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元治元年の狼退治始末
「狼ノ群れ所々村々へ出る。都合二十名余リ、喰殺す。」
時は幕末、元治元年の秋。尾張藩東部の村々に狼の群れが現れ、子供含む二十余名の犠牲者が出たと藩に報告が上がった。
尾張藩は御触れを出し、尾張東部を管理する水野代官所の統括下の村々から猟師を集めた。
そしてある村の崖下にある空き長屋を中心にコの字型に土塁を築き、狼どもをそこへおびき寄せ、退治することとなった。
濃い灰色の雲が崖の下の村を重苦しく
芋を焼け、扉を開けろ。
家で本を読んでいた美雪は、きな臭い匂いに気づいた。開いていた窓から身を乗り出して見ると裏の小山の横穴から白煙が立ち登っている。
「なんだ、山火事か?」
近所が騒ぎ初める。何かを察した美雪は、部屋にあるシューズを履くとスラリと伸びた足を窓枠にかけ、ひょいと飛び出し山の裏側へ全力で走った。
最近は遊び場所がめっきり少ない。僕達3人はいつも退屈だった。どこで遊んでも近所の年寄りにうるさがられる。
さよならだけを人生にしたい!
故・高杉晋作の愛妾、おうのは湯呑を叩きつけて叫んだ。
「あのマニピュラティブ糞野郎共!」
恨みの籠った叫びに笑ったのは、故・坂本龍馬の妻、お龍である。現在は西山ツルであるが、親しいものは彼女をお龍と呼ぶ。
「いっとう弱っていたんです! 本当は尼になんて!」
「そういう時ってあるよねー」
十数年前、高杉は亡くなった。24歳だったおうのは、山縣有朋や伊藤博文に強く言われて出家した。彼らは高杉の愛
【Are you knockin’ on heaven’s door?】
カーブ。ハンドルを右へ。
ヘッドライトに人影。
ブレーキ。瞬間、衝撃、音。
意識が飛びかける。引く血の気。脂汗。吐き気。
震える手でサイドブレーキを引き、ドアを開け、車を降りる。足元がおぼつかない。ふわふわのマットを歩いている気分。
スーツの、おそらく男性だ。道路に倒れて動かない。恐る恐る近寄り、声をかける。
「すいません・・・。大丈夫ですか。」
これが俺の声?
「あの、大丈夫ですか?」
【歌え、鳩よ、弔いの詩を】
拳銃は意志を持つように健太の手を殴りつけ、跳ねた。幼い、狙撃には弱すぎる指で握り直す。恐怖の汗で銃把が湿った。
弾は無論、掠りもしなかった。
軍曹は中身が掏り盗られたホルスターに触れ、健太に目をやった。賭けポーカーをする子猫を見るような顔だ。夕陽を背負い、焦茶の皮膚は闇のように暗い。
ふいに風を切る音がした。健太の手から拳銃が消え、指先に痺れだけが残った。
軍曹が握るものに、健太の目
地獄も投げ出した家にて
ナカモトの家の玄関は広く、すっきりとしていた。新品のスニーカーが1足だけ。起爆装置のひとつやふたつはあると思っていたのだが。
「手応えのねえ扉だな。高級エンジニアにしては防犯意識が低過ぎら」
荒事屋のブルーザーがブッターギルン社の電ノコを止めて言った。
「仕事は楽な方がいい」おれは言った。
売れっ子にはおれの気持ちはわかるまい。おれにはあと28時間しか残されていないのだ。それまでにナカモトか
恋せよ乙女、さもなくば死ね
命を賭けた恋、これは比喩ではない。
この恋を成就させなければ、私は死ぬことになる、らしい。
きっかけは軽い気持ちだった。詳細は省く。縁結びの神社にお祈りをして、呪われた。
縁を結ぶ代償らしい。タイムリミットは3ヶ月。その間に想い人と恋仲になれなかったら、私は命を奪われる。
そうなれば行動する以外ない。翌日、
「青山先輩!」
「ん、どうしたの?」
「今日の帰り、フルーツサンドが美味し