金木犀の香り

SNSの呟きにふと心を留めた。

「金木犀の香りがする季節になった。」

キンモクセイ。
そうか、そういう季節なのか。

そもそも、金木犀が秋の花だということすら、私は理解していなかった。

金木犀を北海道で見かけたことはなかったし、関東に来てからも意識して探したことがなかった。

おそらく、匂いを嗅いだことはあるのだろうけど、その匂いを思い出せるほどの記憶を持ち合わせていない。

経験のないこと、意識していない事や関心の低い物事を思い出すことはできない。
至極当たり前のことだ。

多くの人に匂いを共有する方法があれば話は別だろうが、そんな技術は今のところ存在しない、と思う。

一方で、視覚は映像や写真を通して共有できる。
本当に良い時代になったと思う。
他者の経験を、ネットを通して簡単に入手できるようになった。

私達は家に居ながらにして他者の視覚を通して体験を共有できるようになった。

私の写真も、突き詰めればここに行き当たる。
経験や資格の共有。
自分の思いを簡単に伝えられる時代だ。

そんな時代にあっても、未だ簡単に共有できない経験もあるのだなぁと思うと、少し嬉しくなる。

自分の足で探す余地はまだあるということだから。
写真についても、そんな気持ちで発見を重ねていきたいものだ。

金木犀を探して、その香りを自分の記憶に残そうと思った、そんな週末でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?