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ずっとずっと願ってる

こうてくだー。

能登の言葉で
買っていかない?
っていう意味。



真夏の図書館。

だけど今日は
冬の能登を感じた。



先日の絵本のイベントで
お知り合いになった方に
能登の朝市の様子を描いた
絵本のパネル展を
紹介していただいた。

しかも今日だけは特別に
能登の方がその絵本を
読み聞かせしてくださる
とのこと。



この絵本の素敵なところは
能登の言葉で
朝市が描かれているところ。

実際の能登の方の言葉で
この絵本を味わえることを
私は前々から楽しみにしていた。



山があって
海があって
おじいちゃんがいて
おばあちゃんがいて…

そんな光景が
頭の中に浮かんでくる。



日本海の冬の音。
低くて深い風の音。

日本海の冬の温度。
ピキッと刺さるような冷たさ。

日本海の冬の匂い。
スッキリ澄み渡る雪の匂い。



そんな冬の朝市に
おじいちゃんおばあちゃんの
能登の柔らかな言葉が響く。



まるで朝市の活気の中に
自分が立っているような
体験をした。



絵本が閉じられる。



そして思い出す。

1月1日の火の海の映像。
コンクリートの建物だけが
ポツンと佇む朝市のまち。



胸がぎゅっと締め付けられる。



確かにそこに
人の営みがあったのだ。

日常の幸せが
そこにあったのだ。

朝市はそこに…。



心の中で
そっと手を合わせる。



能登の幸せを
ずっとずっと願ってる。




「あさいち」
輪島・朝市の人々=語り
大石 可久也=絵
福音館書店