来年度予算案の概算要求の提出締切に先立って、8月21日に四国新幹線整備促進期成会(第6回)東京大会が開かれました。同日、四県の知事(都合により愛媛県は副知事)他は、自民党本部、国土交通省、財務省を訪問し、要望活動を行いました。
東京での決起集会と陳情活動は恒例行事として定着しつつありますが、維新から1世紀半を経て土佐の威光は影もなく(神田駿河台で生まれ大磯町で育った故吉田茂首相の実父は土佐藩士、養父は福井藩士)、戦後に総理大臣を輩出した讃岐と阿波にも大物政治家は見当たらず、四国に新幹線を敷設するために国の予算が割かれる可能性は僅少です。
万に一つ(大どんでん返しで)北陸新幹線の小浜ルートに代えて米原ルートが実現することがあれば、少なく見積もっても総工費が数千億円は少なくなるので、余った(?)予算を岡山駅-宇多津駅間の新幹線(フル規格)敷設に振り向けてもらえるかもしれませんが、(四国4県を除く)他の都道府県民や四国4県の県庁所在地に至る全ての支線(高徳新幹線(-高松駅-徳島駅)、土讃新幹線(-高知駅)、予讃新幹線(-松山駅))の建設を目指す四国4県民の賛同は得られそうにありません。
以前の記事でも述べましたが、4県合わせても人口が400万人に満たない四国に数兆円の投資(全線フル規格の新幹線)を行っても、不動産業者と土木建設業者と建材業者が儲かるだけで、投資を回収することは不可能です。
現時点では、数千億円の投資(岡山駅-宇多津駅の間のみフル規格の新幹線を建設し、宇野線の完全複線化を大幅に上回る速達化(岡山駅-宇多津駅の間の所要時間は15分、在来線特急では児島駅での1分程度の停車時間を含めて最短32分)をはかり、数十年前に取得済の用地内で乗り換えの利便性を最優先に設計・拡張された宇多津駅で既存の在来線に乗り換えて高松駅-徳島駅、高知駅、松山駅へ向かう)で数兆円の投資(全線フル規格の新幹線を建設する)と同様の経済波及効果を狙う方が賢明ではないでしょうか。
その際、通常は岡山県および沿線の自治体が負担する費用を四国4県が肩代わりすれば、話しがまとまり易いと思います。
地元負担を含め、四国で2兆円~3兆円~4兆円も費やすのであれば、毎年国防予算が数兆円上積みされる中、若年層の大都市圏への流出と永続的な人口減少に対処するためにやるべきことは新幹線の建設以外にも沢山ありそうです。数兆円の一部を、例えば、結婚・子育て支援に回せば、四国4県の子供達が大学を卒業するまでにかかる授業料や医療費を無料化するくらいは朝飯前です。
山陽新幹線の線路容量に余裕があれば(秋田ミニ新幹線や山形ミニ新幹線のように岡山駅で山陽新幹線と連結することなく)宇多津駅から新大坂駅まで直通運転することができるかもしれません。また、JR西日本の保有車両に余裕があれば、新たな車両を開発・生産する必要はないかもしれません。
四国4県の経済界は安易に譲歩するつもりはなさそうですが、標準軌の線路が瀬戸内海を越えて宇多津駅まで続けば、日本が高齢化と少子化を脱する頃には、欧米各国(特に米国)のように、一握りの巨大都市に集中しない国土の発展を描き、旅客需要に応じて、宇多津駅から先へ新幹線を延伸する機会は訪れると思います。政治家の先生方と地方公務員の皆さんの英断に期待します。