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僕は大阪や東京の路上で半裸やモヒカン、マクドの看板の上や、ビルのボイラー室やリッツの便所で、スケッチブックに黒鉛の塊で殴るようにして詩を書いたりしていました。 また、山や薪スト…
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記事一覧

父になることについての詩的散文

父になることについての詩的散文

俺は俺のままでは浅すぎた
こんな俺では20代の頃の残滓を啜って生きてるだけじゃないか
考えるということを放棄してたんだ
10年近くも
考えようとしてた
考えようとしてただけだった

思考の前でクラウチングスタートの姿勢のまま10年経過していた
体そのものがカサブタのようになってしまっていた
俺は考えるということをしてみたかったんだ
思考を前に待つということ

世界が反復する音色に耳を澄ませる
風を

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男である恥ずかしさ

男である恥ずかしさ

女に終わりはない、女は続いていく
女の享楽に端はなく、ただただ只中にある
永遠のプロセス
生み出され続ける新たな余白
書き込まれることを断り続ける永遠の定式

刺し貫くことができぬもの、行き止まりはない
くぐり抜けるだけ
男はいつも墜落する、墜落が結語となり
起承転が後に生じる、まずは墜落がある
男は言い訳をする
言い訳に世界を語る
言い訳に創世記を綴る

歴史の裏側で
書き込まれることを断り続け

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君への手紙

君への手紙

こんばんは、元気かい?
僕は今日、風呂で君との思い出に溺れたよ。
10年以上も前の日々が鮮明に思い出されて今まさに君とサンマルクの小さなテーブルいっぱいスケッチブック広げて2人で落書きしてるようだった。

君が雨ふる若草山の頂上から鹿のクソまみれで転がってきて出会ったことや、吐くまでくるくるまわり続けたことや、新世界で牛乳ぶっかけたことも、天王寺で鼻っ柱ぶん殴られたことも、ネパールで水便にまみれた

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ともだちをさがしに

ともだちをさがしに

ともだちをさがしに

ともだちの家を出た

あんなに笑いあえたけど

もっとしんけんに笑いたくて

背中でつながっていたい

独りはさみしくはないのだ

お互いを知っているのだ

ともだちを作りゆくいきおいで

ぼくはひろすぎるせかいを

よこいっちょくせんに

あるいてゆくんだ

ともだち

ともだち

似ていてちがう人が大好きで
近づけばケンカするから
とおくでなかよく
生きていよう

幸せ

幸せ

森の静かなノイズ

恋人の耳たぶ

夜中の湖底

ゆれる水草

カバの歯垢

キリンの襟足

肘のシワ

コケの裏

石タイルのスタバ

焚き火の煙

苦いコーヒー

空調

革靴のムレ

矢印の気持ち

ビーム

声を出す快楽

幸せとは

慎重さ

自転車の手放し運転

なげられた石ころのうた

なげられた石ころのうた

投げられた石になって空を横切ってやがて川に落ちる運命なるとも、ふりかえらず、もといた場所に残してきたものもなし、全身に水あびてやがて気泡も尽きて横たわりし川底のマッサージにて、川の全景を知る、見えずとも知る

不自由に敏感でいること

不自由に敏感でいること

なにがしかの不自由に対して敏感でいつづけることは、人生でもっとも大切なことだと僕は思う。

不自由を感じる時、俺は、なにかをしでかしたいんだ。

衝動がこの現状を糾弾する。

飛び出してから考える

走る足に景色は抽象的に、うねる。

その曖昧で不明瞭なノイズの中で

間に合わせに考え

闇雲にバランスをとろうと踏み出す足が

人生を新しい地点にいつだって導いてくれ

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虫歯を追い出せ

虫歯を追い出せ

森をとびだして

街にとびだして

カフェのテーブルの上の

出会いのサイコロを

転がして転がされて

土砂降りの街路を

裸でひっくりかえって

雨でうがいをして

虫歯を追い出せ

細胞を設計する

細胞を設計する

リズムが

芽生える

部屋の

こだま

沈黙に光

心音に脚色

しみに像を結ぶ

時のお散歩

ヒマが水底をうって

優しくはねる

音と遊ぶ

時が消えて

ここが立ち上がる

静かな革命