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道具 ――ディーン・ボーエン展――

 その鳥を見たときから、行きたいと思っていた。

 西や南にはあちこち行ってみたけれど、東京より北へはほとんど行ったことがない。特急料金なし、電車で行ける群馬は、この暑さに少し遠かった。
 会期ぎりぎりの土曜、上野駅構内で半ば迷子になりながら群馬へ行った。

 群馬の森、という大きな公共施設に、群馬県立近代美術館があった。
 県庁所在地の前橋市で、この規模の公共施設が運営できることは、東京にも高知にも難しいのだろう。(極端な比較だけれど、地に足がつくのはその2つだけ)

 美術は素人だから、あいかわらず、(自分の鑑賞の仕方は合っているのか?)と疑問を持ちながらも、少しは慣れてきたのか、ざっと見ること、気になる部分には集中することを割り切ってみたら、見終わった後に展示リストの作品名で作品が再生された。(最近、雑さを覚えてきて、もしかしたら初めて文章が読めるようになっているのかもしれない。緩急のない、ずっと目をかっ開いて、見る/読む行為自体に集中することが、丁寧に読む、ことだとどこか思っていたけれど、見る/読むにもどうやらリズムがあるようだ)

 なので素人らしく、気になったこと、気に入った作品を箇条書きにしていきます。

  • キャンバスを超える「顔」を書いてもいい

  • イドと車が合体したような、口が開いている車がかわいい

  • 油絵はある種の立体と捉えていいのだろうか?(触りたくなる、触ってないよ)

  • 『愛の家』というドストレートな作品が好きだ

  • 使う道具による、対象の捉え方の変化

  • とくにハリモグラ、絵とブロンズで同じ生物を同じ人物が造っているのが面白い

  • 家、が多かった、道も多かった、あてどない道行きというより、目的のある道中、の印象

  • 星空が細かく描き込まれていた

  • オマケ 2階の常設展 輪郭線とは何か

展示最後の撮影スポット
展覧会ガイドを見ると、かなりの大きさのよう。


 そういう場所だから、最寄り駅からバスに乗る道のりで、そういう場所だから基本的に車で来る生活圏で、帰りのバスまであと1時間、徒歩40分、歩こう、と歩いてしまった。
 大変良い天気で、暑かった。道中ポカリを飲みながら、飲んだポカリが汗になってだくだくと流れて行った。
 そういう場所だから、あんまり歩道は整備されていないのだけれど、久しぶりに広い空と山並みを味わった。

山、雲、空!

 このくらい広い方が、やっぱりえいなあ。

 最後に、久しぶりに電車のドアが手動で、声を掛けてくれた学生よ、ありがとう。


おみやげのメモパッド


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