小さいころから「知識」は豊富だけど、「小さな感動」を教わっていない子どもたち。
オリンピックで、ホームラーン! 感動のシーンですね! 少なくとも、世の野球ファンにとっては、感動シーンです。そして、勝ったら尚更です。
調べてみたら、若き主砲、村上宗隆選手が、このオリンピック「野球」」で、最初にホームランを打ったんですね。
前回、「感動の仕方」を教えてあげてという話を書きました。
それには、理由があります。
最初に聞いたのは、20年も前、今も誰もが知っている、小学生対象の有名塾の先生からでした。
「タンポポは何色?」知識があっても、身近なことを知らない。
「最近の子は、『知識』は知っていても、『身近なこと』を全然知らない。たとえばこの前、帰り際の小学3年生に『理科で使うから、今、咲いているタンポポ、よく見てきてねー』と言ったんですよ。するとね。」
はい、と神妙に聞いていました。
「『タンポポって何色の花ですか?』って聞く子がいたんです。冗談だと思って『ピンクだよ』って言ったら、その子は真面目な顔で『ピンクですねー。』と言って、帰って行ってしまったんですよ。」
小学3年生で、タンポポを知らない?
なぜだろう? 学校より進んでいる算数の公式や計算、都道府県の名前も全部、漢字で書けるのに、タンポポの色を知らない?
でも、その後わたしも、同じようにこころがざわつく体験をしました。
その先生の話の後、5年後くらいです。小1の女の子が来ました。
わたしは、先取り教育はしないので、少なくとも、小学1年生の1学期が終わって、ひらがなを全部習ってからで大丈夫ですよ、とお話したのですが、
「年中さんから✕✕✕に通って、もう小学3年生までの国語と算数は終わっている。」
とお母さんが言うのです。それなら、ということで、通ってくることになりました。とても上手に、しかも素早く、きれいな字を書きます。
しかし。
思っこと、考えたことを書こうにも、そもそも、お題が決まりません。
日記を書く、ということで来ているのだけど、
「今日、何があった?」
と聞いても、
「えー。別に、何もない。」
と言う。
いろんな質問を投げかけますが、何もないという。
「今週、土日のことでもいいよ。ずっと前のことで、よく覚えているちょっとした事件とか、そんなのでもいよ?」
と聞きますが、
「えー。忘れたー。何もない。」
と言います。
とにかく、何か書かないわけにはいきません。
わたしは、「日記の型」「読書感想文の型」など、「作文の型」をもとに、書く方法を教えているのですが、途中でかなり限定的な作文に変えて、なんとか、400字詰め原稿用紙1枚弱、書けました。
ちなみに、今もこれからもお子さんの例は、個人が特定できないように、多少アレンジしたり、何人かの話を元に構成し直したりしています。
学校で? 何もない=感動がない。
年々そんなお子さんが増えている
今日何した? 何があった?
お母さんや友達には、話しているのではないでしょうか。
「絶対、自分が思ったことを表現したくない」
と言うお子さんは、たまにいます。思春期女子に多いです。
それならそれでいいんです。それなら別の教え方があります。
そこまで人に教えたくない、
「思ったこと、考え、感想、意見」
があるわけですから。
でも、そうじゃない子が、今はものすごく増えました。
そもそも、自分の体験に興味がない。
給食、何だった? というのは、かつての鉄板のお題でしたが、今では3割くらいが「覚えてないー。」と言います。単にそういう質問に答えるのが面倒くさいという子も、3割くらいいます。ふたつの3割はもちろん、両方に属する子がいます。
話を戻しましょう。1年生の女の子です。
給食にも、休み時間のことも、思い出せない小学1年生。作文教室に来ているのだから、作文を書かなければいけないのは、本人もわかっているのです。でも、思い出せないし、興味がないのです。「運動会」とか「遠足」とか、特別な日のことを書くのが作文だと思っているわけでもないし、頭はいい子でしょう。
ただ、お母さんが迎えに来たとき、その子がニヤニヤしながら、お母さんに言ったことに、びっくりしました。
「ねえお母さん、女の子って、(ピーーー・女子の第二次性徴の象徴)が出るんでしょ。」
な? なんでそんなことを知っているの?
昭和なわたしは、学校で習ったよ?
とても、わかりやすい例です。
頭に、年不相応な知識は山ほど入っているんですね。
テレビは見ない、You Tubeばかり、という子が増えたのも、このくらいの時期からです。
お父さんお母さんがみなさん、そうだとはまったく思いませんが。塾など勉強系に通いながら、わたしがHPで「なぜ文章力が必要か?」という理念的なものに共感してきてくださっている方が多いのです。
学力だけではなく、文章力も大切。
そう思ってきてくださる方が多いのですが、ホントに年々、こうしたお子さんが増えています。
そんな時代?
しかし、作文嫌い、苦手と言って来たお子さんが、急にスイッチが入ってしまって、わーっと自ら書き始めるお子さんもいます。
昨年教えていたお子さんは、お母さんがその子を、
「◯◯、あなた、天才だわ。」
と認めました。お子さんはとても喜んでいました。もちろん、わたしもそう思いました。文章を書くのが楽しくてしょうがない! という感じです。
作文は嫌いだ苦手だ落ち着きもない! というタイプでしたが、文章の神は、彼に降りてきたのですね。
この差って、なんなんでしょう。
長くなったのでつづきます。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?