並列求人タイル
ほとんど同じ語句が並ぶ派遣元の求人をだらだらと眺めて、やっぱり選べないなと実感する。
選択をするのが苦手だ。
20歳で時給1000円のアルバイトをしていたのに家を出たり、東京じゃないところに行ってみたいと高知に行ったり、世の中のお金のことを知ろうと経理関係の仕事に就くために東京に来たり、舞鶴に行ったらこのまま北西にルート変更したら鳥取砂丘に行けるなと旅程を変更したり、大幅な変化はあんまり後先考えずにしてしまう。
だけど例えば、三、四軒の飲食店の食べログを見ても、どれがいいと思うことはほとんどない。どれも似たようなものに見えてしまう。それを選んでと言われるのが、苦手だ。メニューは違う、でもメニュー以外、何が違うのだろう。意外と優柔不断なんですね、と元同僚に言われた言葉とか、そういうものばっかりが凝り溜まっていく。
たまにSNSで「スーパーに行って食べたいものがないと思ったら、かなりストレスが溜まっていますよ」と流れてくるのを見て、食に関する興味はあることが普通なのかと地味にダメージを受ける。
それで職の話だ。
そんなわけで、そう真っ当な生き方はしてきていないのだけれど、齢もうすぐ38、もしかしたらもうとっくに人生の半分を過ぎてしまったかもしれない年になって思う。
20歳そこそこで人生の大半の時間を過ごす(かもしれない)職を選ぶのは、無理じゃないか。
どうやったら、ダイヤの5とスペードのジャックとハートのエースから自分の時間を選べるのだろう。
それでもほんの少し経験値は上がったから、簿記の資格だけでほとんど実務経験がないままだと厳しいだろうなとか、1級まで取ったら大卒要件に何とか入り込めないかなとか(上級資格取得には、なぜか大卒資格が必要なことが多い。1級まで取得したら、滑り込める。なぜこれから取る資格に学歴が必要なのだろう)、期間限定で実務経験を積めば選択肢が広がるかなとか、大雑把な方向性は見えてきた。
そういうことを、20年くらい色々な仕事をしてきてようやく知った。たぶんちょっと遅いんだろうけれど。
そう考えると、新卒を採用することは、お互い中々難しいのかもしれない。自分自身も得手不得手が分からず、職務経験もない。中途採用であれば具体的な実績をPRしないといけないけれど、新卒なら判を押した振る舞いをせざるを得ないのじゃないだろうか。判を押しつつ、どれだけその判を綺麗に押せるか、みたいな競争になってしまうのか。
大変だな、新卒。
中途半端な私は、このままずっと東京に居るだろうか、とかまたよく思うけれど、東京を出ようと決めたらどうせまたさっさと準備を始めるのだから、迷ったり悩んだりしていることは、とりあえずそのままにして、底を突いた貯金を積み上げて、資格や経験をきちんと積み上げて、いつでもどこでも行ける準備だけはしておこう。
最終的には、なるようになれ、という大雑把さが、果たして経理・会計に向いているかは、また何年か後のお話。
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