田中かしこ
未来と今と過去を行き来する小説です。 「そんかへ」という短編を書き直しました。 特別な実を栽培していた今と過去、栽培が禁止されてから60年経った未来。 ぱっとしない者たちの物語です。
創作物をまとめています。
館がつくような建物に行ったこと
夏区画の、早いものが実をつけ始めました。 色艶も良く、時期も例年より二日遅いだけで、…
実が生った。 公式文書にそう記されたのは、あじゅが旅園に入る八十七年前。(実産業の終…
続けざまに読んだから、雑感を書くだけなのですが。 前提として、京極堂シリーズは塗仏の宴ま…
泡もなく、水の中を落ちて行く。 沈もうという意思も、実の樹に辿り着こうと藻掻きもせず…
ベッドの上で腹這いになって、D[デニール]はあじゅの日記を眺める。 もうほとんど覚え…
観てきました。 桟敷童子はやるってだけで観に行ってしまうから、いつも事前にどんな劇なのか…
満員電車は、東京だろうか。 言わないとわからないよと、人に言う。 言ってもわかってもらえ…
嵐でした。 夏の嵐でした。 青空に雷が鳴り、蝉が負けじと鳴く嵐の日でした。 一雨来…
その鳥を見たときから、行きたいと思っていた。 西や南にはあちこち行ってみたけれど、東…
ほとんど同じ語句が並ぶ派遣元の求人をだらだらと眺めて、やっぱり選べないなと実感する。 …
ほんの少し資料の探し方を変えるだけで、仕事のスピードが上がることを発見した。担当社員に…
あ、あ、 あ、大丈夫そうですね。 えっと、私は今、ホテル、というか宿泊施設、実験施…
花火大会が開催する。 もう15年前のこと、稽古を早めに切り上げてもらって、みんなで座る…
――男の人ってポンポンおしゃべりできないじゃない 女が男を評するとき、いつも少し居心…
まとめノートを作るのが好きだった。 中学の時、テスト前にノートを提出していた。まとめ…
テレワークで意味と価値に搦めとられて、植物を育て始めた。 誰も褒めたりしない、やって…