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逆噴射マガジン2020リスト

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#SF

-VS EATER-

-VS EATER-

 パリ、夜の裏路地。カレーライスと八宝菜が手足をバタつかせ、捕食者に悲痛な抵抗を示していた。

 「アァ、ウマイ、こんなご馳走にありつける日がまた来るなんて……」
 「存分に味わえ、これは本来ヒトに許された当然の権利だからな」
 「頭が無くなる!助けて!」

 哀れな被食者にがぶりつくのは薄汚い男女二名、その後ろで黒服男が一人見守る。哀れな被食者の頭部は今に平らげられようとしていた。

 「肉断ち

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探偵玩具デュエロイド

探偵玩具デュエロイド

「なぁ、そこ退いてくれねぇかな」

 塀の上。でっぷりと太った白猫を見上げて、オレは立ち往生していた。
 猫は大きな瞳でじっとオレを睨んでから、大きな欠伸を一つ。
 こいつらは基本的に、オレのような小さな玩具の言う事になど興味が無い。

「確か鉄斎……だったか? 頼む、近道なんだ」

 名前を呼んでやると、鉄斎は少し驚いたようで目を見開くが、動きはしない。
 無理に飛び越える事も出来るが、今は避け

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セツナの久遠

セツナの久遠

 お前だけは許すわけにはいかない。

 御堂クオンはビルの階段を駆け上がった。暗がりの中、屋上から差す陽の光が眩しく輝いている。輝きの中で過去が走馬灯のように浮かぶ……自室にオブジェのように置かれていた美しい屍。クオンは叫んだ。最愛の人、橘ミオ。

 ミオを失った俺の側に、いつでもお前はいた。時に励まし、時に叱咤し、共に犯人を捜し……いつでもお前が……俺の側に、いつでもお前が!

「弑波セツナァー

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自分探しの旅なんて・・・Cyber Journey

自分探しの旅なんて・・・Cyber Journey

気づくと俺は、そこに在った。

眼下に無数の立体:家:密集:街:人間が住まう所
上を向けば空間:空:青
1kmほど先には盛り上がった緑の地形:山だ。
そしてその傍らに、山と同じほどの大きさの何かが立っている。

意識する間もなく俺の目はそいつをズームし、知識が頭に流れ込む:レッサーパンダ:尋常でない巨大さ

その情報と同時に何種類もの感情もインストールされる《選択》愛情:保護:萌え

近くで声がす

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夕顔は咲く、凍夜〈しや〉の涯にて

夕顔は咲く、凍夜〈しや〉の涯にて

 黄昏の星。
 巨大な太陽は地平線上で不動、紅い光で地を照らす。上空を雲が高速で通過する。冬が近い。平均公転半径僅か900万kmのこの星の一年は極短いのだ。紫葉の梢を透かして私はその景色を眺めていたが巨大な荷物を背負い直すと、見送る僅かな人々へと手を挙げて応え、歩き出す。
 凍夜境界線の先へと。

 凍夜は永久に続く嵐と氷の世界だ。人は到底生存不可能。故に私の様な物が用いられる。人を模しながら、人

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真実は二つ、嘘は一つ

真実は二つ、嘘は一つ

 俺は警官の言葉が信じられなかった。

「真美子が存在しない?」
「事実です。来亜誠さん、あなたは電脳をハックされ、偽の記憶を植え付けられました」
「そんな馬鹿な。現に彼女と撮った写真がスマホに……」

 真美子の写真はなかった。一枚も。
 着信履歴やメッセージログなど、彼女を示すものは一切ない。

「真美子なる女性はあらゆる記録に存在しません」

 警官は残酷な真実を告げる。
 真美子との思い出

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真夏のひゅるひゅると、ぐちゃぐちゃ人類

真夏のひゅるひゅると、ぐちゃぐちゃ人類

 侵略者がやってきたのは8月の暑い盛り、それも盆休みのただ中だった。
 オレがはっきり覚えているのは、そいつらがひゅるひゅると降りてきた時にクーラーの調子が悪くてたまらなかったことだ。時折温風が出てくるクーラーを睨んではあの電気屋ディスカウント商品とか言って不良品売りつけやがって殺す! とか思ってたのだが、テレビにひゅるひゅるが映っているのを見てそういうことを忘れて窓を開けた。案の定うちの空にも浮

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超銀河超特急殺人事件

 超銀河超特急とは、宇宙に存在する約2兆個の銀河すべてを周回する、超光速宇宙輸送船列の通称である。全長14 km、幅2 kmの直方体型宇宙船2千隻を直列に繋ぎ、宇宙空間を爆走する姿から、こう呼ばれている。
 アンドロメダ銀河を目指す途中、超銀河超特急の船列がなにもない巨暗黒空間に差し掛かったとき、事件は起こった。

 名探偵ジクヮー3千3百3世は、5億本の細い触腕を蠢かせながら目覚めた。触腕に備わ

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決戦街トーキョー

決戦街トーキョー

 ヒリつくパルスが神経を走り抜け、巨大な脳髄の中でハルトは吠えた。なぜならそれは、失われた都民たちの慟哭だからだ。

「たかが!」

 右腕を振りかざし、

「人口三百万風情がッ!」

 拳を打ち抜く。

 街律者ハルトの拳に連動し、巨大な……余りにも巨大な体躯が唸りを上げる。

 それは人類の希望にして妄執。
 人型の大いなる都市。
 街律に従い命を喰らう、覇道の決戦兵器。

 その名も!

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遺忘のナヴィガトリア

 高度100km、カルマンライン。天獄と地国のあわい。希薄な大気故に昼でも空は黒い。天獄から来る異形の天使達を迎撃する最前線。
 僕は広漠な空を滑る様に舞う。天使の死骸製のスーツは秒速8kmの弾道飛行能力を人に与える。
 目標を視認。
 II型天使が三体、編隊を組んで哨戒中だった。合計で300ある眼が此方を捕捉するより先に戦闘妖精を展開し、攻撃態勢に入る。
 だが8kmまで接近した瞬間、II型天使

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鷹の眼は神を狙う

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ
来月末までに10億ドル用意されたし

さもなくば、全人類を殺す

準備出来次第、署名下の電話番号に連絡乞う
今月29日までに返事がない場合 
翌30日昼、上記行為が可能であることを証明す
 
 GOD 

 

 かつての州境、今は切り立った崖となった場所に、俺とクリスは立っていた。
「で、これに返事はしなかったんだな」俺は紙を返した。
「署名が“神”だぞ? ガキのイタズラだと思うだろ

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熱になった故郷

熱になった故郷

 顔に被せられた白い布を振り落とし、彼は起き上がった。磁器のように固く冷たかった瞼が今は開かれ、自身の体を見降ろしている。

 クラスの通夜。奇病の噂。さして仲が良くなかったくせに泣き崩れる級友たち。白い顔で固まった彼。それらが頭の中で渦巻き、逆巻いて、全身の力を吸い上げた。

 ぐらりと視界が揺れ、すごい勢いで傾いていく。
 排水溝に吸い込まれていくような世界。彼はそこからまっすぐ飛び出してきて

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