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モノクロな風景を撮影する写真家、写真作家。 デジタルカメラとフィルムカメラと、時々暗室。

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記事一覧

クリスマスクッキーの思い出と遺す事の葛藤

10年そこそこ、クリスマスには縁がない。 そんな私も、子供の頃はクリスマスを待ち望み、家族とお祝いしていたものだった。 年末に帰省した際に、母と一緒に祖母宅に立ち…

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4か月前
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仕事か趣味か、人生か

自分にとっての写真とは。 こんな問答は、これまで何度も繰り返してきたように思う。 仕事では決してない。 昔は趣味だと言っていた。 今は、今はどうだろう。 元々人嫌…

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6か月前
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金木犀の香り

SNSの呟きにふと心を留めた。 「金木犀の香りがする季節になった。」 キンモクセイ。 そうか、そういう季節なのか。 そもそも、金木犀が秋の花だということすら、私は理…

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7か月前
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目を背けている過去の追及

一体自分が行なっている写真撮影という行動の正体が何なのかと聞かれた時、「Hokkaido」は自身の過去との紐付けであり、「山岳独行」は登山という現在の感情を表現した写真…

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7か月前
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私にとっての写真、その断片。

自分はどの様な人物だろうか。 そんなことは私自身が一番理解しているし、なんのために、どのような目的で写真を撮影しているのかも明白で、目の前にある結果のみが真実だ…

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9か月前
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写真は無限で自由だ

写真は、写真という枠組みの中で無限で自由だ。 そのはずなのだけれども、最近のSNSで日々繰り返されている写真に関する主張にうんざりしてしまっている自分がいる。 く…

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過去を想い、現在を見つめる

先日、第44回船橋市写真展に応募した写真集”Hokkaido”で北井一夫賞をいただきました。 写真集の後書きとして記載した「過去を想い、現在を見つめる」の内容を一部修正、…

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そこにあるということ

失われても残り続けるものがある。 当たり前に思えることだが、祖父の死をきっかけに、初めて正しく理解できた様に思う。 昨年亡くなった祖父は多くを語らない、昭和の男…

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良いと思える写真の条件

※個人の意見です 前回の投稿で今後の写真の在り方についてある種の未来視を試みました。今回は、SNSやその他の機会で写真を見つめる時に、評価している、良いと思える写…

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写真家の死

写真の位置付けは、フィルム黎明期から大衆期、デジタル期への移行、そしてSNS時代を経て、その位置付けが大きく変わったように思います。 写真史には疎いものですから、…

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祖父のこと

祖父は、令和4年11月8日の未明に急性循環器疾患(推定)で逝去した。 朝方亡くなったと思われるのだが、出社時に父は気が付かず、帰宅時に発見することとなった。ストーブ…

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山岳独行

ほとんどの時間を独りで過ごす私にとって、登山とは孤独を紛らわすための行為に近しい。美しい風景を探しにいくことも、それを撮影することも、人生にほんの僅かでも彩りを…

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陽の当たる日はきっと来ない

陽の当たる日はきっと来ない。 私の体の奥底に流れている感情。諦観と言い換えてもいいでしょう。 でも、きっとその感情は悪いことだけではないはず。 転ずれば、きっとい…

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あなたの日常、わたしの日常

最近のTwitterでは、「日常写真」が投稿されていますね。 この言葉を初めて目にしたときに真っ先に考えたことは、この言葉の位置づけをどう捉えるか、定義をどう位置付け…

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いい写真ってなんだろう

いい写真ってなんだろう。 SNS全盛の昨今、「いい写真」を撮影するためにカメラを持って出かけていく人は星の数ほどいることでしょう。 一際輝くためにインパクトや彩度を…

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400TX project ~霧の旅~

この夏、400TXprojectに参加しました。 写真家・RenatoRepetto氏が所有するNikonF2とMicroNikkor55mmをお借りし、1ロール36枚撮りのKodakTri-Xで写真を撮影、Renatoさ…

