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【北陸新幹線】小浜ルート(新大阪-敦賀)の総工費は4~5~6兆円

※ 上記の表(事業費・工期等)を含む北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議の資料をこの記事の末尾に添付しました。

日本国有鉄道が分割民営化されて久しい今日、自己負担を抑えながら(例えば、金沢駅ー敦賀駅間についてはJR西日本が年間93億円+固定資産税等の実費を負担)JR西日本は敦賀駅と新大阪駅を鉄路で結びたいようです。

福井県(特に小浜市)が反対し続けた米原ルートは米原駅(東海道新幹線・東海道線)を終点としていましたが、小浜ルートは京都駅(東海道新幹線・東海道線)または桂川駅(東海道線)を横切って・縦切って新大阪駅へ向かいます。他府県民としては、京都駅を終点としても問題ないような気がしますが、東海道新幹線への / からの乗り換えは考慮するに値しないようです。

(前略)

「(のぞみを1時間に)12本ダイヤ」の検討が始まったのは2015年。繁忙期には指定席の完売が続いていた上、当時は東京五輪開催で訪日外国人観光客の増加も見込まれていた。座席数の拡張は必須だった。2本増発できれば、1時間で運べる乗客も2編成分(約2600人)増やせる。

2本とはいえ、増発は容易ではなかった。ひかりとこだまの本数を維持したまま増やすと、回送を含めた全体の運行本数は計18本から計20本に増える。単純計算すると、それまでの「3分20秒に1本」というペースから、さらに数十秒分を縮めなければいけない。

(後略)

また、線路容量の限界(諸説あり)に近い本数の車両が東海道新幹線を走行している上に、北陸新幹線から東海道新幹線へ乗り入れてもJR東海からJR西日本へ収益を分けて貰える可能性はなく、米原駅と同様に、京都駅(周辺)や桂川駅(周辺)で北陸新幹線から東海道新幹線へ乗り入れる案が検討されたことはありません。京都から大阪へ(宇治市と久御山町の境界付近に建設される車両基地と京田辺市の間の地上走行区間を除いて)大深度地下をシールドマシンで猛然と掘り進みます。

尚、脱線逸脱防止装置の違いは北陸新幹線から東海道新幹線へ乗り入れる際に障害になるかもしれませんが

列車運行管理システム(東海道新幹線・山陽新幹線で運用されている新幹線運行管理システム(COMTRAC コムトラック)と東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線で運用されている新幹線総合システム(COSMOS コスモス))の違いについては、素人考えですが、乗り入れる車両が二つのシステムに対応すれば(必要な機器類を二つずつ搭載すれば)克服できるかもしれません。

一方、大勢の国会議員も巻きこみながら、長年に渡り地元の政財界が全力投球してきたにも関わらず、国の来年度予算の概算要求にも未だ調査費しか計上されておらず(整備費については具体的な金額を示さない事項要求)、建設工事が始まる見通しは立っていません。

敦賀駅ー新大阪駅間の8割で地下やトンネル内を走行する小浜ルートの総工費は(京都駅の位置にもよりますが)4兆円近くに及び、完成までに要する20〜30年間の物価上昇・賃金上昇を考慮すれば、5〜6兆円に達すると予想されます。

リニア中央新幹線の品川駅-名古屋駅間の工事が様々な要因で大幅に遅れる中、東海道新幹線が運休した場合に新大阪駅-東京駅間を北陸経由で結ぶルートの存在価値は大きいと信じますが、毎年巨額の赤字を垂れ流しながら国の財政が運営されていることも忘れてはいけないと思います。

追記

万に一つ(大どんでん返しで)米原ルートが実現することがあれば、米原駅周辺の地価は高騰するでしょうが、商業地・人口密集地にある京都駅や桂川駅に比べ、北陸新幹線を米原駅に乗り入れるのは容易かもしれません。(残念ながら、米原駅に隣接する空地(県有地と市有地、操車場の跡地)は先頃13億円ちょうど(坪単価15万円強)で売却されました。)

米原駅東口への進出事業者決定
湖畔の魅力と未来の拠点:米原イノベーション・ビレッジ

環境アセスメント(用地関係調査、地質関係調査、地下水関係調査)、受入地事前協議、道路・河川等管理者との事前協議、鉄道施設概略設計、他が進んでいる小浜ルートに比べ、米原ルートは白紙ですが、完成まで20〜30年かかる小浜ルートに比べ、10〜15年もあれば米原ルートは開通するような気がします。

尚、鳥飼車両基地(摂津市)から新大阪駅に至る区間(営業キロは7〜8km)を(主に車両基地に出入りする車両が走行する線路を増設する目的で)複々線化するには、二層高架にするわけにもいかないので、おそらく、一部を地下に建設せざるを得ず、費用は嵩みそうです。


新大阪駅


鳥飼車両基地



北陸新幹線事業推進調査に関する連絡会議


第5回(令和6年6月19日開催)


第6回(令和6年8月8日開催)


第7回(令和6年8月29日開催)

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