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主体性をもつために必要なのは思想や哲学


教育研修会社に勤めて3年4か月、結局のところ話してきた内容の9割は『社員にどうやって主体性を持たせるか』でした。

その問いに、ひとつの答えが見えた気がしたので書いてみます。
退職してはじめての月曜日にそれに気づいたのだから、皮肉というか、必然というか…なんだか不思議です。


* * *


すこし遠いとこからのお話になります。
今日、台湾のデジタル大臣、オードリー・タンさんの生LIVEがありました。


※後日、ハフポストでアーカイブが出るようです!!
オードリーさんのお話もお人柄もめちゃくちゃ面白かったので、本当におススメです。


そこで、ふと思ったんです。

『昔は政治に興味なんてなかったのに、なんで見たくなったんだろう。』



人は自分に関係のある事しか興味がない


これは真理だとおもうんですが、どこまでいっても『人は自分に関係のある事しか興味がない』、言いかえれば、『自分にしか興味がない』んだとおもうんです。


ぼくは以前まで、政治なんてまったく興味がありませんでした。

でも、23歳くらいになってくると、『そんなことすら知らない自分はカッコわるい』、『知れてたらもっと違うふうに世界が見えるかもしれない』って思うようになりました。

『勉強しなきゃ』って思いでちょこちょこ見てたら、『あれ?おもしろい人が意外といるぞ?』みたいに変化していきました。


これも、自分に関心のあるところからのスタートですね。


主体性に大切なのは、「興味を持つ」、「勉強をしなきゃ」って思う、その根源的な理由が自分であることだと思います。
研修では、会社からの役割を伝えたり、上司や後輩からの期待を理解したりしますが、言うなればそれは外部です。

外部は、自分との関係の深度が浅いです。
なので、いかに自分からのスタートになれるかが大切な気がします。


極端な話、外部からの役割・期待と、本人の主体性は関係がありませんし、だから主体性を持たなくても善悪なんてありません。
ですから、上司や人事がそこに対して腹を立てたり幻滅したりするのは誤りで、冷静に契約条件に基づいて評価すればいいだけの話だとおもうんです。
(人事はやさしい方が多いのと、日本はカンタンに解雇ができないのは承知済みです。。。)


ここで、イギリスのことわざを紹介してみます。

「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない。」



必要なのは、思想・哲学


さて、ここからはさらに個人的なことです。

大学3年くらいから読書をはじめて、社会人3年目くらいまでの4~5年でビジネス書を200冊くらい読みました。けど、あんまり役に立ちませんでした。

いわゆるHow toばっかりで、やれば役立つんだろうな、くらいの感覚でした。要は、自分との関連がうすかったんでしょうね。


人間は、表現をする生き物というのが、ぼくの解釈です。

なので、How toのもとになる、思想や哲学がないと自分事になりにくいんです。
個人的に、さいきんは絵画や音楽や映画やドラマやダンスやアニメなど、いわゆるアートと呼ばれるもの、
哲学、宗教、人生観、死生観、歴史、民俗、ことわざ、生物、そういった教養と呼ばれるもの。そういうのと接する時間を多くしてます。

そうすると、自分の理想の生き方や、絶対になりたくない姿ができていきます。しかもその姿は自分ひとりではなくて、社会との関わりのなかに存在しています。


つまり、『自分にしか興味がない』ところの、『自分』の枠が拡がっていくんです。


一人ひとりに思想や哲学ができたら、人間は放っておいてもそれを自己表現していく生き物です。そうしたら、主体性は自然と生まれて、how toも本当の意味で役立つはずです。


主体性は常に現れている


個人的な話から、会社での話に戻します。
人事の方からよく伺ったこういう問題すらも自己表現です。

「忙しそうな先輩に相談しづらい」
⇒迷惑をかけないスマートな自分でいたい

「商品がわからないからお客様に売りきれない」
⇒自分にも他人にもウソをつきたくない

「仕事をする意味がわからない」
⇒自分の人生に納得感を持ちたい


これらは、主体的に仕事を拒否してるんです。

理想の姿、なりたくない姿がある人からすれば、主体性がないんじゃなくて、方向性がズレてるから現れ方がちがうだけなんですね。
上司や人事からみて主体性がないように見えるのは、会社にとって都合がいい社員じゃないだけの話です。


主体性の話をする前に、思想や哲学の話をしよう


今の社会では、組織が社員に求めることのほとんどは業務遂行能力だけです。要は、会社が求めていることを遂行していくだけです。

そんな自己表現もできない環境だったら、思想や哲学をもつより先に、自己防衛が働きます。人間が心身ともに健康的に生きていくためには当然の防衛システムです。


だから、『主体性を持ちましょう』なんていう半強制的な研修をしたところでまったく意味がないんです。というより、強制されると反発するか従順になるのが人間ですから、主体性をもたせたかったら逆効果です。
※軍隊式にしたかったら、おススメです。


主体性をもってもらうには、これだけでいいんじゃないかと思います。

◇考えさせるんじゃなくて、考えるきっかけを提供する。
◇作られた思想・哲学からでてきた表現を受けいれる、応援できる組織でいる。


マズローが唱えた五段階欲求の最上段には、自己実現なんてカッコいい言葉がたたずんでいます。
でも、そんな言葉を使う気はさらさらなくて、自己表現で十分です。入社1日目からできます。


まずは、考えることの楽しさと、ポジティブな自己表現の幸福を伝えつづけたらいいんじゃないでしょうか。その入り口は、how toやスキル、テクニックではなくて、アートや教養だとおもいます。

そこまでが上司・人事の役割です。そこからは、ことわざにもあるように、水を飲むかどうかはその人に任せちゃいます。

だって、まわりが水を飲んでたら飲みたくなるし、どうしても飲みたくなければ居たたまれなくなって勝手に去るからです。



終わりに。


以上、持論を勝手に述べてみましたが、いかがでしょうか。笑

スーパーエリートであればあるほど、アーティスティックな面がある気がしてて、その理由を2年くらい考えてたんですがようやくひとつの結論が出ました。


ちなみにオードリーさん曰く、台湾ではプログラミング技術より先に、デザインシンキングを学ぶそうです。方法よりも考えることを学ぶんだそうですね。

なるほどな~~って。笑

オードリー・タンさんの醸し出す雰囲気、お人柄、やさしい言葉遣い、台湾の状態などなど、、、めちゃくちゃ面白いのでぜひご覧になってみてください。




2020年8月3日
しっぱいノート178日目
えだちゃん。

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