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オリジナル小説│端役の徒然 2 サービス


「サービスが悪いわね」

そう言ってくる客がいた。

取り置きもできない、
他店から取り寄せもできない。

確かにそれは不便だ。

だがしかし、当店の売りは〝安さ〟である。

サービスは無料だと
思っているのかもしれないが、
そこには人件費や諸経費が必要なのである。

取り置きする場所が必要で、
取り置きの情報を共有する手間、
システムが必要だ。

他店からの取り寄せも、運搬費、
それに関わる人の人件費、
在庫移動に関する雑事等々
無料ではできない。

今だって無駄な仕事を増やさないでほしい
くらい忙しい。販売員ではあるが、
レジ打ちをするだけではないのだ。
暇ではない。働き手もギリギリまで
人数を削られていて、
正直手が足りていない。

今の安さがあるのは、無駄を省いた結果だ。

〝安さ〟が当店のサービスであるのだ。

お望みのサービスを実施するとなると、
安さは実現できなくなる。そもそも
サービス業ではなく物を売る小売業。
商品の品質も悪くないので、破格だと思う。

「サービスが悪いわね」

そう吐き捨てていくゴm...客には

「申し訳ございません」

そう言いながら、─なら高い金払って
サービスの良い店に行けよ─
なんて心の中で思っている。



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