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物語の創りかた

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小説やマンガ原作に関して、物語をどう創り、構成し、演出するかについての記述
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記事一覧

創作に関するQ&A その3

創作に関するQ&A その3

 ちょっと間があいてしまってすみません。今回で最後になります。全部で31個のご質問をいただきました。
その1はここでーす。
その2はこっちですよー。
 さあ、いってみよー! 

19.文章の語尾に悩みます。(大学生)

20.技術的に向上しているけど、勢いがなくなった気がします…(学生)

21.一文が長くなってしまいがち……(大学生)

22.もう一ヶ月同じプロットを練ってます……(19歳)

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創作に関するQ&A その2

創作に関するQ&A その2

 オリジナルでも二次小説でも、若き字書きさんに向けた小説創作に関するQ&A第二弾です。ちなみに第一弾はこちら。
 さてさて、さっそくいってみましょう。

10.キャラクター作りに関するご質問(高校生・他)

11.大量の文章を書く時、集中するには?(大学生)

12.小説を書くにあたって、何を勉強すればいいのでしょう?(大学生)

13.映像をイメージして書くのですが……(20歳)

14.文系大

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創作に関するQ&A その1

創作に関するQ&A その1

 この記事を書いているのは、2020年5月16日です。
 現在、新型コロナウイルスの影響が多方面に出ています。私は仕事柄&オタクなので、ふだんもほぼホームにステイしているわけですが、そうではない皆様は大変ご苦労されていると思います。
 また、ホームにステイしたくてもできないエッセンシャルワーカーの方々には、この場をお借りしてお礼を叫ばせてください。医療従事者のみなさん、スーパーの店員さん、運送業の

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中村明日美子先生に聞こう 後編

中村明日美子先生に聞こう 後編

※前編はこちらです。

◆悪いほうが楽しい◆榎田 えーと、それではですね。後半は失敗の話からいこうかな。なにか失敗談ってありますか。

中村 いっぱいあるよ……(遠い目)

榎田 そんな目をしなくてもいい(笑) プロットやネームを作る時の失敗談というか、うまくいかないことというか……ちょっとしたことでいいんだけど。逆に、15年間プロとしてやってきて、こういうのは得意だな、やりやすいなぁっていうのは

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中村明日美子先生に聞こう 前編

中村明日美子先生に聞こう 前編

小説やマンガなどの創作について、ゲストをお招きしての対談企画。
前回の岩本薫先生の続いて、中村明日美子先生の登場です! 

中村明日美子(なかむら・あすみこ)先生

2000年、マンガF(太田出版)にて「コーヒー砂糖いり恋する窓辺」でデビュー。以降、官能的なストーリーから青春もの、ボーイズラブまで多彩な作品を送り出している。代表作に「Jの総て」「同級生」「卒業生」「ウツボラ」「鉄道少女漫画」など。

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ご質問/語彙と知識について

ご質問/語彙と知識について

 ちょっと前なのですが、こんなご質問いただきました。部分的に引用させていただきます。

「語彙」について、小説を書く上では豊富でなければいけないと思うのですが、これは一体どうしたら豊富に出来るのでしょうか。様々な本を読んでいくしかないのでしょうか。勉強あるのみだとは思うのですが、いざ、書こうとすると中々的確な言葉を見つける事が出来ずに悩んでしまうのです。
 また、「知識」について、例えば主人公の職

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岩本薫先生に聞こう(3)

岩本薫先生に聞こう(3)

(前回より続いてます)

岩本 プロットの中にある程度セリフを入れることによって、主役だけでなく脇キャラの性格も固めていってるっていうのがあるのね。脇キャラって初めからはそんなにガチガチに決め込まないから。

榎田 なるほど……。私も一応自分のプロットを持ってきたわけですが……。(といって取り出す)。『カブキブ!』ですけど、私のはあんまりセリフは入ってないですね。キャラの説明なんかは似てるね。

