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30日間の革命

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毎日小説をアップしていき、100日間で1つの作品を作り上げます。
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2020年7月の記事一覧

30日間の革命 #毎日小説93日目

30日間の革命 #毎日小説93日目

 馬場は演説が終わると深く一礼した。そして、マイクを坂本へ渡すとき、「お疲れ様でした」と声をかけた。完全なる勝利を確信していたからだ。そもそも馬場がなぜ白の会に反旗を翻したのか。きっかけはやはり手崎の一件だった。

 最初の集会が終わったあと、馬場と手崎はそれぞれ別の形で周囲から注目されるようになった。馬場は、1年生にも関わらず坂本や加賀といったメンバーと肩を並べていたことでその知名度や影響力を更

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30日間の革命 #毎日小説94日目

30日間の革命 #毎日小説94日目

 この場にいる全員が注目する中、坂本はゆっくりと口を開いた。

 「私は今、この学校の長い歴史の中で最も重要な決断を下すであろう瞬間に、こうして皆さんの前に立って話せることを嬉しく思います。もしかしたら、この学校だけではなく、この日本の全ての教育にも関わることかもしれません。

 約150年前に、日本という国は大きく生まれ変わりました。新しい時代を切り開くべく、多くの人たちが動き、犠牲になり新しい

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30日間の革命 #毎日小説95日目

 学生たちにとって、激動の夏休みが終わりを迎えた。坂本や加賀、そして馬場達にとっても特別な夏となった。

 夏休み明け初日は再び全校集会が開かれ、最後には生徒会長を決める投票が行われた。あの時の演説は果たして学生たちに響いたのか。加賀たちは最後まで不安だった。ただ一人、坂本を除いて。坂本はこの日もいつもと変わらず穏やかな笑顔を見せていた。

 学生すべての投票が終わり、開票が始まった。選挙管理委員

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30日間の革命 #毎日小説96日目

30日間の革命 #毎日小説96日目

 翌日、生徒会長選挙の結果が掲示にて貼りだされていた。加賀は人だかりをかきわけ、掲示版へとたどり着く。周りの生徒は加賀を見つけると、ヒソヒソ話ながら少し気まずそうに離れていった。

 有効投票数:350 無効投票数:10 総投票数:360

 坂本小春 得票数:98票

 馬場清史郎 得票数:252票

 結果は見るも無残なものだった。大差をつけての馬場の圧勝。そして、それはこの学校で始めての1年

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30日間の革命 #毎日小説97日目

30日間の革命 #毎日小説97日目

 馬場が生徒会長になってから数カ月、学校の生活はいつもと変わらないものとなっていた。馬場はいつもと変わらない学校生活を目指し、行事やイベントなども特別なものをせず、粛々とこなしていった。

 白の会は、坂本が選挙に敗れたため、その活動は休止していた。馬場も公約通り、白の会の活動を生徒会として監視しており、生徒の間では白の会について話す人はいなくなっていた。

 「白の会もすっかり忘れられて、坂本さ

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30日間の革命 #毎日小説98日目

30日間の革命 #毎日小説98日目

 3年1組は、文化祭の準備に力を入れていた。毎年、この時期のホームルーム内で文化祭についての話し合いを設けるのだが、真面目に取り組むクラスは少ない。だいたいが、演劇部や経験者に任せきりとなり、片手間で終わらせてしまう。高橋も、例年受け持ったクラスではそんな様子を多く見ていたため、特に文化祭に特別な思い入れはなかった。なので、文化祭に力を入れようとしている自分のクラスを見て、少しだけ違和感を感じてい

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30日間の革命 #毎日小説99日目

30日間の革命 #毎日小説99日目

 学校で大きな話題を呼んだ「生徒会長選挙」から数カ月。2年生の間では、もう一つ大きな決定事が控えていた。それは、次期女子バレー部のキャプテンが間もなく決まることである。夏の大会が終わり、実質的に3年生は引退を迎えていた。あとは次期キャプテンが決まれば、それで無事に3年生の役割は終わりとなる。これも伝統なのだが、女子バレー部では、現キャプテンをはじめとして、3年生の推薦によりキャプテンが決まることが

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30日間の革命 #毎日小説100日目

30日間の革命 #毎日小説100日目

女子バレー部のキャプテンを決める投票が、バレー部内で行われていた。例年、現キャプテンの方針で決め方は変わるが、今年は江藤の案により、唐橋と橋田のどちらかを投票で決めることになった。

 部員たちは白紙を渡され、そこに次期キャプテンに適任だと思うどちらかの名前を書いて投票する。

 「書けたらここに紙を入れていけよ」

 江藤は近くにあった籠を持ってきて、そこに紙を投票するように促した。部員たちはど

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