ける年末年始となりそうです。
それでは11月公開の映画感想文をお届けします。
『窓辺にて』
今泉力哉監督作品です。これまではどちらかと言うと若者の恋愛を描い
2022年9・10月映画感想
皆さんこんにちは。
10月中旬に「2022年9月映画感想」をアップした時点では10月公開作品をほぼ鑑賞できてない状態でした。はじめてnote存続の危機に直面したわけですが、やる気になれば映画くらい観られるものです。
ということで9月10月感想です。
『LAMB』
みんな大好きA24作品。
9月公開作品です。不思議な映画体験でしたね。アダが着ていたセーターはウール?100%?そんなどうでもいい
2022年9月映画感想
皆さん、こんにちは。
もう10月ですね。そして今年もあと2ヶ月あまりとなりました。時の流れは早いものです。
今回は9月映画感想をお届けします。8月公開作品も含まれますが、9月に観たのでそのへんお許しください。
10月公開作品は、時の流れの関係で今のところあまり観られておりません。今後感想文がお届け出来るか心配です。もしアレがアレする時が来ましたら、そう思ってください。
では9月映画感想です。
映画『秘密の森の、その向こう』、小さな愛の物語。
セリーヌ・シアマ監督はこれまでセクシュアリティに揺らぐ人物を繊細なタッチで描いてきた作家という印象が個人的には強い。だから彼女の新作『秘密の森の、その向こう』が、8歳の少女が同い年の母親に出会う物語と聞いてこれは意外だなと思った。
8歳という年齢は、おおよそ人の死を理解できる頃だというが、その頃の自分を思い出すと、ネリーとマリオンがいかに聡明で、大人であるかがよく分かる。
ネリーとマリオンは森