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A wild bird

私は野鳥

危険な場所には近づかない
危ない人間がいたらすぐに逃げる
そしてその時が近くなったら人前には姿を見せなくなるの

人間って大嫌い
すぐに籠に閉じ籠めるし
楽しく囀っていたら歌え歌えって監視するようになるし
平気で羽を毟ったりする

だから私は声を捨ててしまった
羽ももげてしまった
そして逃げ出したの

その後暮らしたところはそれなりに良かったわ
花園で遊んで甘酸っぱい果実を啄んだりして
木や草だけでなく土や虫とも仲良くなれた気がする

でもねそれももうおしまい
外だけきれいに見せていたとしても中は違うの
あとお客さんでいる時と「内」にいる時も違う
あんなに知っていたのに忘れていたわ
愚かよね
全ては間違いだった

私は最後に失われた声と翼を探しているの
月と闇夜の芝生がお友達
静かに何もせずそこにいてくれるって優しさね
危害を加えてこないのが何より大切

私はもう野鳥だから
気ままに進むことにしたわ
効率が悪くてもいいじゃない
私のための歌なんだから

私は野鳥
声と翼を探すため
じっと闇夜を待っている

私は野鳥
空に還る日を待っている

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