えびそば

あらすじだけを定期的に投稿します。 本編はありません。ご意見、感想などをいただけると幸…

えびそば

あらすじだけを定期的に投稿します。 本編はありません。ご意見、感想などをいただけると幸いです。

記事一覧

35.6℃ #5

冷え性なんだよねえ。と言いながらお湯の中に手を突っ込んであちちあちちと騒ぎながら作る君のパンを、あの時ちゃんとまずかったと言えば良かった。 手をつないで、あなた…

えびそば
6年前
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ラジオの声に恋をして #4

 初めてあの人の声を聴いたのは満月になるかならないかの、とてもいびつな月の日だった。 関越自動車道を缶コーヒーを飲みながら運転していたあの日、ラジオから聞こえて…

えびそば
6年前
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家ある子 #3

今年のお年玉は25万円だった。 去年は、18万500円だった。 久我のおじちゃんは、ぼくがじゃんけんで三回勝ったら500円をくれると言って、三回勝てなかったぼく…

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6年前
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ネトゲ男ネトラレ物語 #2

ポテチの殻が、動いている。 しばらく動くポテチを見ていた。最初はあまりにも寝ていないから幻覚だろうと思った。もう随分長い間ログインしている気がする。ヒゲの伸び具…

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6年前

相肩#1

9月になって、どうやら肩が痛い。 どうやらと言ったのは、相方に右肩が上がっていると言われたからだ。 ある夜、いつも通り仕事終わりにスーパーに寄り、夕ご飯を作ろう…

えびそば
6年前
35.6℃ #5

35.6℃ #5

冷え性なんだよねえ。と言いながらお湯の中に手を突っ込んであちちあちちと騒ぎながら作る君のパンを、あの時ちゃんとまずかったと言えば良かった。

手をつないで、あなたの手はなんでそんなに暖かいの?と不満げな顔をする君に僕の手をあげれば良かった。

世界一のパン職人になるために骨身を惜しんで体温を上げようと格闘する一人の女性とそれをそばで見ている〈ぼく〉の一代記。

ーー世界初、パン職人のスポ根バトルが

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ラジオの声に恋をして #4

ラジオの声に恋をして #4

 初めてあの人の声を聴いたのは満月になるかならないかの、とてもいびつな月の日だった。

関越自動車道を缶コーヒーを飲みながら運転していたあの日、ラジオから聞こえてきた闇をつんざくような奇声は、私の眠気を吹き飛ばし、私を小学生に戻した。

奇声の主は、私の初恋の人だった。

イジメられていた彼に書いたラブレターが、ハガキになって20年越しに今届く!

関東近郊が涙した!ラジオとハガキのラブストーリー

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家ある子 #3

家ある子 #3

今年のお年玉は25万円だった。

去年は、18万500円だった。

久我のおじちゃんは、ぼくがじゃんけんで三回勝ったら500円をくれると言って、三回勝てなかったぼくのホッペをつねったあと、500円を渡し、大事に使えよと言って笑った。

今年、久我のおじちゃんはいなかった。

ぼくの机の中には、鈍く光った500円玉が入っている。

バブル最盛期に本当にあったおじちゃんとぼくのあったかろーどむーびー

ネトゲ男ネトラレ物語 #2

ネトゲ男ネトラレ物語 #2

ポテチの殻が、動いている。

しばらく動くポテチを見ていた。最初はあまりにも寝ていないから幻覚だろうと思った。もう随分長い間ログインしている気がする。ヒゲの伸び具合的にそろそろ11時だろう。動くポテチの正体がスマホだと察したあとはすぐにゲームに戻った。私は、今補給部隊である。

ポテチの殻は、まだ動いている。

そろそろ仕事を辞めて三ヶ月が経つ。仕事を辞めた後、暇つぶしに始めたネトゲは最初つまらな

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相肩#1

相肩#1

9月になって、どうやら肩が痛い。

どうやらと言ったのは、相方に右肩が上がっていると言われたからだ。

ある夜、いつも通り仕事終わりにスーパーに寄り、夕ご飯を作ろうと準備をし始めると、相方は言った。

「ジャミラみたい。」

相方は右肩が上がっている私を見て、ジャミラと言った。

左肩は上がってないのに、相方は私をジャミラと言った。

右肩が上がっていたらしい私は左肩をあげ、

「じゃみら」

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