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2022年11月映画感想


皆さんこんにちは。
師走ですね。皆さんいかがお過ごしですか?
クリスマスや大掃除、旅行にデートに年末調整。いろんなイベント盛りだくさん。世界がざわめく素敵なシーズンです。注目作が多い年末年始は映画ファンにとってもまさに師走。映画館へ走り続ける年末年始となりそうです。

それでは11月公開の映画感想文をお届けします。



『窓辺にて』

今泉力哉監督作品です。これまではどちらかと言うと若者の恋愛を描いてきた印象が強かったのですが、稲垣吾郎が主演と聞いてどうなるかと思っていました。蓋を開けてみればこれまでのドライブ感はそのままに、ミステリアスで可愛い中年男子・市川に大ハマりしましたよ。



『恋人はアンバー』

アイルランドの田舎町。1995年あたりの高校生のお話だったと思います。自分が同性愛者だと薄々気付いているエディとレズビアンを自認しているアンバーの青春物語です。
エディの父親はマッチョな軍人で、エディにも軍人になって欲しいと思っている。そんな父親を失望させたくない気持ちと自らの性的志向の間で苦悩するエディをみていると胸が張り裂けそうになります。
この設定はまさに今年公開されたジャン=マルク・ヴァレ監督作『C.R.A.Z.Y.』と酷似していました。その主人公の救いは音楽でしたが、本作での救世主はアンバーでした。そこが良かった。周囲の偏見のなか生まれるふたりの美しい友情。心暖まる青春映画です。



『ドント・ウォーリー・ダーリン』

オリビア・ワイルドて。
なんでこんなグルーヴィーな名前つけたん?
Wikipediaによると本名はオリヴィア・ジェーン・コバーン。それでも十分グルーヴィーな彼女ですが、ワイルドはオスカー・ワイルドに由来とのこと。勉強になります。

そんな彼女の新作は冗談ではなくジョーダン・ピール監督のような体感でした。音楽、効果音がおぞましく、人間の生身の声でしょうか?そう、声っていちばん怖いんです。映画はかなり大雑把に言うと『マトリックス』と『アス』を足してジョーダンで割ったみたいな内容だったかと思いますが、マトリックス最新作でトリニティが空を飛んだように、アリスにも何か象徴的なもの最後にみせてほしかったですね。教祖になるとか。


『ファイブ・デビルズ』

このnoteでもとりあげた『パリ13区』でセリーヌ・シアマとともに脚本担当したレア・ミシウス監督作です。『パリ13区』が2022年映画ランキングの上位に入ることが決まりそうなので、観に行こうと思った作品です。

予告やチラシを見るとゴリゴリの悪魔系ホラー映画だと思っていましたが、予想外に泣けました。
だって予告では謎の女性が紫色の舌をベーって出してて「悪魔だ!」とそりゃ反射的に思いますでしょ。あれズルない?そう思ったのはわたしひとりではないはず。でも結果的に良いものを観られて良かったんですけどね。


『パラレル・マザーズ』

住んでる家や服装がいちいちオシャレなんですよね。インテリア見ているだけでも飽きない映画です。オシャレでハイソな人達の話でしたね。母親たちがシングルマザーでも経済的余裕があるのでなんかエレガントでした。

でもこれは決して遠い人達のお話ではなく、かなり身近なお話です。母親になるとは?家族って?そもそも結婚ってなんなの?とか色々なことに想いを巡らせてしまいました。答えのない疑問に対してアレコレ考えた結果、発熱しました。
こういう作品はけっこうモヤモヤが残りそうです。2022年映画ベスト10に残るかも知れません。


『ある男』

このお話も血のお話でしたね。
でもこれは血の繋がりがむしろ障壁となっている人達のお話です。自分の力ではどうしようも出来ない、生まれ、育ち。だから生まれながらに人間は平等ではない、不公平なのでしょう。

この登場人物たちに限らず他人の人生はその人のものです。結局は良くも悪くも当事者になってみないと分からないこともたくさんあると思います。しかしその人に寄り添うことはできる。そんな想像力くらいは備えておきたいところです。


『夜明けの詩』

映画を鑑賞した人の多くがこの写真をみて「まぁそうなんだけどさ」と思ったことでしょう。でもこの映画世界に一度身を任せてしまえば、どこまでも深く浸ることができる心地よい世界でもありました。11月公開作品の中でもかなり独特な作品であることは間違いないです。好きな映画でした。


『グリーン・ナイト』


みんな大好きA24作品。映像の説得力。
ファンタジーが苦手なわたしも苦手意識がなくなるくらい映像が素晴らしかったです。進撃の巨人みたいな全裸のスキンヘッドのおっきな人が出てきますが、全く違和感なく許容できました。

アリシア・ヴィキャンデルの天使のような美しさ、悪魔ようにささやくバリー・コーガン、見れば見るほどゆるキャラに見えてしまうグリーンナイトの可愛いらしさ。どの角度で切り取っても溢れ出すファンタジー感。久々にしびれた作品。



『シスター 夏のわかれ道』

素晴らしい作品だった。
と言いたいところですが、実はもう一度観なおしたいです。というのも、平日お昼の会に鑑賞したんですが、劇場内はかなり混みあっていて、わたしが着席した時、既に右隣の席のご高齢のお爺さんがみかんを食べながら座っていました。この時点で既にちょっと心がざわついたのですが。すぐ左隣に別のお爺さんが座り、お爺さんたちに挟まれ映画がはじまりました。

しばらくすると「スリスリ」「スリスリ」という音がみかん爺から聞こえてきます。見てみるとお爺さんが自分のカバンを手のひらでスクラッチしてるんです!まさにターンテーブルでやるように。10分に一度くらいで起こるので、思わずみかん爺の顔を見て「シーッ」とロングブレスをくらわしてやりましたよ。でもまたすぐスリスリは再開しましたが。

そして反対側では「ヴヴヴ」「あああ」ってうめき声が始まりました。見ると泣いてるんです。「声、出てますよ」ってそっと言いたいところでしたが、相手は泣いてるんです。しかも泣くポイントは子役が泣くところ。「他にも泣くとこあるだろ」と思いつつ、もしかしたらこの泣き爺も同じように両親を亡くし、たらい回しにさらたのかも。なんて思うとなんだか気の毒になってしまいました。

そういうわけでストーリーは理解しましたが、気持ちはお爺さんたちに持っていかれた作品です。

映画は環境が整ってナンボです。



今回は以上です。
来年に2022年映画ランキングを発表しますのでそちらもよろしくお願いします。

それではまた!

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