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ネトゲ男ネトラレ物語 #2

ポテチの殻が、動いている。

しばらく動くポテチを見ていた。最初はあまりにも寝ていないから幻覚だろうと思った。もう随分長い間ログインしている気がする。ヒゲの伸び具合的にそろそろ11時だろう。動くポテチの正体がスマホだと察したあとはすぐにゲームに戻った。私は、今補給部隊である。

ポテチの殻は、まだ動いている。

そろそろ仕事を辞めて三ヶ月が経つ。仕事を辞めた後、暇つぶしに始めたネトゲは最初つまらなかったものの、これ以外にやることは何一つない気がした。気がしていたが、たった今、仕事を辞めてもやっていることがあまりにも変わらない気がしてきた。

ポテチの殻は、まだ、動いている。

動いているポテチの殻を見ると、何もかもどうでもよくなってきた。急にムカムカしてきた。何に苛ついているのかは、全くわからなかった。ヘッドホンを外した。動くポテチの正体はおそらく北海道の母親だ。母親には、まだ会社を辞めたことは言っていない。この時間に出たら、あんた仕事は?そう聞かれる。ならなぜかける。イライラが止まらなかった。もういっそ言ってやろうか。お前が後生大事にした俺は今、どうしようもないクズだと。動くポテチから油でベトベトしたスマホを勢いよく取り出し、出た。

「あ!?」

「、、、」

「おいてめえなんか喋れよ!!クソアマ!!!」

「、、、貴之くん?」

「、、、」

ーーーーー聞いたことない女の声だったーーーーー

デームの中では補給の切れた味方たちが殺されまくってた。

僕は少し笑いながら、

「誰ですか?」

ネトゲとリアルの狭間で出会った男女のワールドエンドネトラレストーリー