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クリスマスクッキーの思い出と遺す事の葛藤

クリスマスクッキーの思い出と遺す事の葛藤

10年そこそこ、クリスマスには縁がない。
そんな私も、子供の頃はクリスマスを待ち望み、家族とお祝いしていたものだった。

年末に帰省した際に、母と一緒に祖母宅に立ち寄り、いつ以来だろうか、新聞に挟まるチラシをみんなで眺めた。

ロイズのチラシが挟まっていた。
ロイズは北海道の菓子メーカー。かつて父が勤めていたこともあり、創業期からたくさんのロイズのお菓子を食べて育った。

クリスマスクッキー、よく

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仕事か趣味か、人生か

自分にとっての写真とは。

こんな問答は、これまで何度も繰り返してきたように思う。

仕事では決してない。
昔は趣味だと言っていた。

今は、今はどうだろう。
元々人嫌いで、人との折り合いもつかず、写真以外に興味がない私だから、ふとした拍子に交友関係が生まれたとしても、数回会うと自分の懐の狭さというか、人間性の希薄さを感じ取られてしまって長続きしないのはいつものことだったりするのです。

会社とS

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金木犀の香り

SNSの呟きにふと心を留めた。

「金木犀の香りがする季節になった。」

キンモクセイ。
そうか、そういう季節なのか。

そもそも、金木犀が秋の花だということすら、私は理解していなかった。

金木犀を北海道で見かけたことはなかったし、関東に来てからも意識して探したことがなかった。

おそらく、匂いを嗅いだことはあるのだろうけど、その匂いを思い出せるほどの記憶を持ち合わせていない。

経験のないこと

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目を背けている過去の追及

目を背けている過去の追及

一体自分が行なっている写真撮影という行動の正体が何なのかと聞かれた時、「Hokkaido」は自身の過去との紐付けであり、「山岳独行」は登山という現在の感情を表現した写真である。

今のところはそのように結論づけている。

山岳独行は良いとして、Hokkaidoにおける過去への紐付けは、未だかなり弱い部類にある。

目を背けている過去が数多く存在するからだ。

これまでの撮影は、自身の審美眼を信じ、

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私にとっての写真、その断片。

私にとっての写真、その断片。

自分はどの様な人物だろうか。

そんなことは私自身が一番理解しているし、なんのために、どのような目的で写真を撮影しているのかも明白で、目の前にある結果のみが真実だ。

そんなふうに根拠もなく確信していたものですが、実際は、そんなことはないようです。

自分自身の真実や真相に最も近しいものは、無意識だと考えています。無意識を知覚することで、これまでの行動を強固に意味付けられるのではないでしょうか。

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写真は無限で自由だ

写真は無限で自由だ

写真は、写真という枠組みの中で無限で自由だ。

そのはずなのだけれども、最近のSNSで日々繰り返されている写真に関する主張にうんざりしてしまっている自分がいる。

くだらない言い争い、自分を大きく見せるためのポジショントーク、間違った知識、自分の経験や立場のみで語られる全体感が欠如した写真観、フィルムデジタル論争とかとかとか。

気づけば、大量にミュートワードを設定して、自分の世界を構築してしまっ

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過去を想い、現在を見つめる

先日、第44回船橋市写真展に応募した写真集”Hokkaido”で北井一夫賞をいただきました。
写真集の後書きとして記載した「過去を想い、現在を見つめる」の内容を一部修正、加筆し、私の写真観をここに残します。

窓から遥か下を覗き込んで望む景色が大海原から海岸線へと変わり、雪景色の中に整然とした黒く細長いラインが認められ、自動車が走っていることがわかるまで地上に近づくと、帰ってきたことを実感する。

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そこにあるということ

そこにあるということ

失われても残り続けるものがある。

当たり前に思えることだが、祖父の死をきっかけに、初めて正しく理解できた様に思う。

昨年亡くなった祖父は多くを語らない、昭和の男のイメージそのものの人物だった。
そんな祖父が遺した多くを目の当たりにして、父でさえ意外な一面に驚き、今更になって祖父の本当の一端に触れた様に思えた。

