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Guitar1109

今回の「その日の歌」はChristina Aguileraの"Beautiful"。前回のBritney Spears("Lucky")との関係で思い出したから。

Christina Aguileraはブリちゃん同様ミッキーマウスクラブ出身で、だいたい同時期にティーンのアイドル枠?的な感じでソロデビューしたんだけれども、二人の売り出し方はだいぶ違った。ブリちゃんはまあいわゆる「ティーンのポップアイドルらしい感じ」だったんだけど、Christina Aguileraはデビューアルバム初のシングルカット曲から「私はボトルの中にいる妖精だから擦って外に出しなさい」とか「身体は進めと言っているけど心は待てと言っている」等、なかなかに露骨な歌をバキバキの金髪細眉に露出の多い格好で歌い上げていて、まず、その歌がアイドルとしては明らかに頭を抜けていて抜群に上手いし、ニコニコとスマイルを振りまいてかわいらしさを売りに、なんて感じではなく、むしろ眼光鋭く芯が強く絶対にブレないし妥協しない、自我が確立した強い女性といった感じの近寄りがたい雰囲気すら漂わせていた。(二人のやや後に出てきたJessica Simpsonも歌はまあ上手かったけど、そこともやはり別格だった。)

そんな感じでとっつきにくく、私は結局CDを買うことが無かったんだけれども、何故か、ビルボードチャートを毎週チェックしていた時期の(チャートに乗っているから)わりとよく聞いていた曲ではなく、記憶が欠落している&外篭り状態で洋楽チャートから離れていた時期の"Beautiful"が思い出された。これはおそらくTVKテレビの番組ではなく、今と同じようにラジオ(AFN)で聞いて知ったのではないかと思う。

今回、"Christina Aguilera You are beautiful"で検索をかけて(タイトルは"You are beautiful"だと思っていた)、正確な曲名を知った。歌詞を初めて読んだけど、改めてこれはとても良い曲だと思った。

野鳥版日本語↓
ーーーーー
日々は素晴らしいものね
だけど突然息ができなくなる
時々私は不安定になるの
ありとあらゆる痛みによって、とても恥ずかしいことだけれども

私は私でいていいの、誰が何と言おうとも
ことばが私を落胆させることはないわ
私は私でいていいの、全てどんなに小さな点においても
そう、ことばは私を落胆させたりしないの、嗚呼
だからあなたは今日私を落胆させないでね

あなたの周りの人間に伝えるわ、狂っているって
自分の悲運の中であまりに消耗しているんでしょう
その空白を埋めるために必死になっているのね
ピースはどこかへ行ってしまった、未完成のパズルを残したまま
そうなんでしょう?

あなたは美しいわ、誰が何と言おうとも
ことばがあなたを落胆させることはないわ、嗚呼
あなたはあなたでいていいの、全てどんなに小さな点においても
そうよ、ことばはあなたを落胆させたりしないの、嗚呼
だからあなたは今日私を落胆させないでね

私達が何をしても
(私達が何をしても)
私達が何を言っても
(私達が何を言っても)
私達は楽曲の中の歌なの
美しい失敗に満ち溢れたね

そして私達がどこへ行っても
(そして私達がどこへ行っても)
いつでも太陽が照り輝いているわ
(いつも、いつでも太陽が照り輝いているのよ)
そして明日になれば私達は向こう側に行けているかもしれない

私達は美しいの、誰が何と言おうとも
ことばが私達を落胆させることはないわ、嗚呼
私達は私達でいていいのよ、全てどんなに小さな点においても
そうよ、ことばは絶対に私達を落胆させたりしないんだから、嗚呼
だからあなたは今日私を落胆させないでね

今日私を落胆させないでね
私を落胆させないでね、今日
ーーーーー

この曲は傷つき傷つけられて自信を喪失している人々に「あなたは美しい」「自分でいていい」とエールを送っている。PVには体型コンプレックスの女性、女装したい男性、いじめられっ子、ゲイ、不良?というかアウトサイダー等、マイノリティーの人々の姿が多く映し出されていて、その人々へ向けて、加えて彼らと一緒に私達に、アギレラ様が歌いかけている形となっている。

曲の中では "I am beautiful"→"You are beautiful"→"We are beautiful"と、主語がだんだん変化していく。
最初はアギレラ様の"I"である。彼女ですら「息ができなくなり」「不安定になる」ことがあるのかと親近感を抱かせた後に、彼女の"I am beautiful"である。誰も否定することができない。
次に来るのは"You"。つまり、傷つき自信を喪失している人々。そして彼女はその周りで彼らを傷つけている人間に対して「おかしい」と言い放ち、彼らを全面的に肯定する。
そして最後は"We"。つまり、傷ついている人々とアギレラ様が結ばれた形だ。あのアギレラ様に「(あなた攻撃してくる人間が狂っているの、そんなおかしいやつらのことは考えない、)私達は私達、それでいいのよ」と言われたら、「そ、そうかな、、はい、わかりました、、???」とならざるを得ない。よね?

本当によくできている。そしてこの曲歌えるのはやはり彼女だからこそ。(ブリちゃんがこの曲を歌っても「何か違う」感があるし、逆にアギレラ様が"Lucky"を歌うのも同じ。流石、一流の製作者達は楽曲と人を適切に見ている。)

家、学校、職場、その他あらゆる場において、自分の存在も、個性も全て否定されて絶望している人々へ。
あなたはあなたでいていいのです。アギレラ様も味方です。姉さん(l'll stand by you"(Pretenders))ダレン("Crash and Burn"など)もCoccoもいます。Stingの"English man in New York"TLCの"Unpretty"Sheryl Crowの"If it makes you happy"なんかも良いよ。

あなたを傷つけてくる人間はたくさんいるかもしれないけど、そんな人間のことより、あなたを傷つけることのない人とその優しいことばに目を向け耳を傾けてみてくださいね。
"Yes, words can't bring us down."

害のある人間からは離れて、逃げて、安心できるところ、攻撃されないところを確保して、優しいことばに触れてくださいね。到底会うことができない人も、その人々の優しいメッセージも、絶対に私達を傷つけないから。

野鳥があなたと会うこともないけれど、あなたが安らかな気持ちでいられることを、遠くから祈っています。寒くなってきたから暖かくして、美味しいものを食べて、良い音楽を聴いてね。「あなたにとって良い」もの、ね。


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