フォローしませんか?
シェア
ドント
2020年12月18日 19:52
まずは題名だ。これはもうそのままでいい。 改行して、2行目に学年と名前、ほらもうこれで残りたった98行……まだそんなにあるのか……。 俺は本編1行目を書き出そうとした。 手が止まった。 何も浮かばない。 こういう時は姉貴のメモだ。1.ごく簡単なあらすじや説明、あるいはこの本を読むに至るまで これは難しくない。子供の頃に読んだ本なので、「子供の頃に読んだ本です」というのを適
2020年12月18日 19:53
読書感想文の簡単な書き方。 そんなものは学校で習った記憶がない。教科書にもなかったはずだ。毎年「はい、読書感想文は5枚ね」と言われるだけだ。 いや、もしかしたら女子だけは教わっているのではないか? 保健体育で、男女が分かれて授業を受ける時…… それはさておき、俺は前のめりになった。「あるんですか、そんなものが」「近い」 俺は身を引いて、絨毯の上に正座した。「教えていただけますか?
2020年12月18日 19:54
もうだめだ。助けてくれ。ついに追いこまれた。もう逃げ場がない。大変だ。困った。 10年ごまかし続けたがもう限界だ。どうしようもない。カネもない。おしまいだ。 俺は机に置かれた原稿用紙5枚を見つめながら頭を抱えていた。 俺は高校2年生。今は夏休み。しかも最終日。 目の前にあるのは、読書感想文用の原稿用紙だ。 問題集やらドリルやらは巻末についている答えを丸写しすればいい。というか昨日し
2020年12月30日 18:55
「それと、いちばん奥の間ァは、開けちゃなンねぇぞ」 障子戸を開けようとした直前、ヨシエさんは云った。「さあばさまが、おらっしゃるでな」 その言葉に、興味を引かれた。 戸にかけていた手を離して、囲炉裏ばたに座るヨシエさんの方に向きなおる。「ヨシエさん、『さあばさま』って、何です?」 尋ねると、小さな老婆は首を横にゆっくりと振った。「わがらねェ。オラにゃ、詳しいごだぁわがらねェぢゃ」