祖父は物を捨てない人物だったから、どうでもよいと思えるものから、大切なものまで、何

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良いと思える写真の条件

※個人の意見です

前回の投稿で今後の写真の在り方についてある種の未来視を試みました。今回は、SNSやその他の機会で写真を見つめる時に、評価している、良いと思える写真の条件をお示ししたいと思います。

結論から申し上げますと
①内向きの表現であること
②独自性があること
この2点に集約されます。

内向きの表現であること

写真を撮影するという行為を分解すると、
・被写体を決める
・構図を決める

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写真家の死

写真の位置付けは、フィルム黎明期から大衆期、デジタル期への移行、そしてSNS時代を経て、その位置付けが大きく変わったように思います。

写真史には疎いものですから、ここで多くを語ることは出来ませんが、写真自体が珍しかった時代、写真のプロがほんの一握りだった時代を経て、デジタルカメラの普及、SNSの勃興に伴い、多くの人(=大衆)が良質な写真の撮影が可能となり、いいねを求めてSNSに投稿する時代が到来

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祖父のこと

祖父のこと

祖父は、令和4年11月8日の未明に急性循環器疾患(推定)で逝去した。
朝方亡くなったと思われるのだが、出社時に父は気が付かず、帰宅時に発見することとなった。ストーブも付いておらず、起きている気配もないことを不自然に思いベッドを覗いたところ、眠るように息を引き取っていたようだ。
私に連絡があった時点で当日の22時を過ぎており、電話が来るまでの間に父に起こった出来事に思いを巡らせ、慌しい時間を過ごした

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山岳独行

山岳独行

ほとんどの時間を独りで過ごす私にとって、登山とは孤独を紛らわすための行為に近しい。美しい風景を探しにいくことも、それを撮影することも、人生にほんの僅かでも彩りを持たせたいという思いから来ているように思う。

実際、山を登るという行為そのものは単なる苦行に感じる。重い撮影機材を体に括り付け、上がらない足を無理やり上げて高度を稼ぐ。文明から離れた場所に自らの意思で身を置き、つまらない茶色の地面が上へ上

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陽の当たる日はきっと来ない

陽の当たる日はきっと来ない

陽の当たる日はきっと来ない。

私の体の奥底に流れている感情。諦観と言い換えてもいいでしょう。
でも、きっとその感情は悪いことだけではないはず。
転ずれば、きっといい見方が出来ると信じて、ここに書き残しておきます。

過度な期待をしないこと。
そして、他人に期待をしないこと。

他人に期待をしてしまうと、裏切られた時の感情の落差はとても大きくなってしまう。
そのような体験はこれまでに数えきれないほ

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あなたの日常、わたしの日常

あなたの日常、わたしの日常

最近のTwitterでは、「日常写真」が投稿されていますね。

この言葉を初めて目にしたときに真っ先に考えたことは、この言葉の位置づけをどう捉えるか、定義をどう位置付けるか、でした。
そんなことを考えていると、狙い澄ましたかのように公式アカウントから告知があり、その内容にとても感心しました。

募集テーマは日常です。と言われると、
その定義を教えて欲しいと思うかも知れません。

しかしこのプロジェ

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いい写真ってなんだろう

いい写真ってなんだろう

いい写真ってなんだろう。
SNS全盛の昨今、「いい写真」を撮影するためにカメラを持って出かけていく人は星の数ほどいることでしょう。
一際輝くためにインパクトや彩度を高く設定し、現実とはかけ離れた世界を創り上げる写真が世の中には溢れているように思います。
それらがいい写真だろうか?と問われれば、全然違うよと答えます。

私が好きな、いい写真ってこんな感じです。

作家のこだわりを感じることができる写

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400TX project ~霧の旅~

400TX project ~霧の旅~

この夏、400TXprojectに参加しました。

写真家・RenatoRepetto氏が所有するNikonF2とMicroNikkor55mmをお借りし、1ロール36枚撮りのKodakTri-Xで写真を撮影、Renatoさんに返送すると言う企画です。返送したフィルムはRenatoさんが現像し、SNS上で公開して下さいます。※当然ですが、Kodak社・Nikon社が協賛しています。

私の写真のS

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