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チョココロネとものの哀れ
千代子はチョココロネを食べながらものの哀れについて思いを馳せていた。あるいは、たい焼きだったとしたら結末は変わっていたのかもしれない。
千代子は仕事帰りに、いつも朝食用の食パンを買っている近くのパン屋に寄った。そこの食パンは絶品だが、チョココロネは少し様子が違った。味は絶品だがチョコとパンのバランスが歪だった。前半、人によっては後半、太い部分にチョコが全振りされており、後半、人によっては前半の細
思い出せないことが多い。
忘れっぽくなった。いや、もともと多くのことを覚えていられなかったんだと思う。
重篤な障害でも病気ではなく、ただただ日々をぼーっと過ごしているからなのか、
指の隙間から水がこぼれていくように、ちょっとずつ思い出が薄まっていく。
指の隙間がほかの人よりも少し大きかったというだけだ。
そういった具合で、私には思い出というものが少ない。特に小学校から高校にかけては壊滅的に記憶がない。
小学校の記憶はほと