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マリア・フィッツハーバート。女のプライド
Ⅰ
その生真面目さゆえに『農夫ジョージ』と敬愛されたジョージ三世に対して、その息子ジョージ四世は何もかもが父王と異なった。ジョージ四世は機知に富み、教養高く会話術と審美眼に優れ、美的センスがあり、イギリス最高のジェントルマンと称される一方、大酒飲みの大喰らい、熱狂的な競馬狂いでそのために国費すら傾ける放蕩者で有名だった。
当然のように女たらしだったジョージ四世は数多の愛人を抱えたものの、そ
アセンブリー・ルームと社交界
貴族や上流階級の社交や娯楽と言うと宮廷やお屋敷でやっているイメージがあるけど、あながち間違いでもなく、18世紀まで娯楽の中心は家で、演奏会にしても舞踏会にしても宮廷やカントリーホームに招待する、される事で娯楽は楽しむものであり、男女共に入場を許された公共の娯楽施設は劇場くらいのものだった。
17世紀以降はコーヒーハウスやジェントルマンズ・クラブが社交の選択肢に加わるものの、これらは女人禁制の
ジェントルマンズ・クラブ。上流階級の条件
17世紀、コーヒーハウスが流行すると多様な身分階層の男達が連日押し寄せ、店は多様性の坩堝となった。しかし次第に共通の話題や価値観を持つ者同士でコーヒーハウスは貸し切られたり、別室が作られるようになる。これがクラブの始まりだった。政治や経済、科学や文学、芸術等々に特化したクラブが現れる。しかし特に格式が高いと一般に思われ、所属する事それ自体が大変な名誉であり、また身分やステータスの大幅な上昇を意味
もっとみる1944年のクロスワードパニック
1913年にアメリカで誕生したクロスワードパズルは新聞紙の常連となり、1920年代には爆発的な流行を獲得した。余りの流行の加熱ぶりと、愛好者の中毒ぶりからクロスワードパズルは非道徳的だと思われ、そんなものしてる時間があればちゃんとした本を読んだり、隣人と会話したり、労働に精を出せとモラルパニックが懸念される。何だか何処かで聞いた話で、いつの時代も時間を奪う物と言うのは槍玉にあがりがち。
そん
イギリス貴族とその序列。
貴族ってパーティーの席次を巡って争ってそう。
そんな庶民的な偏見があるけど、そうした争いが起こらないよう、序列と言うのがある。最もよく知られているのは公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5つだけど、王族に関しては別格なのでたとえ称号としては伯爵でも公爵より席次が上と言う事もある。
臣民貴族の場合は勿論公爵が筆頭で、最下位が男爵。その下に『貴族ではない』と定義される世襲の称号である準男爵と、一代
ターレットファイター、デファイアント
デファイアント、その名を聞くと航空機ファンは震え上がる。何せこの戦闘機、戦闘機なのに前に撃てる機銃がない。もちろんミサイルなんてない時代なのでデファイアントは敵の後ろを取っても射撃のできない機体だった。
代わりに後部には四連装の機銃が搭載され、しかもそれらは砲塔(ターレット)によって360度回転するので射角は広い。こうした戦闘機は当時イギリスでターレットファイターと称され、デファイアントはそ