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逆噴射マガジン2020リスト

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記事一覧

元治元年の狼退治始末

元治元年の狼退治始末

「狼ノ群れ所々村々へ出る。都合二十名余リ、喰殺す。」

時は幕末、元治元年の秋。尾張藩東部の村々に狼の群れが現れ、子供含む二十余名の犠牲者が出たと藩に報告が上がった。
尾張藩は御触れを出し、尾張東部を管理する水野代官所の統括下の村々から猟師を集めた。
そしてある村の崖下にある空き長屋を中心にコの字型に土塁を築き、狼どもをそこへおびき寄せ、退治することとなった。

濃い灰色の雲が崖の下の村を重苦しく

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グレイブディガー

グレイブディガー

墓石のように陰鬱な灰色の壁で造られた廃ビル。内部の荒れ果てたオフィスフロアに二人の男が対峙していた。くたびれた作業着の細身の男と、身長180cm以上、緑色のモヒカンで大柄な男。

「あなたうちの社員じゃありませんよね」

細身男は眼に生気が感じられない。

「ああ、違うな」

大柄男は獰猛な笑顔を見せる。

「じゃあ死んでください」

細身男が言った途端、彼の口が不自然な角度まで大きく開き、注射針

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芋を焼け、扉を開けろ。

芋を焼け、扉を開けろ。

家で本を読んでいた美雪は、きな臭い匂いに気づいた。開いていた窓から身を乗り出して見ると裏の小山の横穴から白煙が立ち登っている。

「なんだ、山火事か?」

近所が騒ぎ初める。何かを察した美雪は、部屋にあるシューズを履くとスラリと伸びた足を窓枠にかけ、ひょいと飛び出し山の裏側へ全力で走った。

最近は遊び場所がめっきり少ない。僕達3人はいつも退屈だった。どこで遊んでも近所の年寄りにうるさがられる。

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メタル・オルガン

俺の名は大和メタル!
物心ついた頃から病気をしたことがない健康優良男子高校生だ!

なんの研究をしているかわからない爺ちゃんと2人で平和に暮らしていたが、その日々は唐突に終わった!

研究所が爆発、爺ちゃんは瀕死!

「メタル…よく聞け、お前は儂の孫ではなく、孤児だ…儂はお前に、とある研究成果を植え付けた…」

「なんだって?!」

「お前の内臓…気管から消化器系、循環器系に至るまで、全ての臓器が

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仇統のアステリズム

仇統のアステリズム

 狂王を廃す、それ自体が狂った考えだと弟は笑った。良く笑ったその顔は、胴体と離れ血に塗れて床に転がっている。
 何故、何時バレた。この計画は弟──キタルファと副官にしか話していない。
「王女」
 死体の傍に跪いていた私はその声に反応し、剣を抜き打つ。
 キィン。
 星統の祝福を受けた硬銀製の剣が火花を散らし、窓から入る光源、二十八星の輝きを圧した。
 紫微宮の奥の院にある私の部屋まで来れるのは、王

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さよならだけを人生にしたい!

 故・高杉晋作の愛妾、おうのは湯呑を叩きつけて叫んだ。
「あのマニピュラティブ糞野郎共!」
 恨みの籠った叫びに笑ったのは、故・坂本龍馬の妻、お龍である。現在は西山ツルであるが、親しいものは彼女をお龍と呼ぶ。
「いっとう弱っていたんです! 本当は尼になんて!」
「そういう時ってあるよねー」
 十数年前、高杉は亡くなった。24歳だったおうのは、山縣有朋や伊藤博文に強く言われて出家した。彼らは高杉の愛

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毒娘ビーチェ

毒娘ビーチェ

 吐息だけで人を殺す女を探してほしい。そんな依頼だった。そいつのせいで俺は今、路地裏で背中をグッサリやられている。
 
「捕らえるのはこちらがやる。お前がやることは、『捜す』『見つけたら連絡する』。それだけだ。それ以外は何もするな」
 『博士』と名乗った男はそれだけ言って通話を切った。指定されたロッカーの中にあったのは写真だけで、予想と違い平凡な女が写っていた。しかし、『俺』に依頼してきた時点で、

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【Are you knockin’ on heaven’s door?】

【Are you knockin’ on heaven’s door?】

カーブ。ハンドルを右へ。
ヘッドライトに人影。
ブレーキ。瞬間、衝撃、音。

意識が飛びかける。引く血の気。脂汗。吐き気。

震える手でサイドブレーキを引き、ドアを開け、車を降りる。足元がおぼつかない。ふわふわのマットを歩いている気分。

スーツの、おそらく男性だ。道路に倒れて動かない。恐る恐る近寄り、声をかける。
「すいません・・・。大丈夫ですか。」
これが俺の声? 