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岩本薫先生に聞こう(2)

岩本薫先生に聞こう(2)

引き続き、プロットについての対談です。
前回はここですよ~。

岩本 コンセプトシートが固まったところで、三冊それぞれのテーマを決めます。長男はシチリアが舞台のマフィアもので、そこに花嫁略奪や監禁やアクションが入ってくる。次男は日本のホテルが舞台のワーキングもの。再会愛がテーマで誤解やすれ違いが重要なポイントになってくる。三男は成長もので主従愛がテーマ。攻は敬語眼鏡で鬼畜(笑)

榎田 眼鏡で鬼畜

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岩本薫先生に聞こう(1)

岩本薫先生に聞こう(1)

 今回は、なんと豪華ゲストをお招きしてのプロット談義です。
 BL小説家の岩本薫先生にご協力をお願いいたしました。岩本先生、ありがとうございます! 都内某所で対談させていただき、私が自前のICレコーダーで録音し、せっせとテキスト化いたしました(笑)
 BL小説を読まれる皆様ならば、もちろんご存じであろう岩本薫先生ですが、まずは簡単にプロフィールをご紹介。

岩本薫
 小説家。1997年、ビブロスの

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ご質問と回答(1)

ご質問と回答(1)

 今までいただいた、プロットや視点に関するご質問の中から、いくつか回答せていただきます。他にもご質問はいただいているのですが、今までの記事そのものが、すでに回答になっている場合もあるかと思いますので、その旨よろしくお願いいたします。
 ではでは、始めましょう。

【質問】キャラクターのせりふを書き出しながら、性格や、歩いてきた道のりとか考えつつ、はじまり、盛り上がり、終わりをおおざっぱに決めて……

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誰が物語るのか/人称と視点

 プロットの作り方から話がちょっとそれるのですが、先にしておいたほうがいいかなと思うのが、人称と視点についてです。ある程度長い物語を書くようになると、わりとぶつかりがちな問題ではないでしょうか。
 まず基本的なところから。人称ってなに。視点ってなに。……というのを確認しておきましょう。

●人称……文の述語の表わす動作・状態の主体と,その文の話し手との関係にかかわるもので,話 者を含むものを一人称

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では物語ってみよう(5.提出用プロット)

では物語ってみよう(5.提出用プロット)

 ネタ帳、自分用プロットに引き続き、いよいよ提出用プロットの書き方です。さあ、やっとワープロソフトの出番。

 便宜上、提出用プロットとしていますが、この場合誰に提出するのかというと出版社の編集さんに出すわけですね。ならばアマチュアの方はここから先は作らなくていいのか……うーん、いいと言えばいいです。自分用プロットまで作れば、書けてしまう人もいらっしゃると思います。とくにあまり長くない物語(原稿用

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では物語ってみよう(4.プロット実践編その2)

では物語ってみよう(4.プロット実践編その2)

 というわけで続きです。
 今回の説明で使いますのは、角川文庫より発売中の『カブキブ!』という小説の二巻のプロットになります。榎田ユウリ名義なのでBLではありません。まだ読んでない方にとっては当然ネタバレになりますので、早く買って読みましょう(笑) いやいや冗談です。いやいや半分本気です。
 高校生たちが部活で歌舞伎に挑戦するという物語で、歌舞伎にまったく馴染みのない方にも読んでいただけます。とい

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では物語ってみよう(3.プロット実践編その1)

では物語ってみよう(3.プロット実践編その1)

 さー、いよいよ実践編。プロット作ってみまっしょい!
 上の写真は私のプロット作りに欠かせない道具たち。詳細はのちほど。

 と、意気込んだところで、まず初めにお知らせしておきたいのですが、当然のことながら、プロットの作り方というのは100人いたら100通りあります。これから私のやり方を説明しますが、この通りにやる必要はありませんし、この通りにやればうまく物語が作れるということでもないです。当たり

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