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vol.4 藤崎彩織「ざくろちゃん、はじめまして」を読んでみた

SEKAI NO OWARIのSAORIさん、
作家としては藤崎彩織さんの
「ざくろちゃん、はじめまして」
(水鈴社)を読みました。

2017年には、初の小説「ふたご」が
直木賞候補になるなど、文筆活動も話題です。

今回、この本を読むきっかけになったのは、
雑誌での芸能人の方のおすすめだったのですが、
SEKAI NO OWARIに関しては、
女性が1人入っている音楽グループ、
セカオワハウスに住んでいる、
紅白にも出場していた、
くらいの知識しか持っていませんでした。



前提知識なしで読み始めましたが、目次を見て、
小説ではなく、エッセイだということを
この時点で知ることに。

妊娠・出産編、育児編、これらのおよそ6年間の
ことが赤裸々に綴られています。

この本のタイトルにもある、
ざくろちゃんについて話が進められていきます。

過去に、レコーディング中にスタッフの子供が
ジャングルジムから落ち、怪我が心配で
そのスタッフが帰ってしまったときの心境と、
妊娠してからの心境とでは、
大きく変わっていることが綴られていますが、
ここはまだ序の口。

妊娠11週目、
収録中に吐きそうになった場面では、
吐くことを我慢したときの
描写もリアルなのですが、何より、
心配をしてくれている身近なスタッフが発した

「妊娠は病気じゃないからね~」

というスタッフの方なりの
気遣いの言葉に対する、
著者の心情がこれでもか、
という迫力で書かれています。



そんな中にあっても、
癒されるのは他のメンバーとのお話。
妊娠20週目。

『サオリちゃんがいないと華がなくてヤバいよ』
LINEのメッセージに添えられた写真を見たら、
泣けてきた。
確かに3人だけでは売れなそうだ。
ううう。
私セカオワにいないとダメかもぉ。

セカオワハウスにメンバーが
一緒に住んでいたので、
仲はいいのだろうと思っていましたが、
人としてお互いにリスペクトしていることが
伝わってきました。



ところが、無事に子供を産んだ、生後4週目。

夫というよりは、もはや男性全員に嫌悪感がわいてきた。

ラブさんを含む、メンバーのことを獣よばわり。
女性ホルモン(作中では「ホルちゃん」)
の影響らしいのですが、
産前産後の気持ちの変化が
ページをめくるごとに現れるのは、
ミステリーにも近いドキドキがありました。
(あとがきの最後に書いてある
夫に対する思いが、最も怖かったです)



私は、ミステリーが好きなので、本屋に行っても
ミステリーの文庫のコーナーにばかり
目が行ってしまうのですが
(文庫でないと読むのが億劫)、
芸能人のおすすめをきっかけにして、
普段、自分が選ばないジャンルの本を読むのも
たまにはいいなと思いました。


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