「あの、大丈夫ですか?」

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【歌え、鳩よ、弔いの詩を】

 拳銃は意志を持つように健太の手を殴りつけ、跳ねた。幼い、狙撃には弱すぎる指で握り直す。恐怖の汗で銃把が湿った。

 弾は無論、掠りもしなかった。

 軍曹は中身が掏り盗られたホルスターに触れ、健太に目をやった。賭けポーカーをする子猫を見るような顔だ。夕陽を背負い、焦茶の皮膚は闇のように暗い。
 ふいに風を切る音がした。健太の手から拳銃が消え、指先に痺れだけが残った。
 軍曹が握るものに、健太の目

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ワンタヌキアーミー

ワンタヌキアーミー

『今何人いるクソ狸』「おれ一匹っす」
『そこに何があるクソ狸』「葉っぱしかねぇっす」
『それで軍隊を編成しろクソ狸』「無理っす」

某戦争の最前線に、化け狸が放り込まれた。

作戦はこうだ。狸のまやかしを用いて偽の軍隊を作り、攪乱を行う。荒唐無稽なミッションだ、だが成功すれば敵軍に大打撃。失敗しても損害は狸一匹。実行に移された。

問題はこの狸、自分の姿しか変えたことがないのだ。上層部はこのことを

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【小説】死体を運ぶ

【小説】死体を運ぶ

「だから、お前がとっとと金の場所を言えば済む話だ」

おれは向かいの席に座る死体屋をわざと箸で指し、低い声で言った。

「死人が金を持ってて、どうするってんだ」

「棺桶屋さんだって、もうすぐ死ぬくせに」

おれは口をへのじに結んで黙った。主治医気取りのこのヤブは、生前からたびたび余命宣告をしてくるのだ。

「ふん、適当言うな」

闇医者で、町のやくざともつながりがあり、臓器や銀歯を横流ししている

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地獄も投げ出した家にて

地獄も投げ出した家にて

 ナカモトの家の玄関は広く、すっきりとしていた。新品のスニーカーが1足だけ。起爆装置のひとつやふたつはあると思っていたのだが。
「手応えのねえ扉だな。高級エンジニアにしては防犯意識が低過ぎら」
 荒事屋のブルーザーがブッターギルン社の電ノコを止めて言った。
「仕事は楽な方がいい」おれは言った。
 売れっ子にはおれの気持ちはわかるまい。おれにはあと28時間しか残されていないのだ。それまでにナカモトか

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恋せよ乙女、さもなくば死ね

恋せよ乙女、さもなくば死ね

 命を賭けた恋、これは比喩ではない。
 この恋を成就させなければ、私は死ぬことになる、らしい。

 きっかけは軽い気持ちだった。詳細は省く。縁結びの神社にお祈りをして、呪われた。

 縁を結ぶ代償らしい。タイムリミットは3ヶ月。その間に想い人と恋仲になれなかったら、私は命を奪われる。

 そうなれば行動する以外ない。翌日、
「青山先輩!」
「ん、どうしたの?」
「今日の帰り、フルーツサンドが美味し

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カッパのハロウィン

カッパの子どもはハロウィンをとても楽しみに待っていました。

この日ばかりは大手を振って通りを歩けるのですから当然です。

準備に余念がありません。子カッパはパリッとした真新しいシーツを手でぐしゃぐしゃと皺だらけにしては、ビリビリと引き裂いて、長いヒモのようにしていきます。そしてそのシーツをぐるぐると身体に巻き付けていきました。

「お母さん!見て!」「あらあら可愛いミイラですこと」子カッパは

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