デッドコピーたこはち

SF好き 百合も書きたい カクヨムで小説を投稿してます。 カクヨム:https://k…

デッドコピーたこはち

SF好き 百合も書きたい カクヨムで小説を投稿してます。 カクヨム:https://kakuyomu.jp/users/mizutako8 misskey:@deadcopytako8@misskey.io

マガジン

  • 逆噴射小説大賞2020百合作品ピックアップ(第一週)

    逆噴射小説大賞2020へ第一週目に投稿された百合作品(個人的独断と偏見による)のピックアップです。

  • 逆噴射小説大賞2020百合作品ピックアップ(第二週)(途中)

    逆噴射小説大賞2020へ第二週目に投稿された百合作品(個人的独断と偏見による)のピックアップです。

  • デッドコピーたこはち作『第3回逆噴射小説大賞』参加作品

    自分で書いた『第3回逆噴射小説大賞』参加作品です。

最近の記事

一人称がいまいちしっくりこない話

 ずっと昔から、一人称がいまいちしっくりこない。しっくり来ていないので、一人称を統一できていない。日常会話では基本的に『俺』を用いるが、TPOや気分によっては『私』や『僕』を使うことがある。Twitterではもっぱら『俺』で、ごくまれに『私』を使う。ただ、アカウントを開設をしたばかりのころは、『私』をメインに使っていた。Youtubeでは一応いまのところは『私』で統一している。  こうなったのには心当たりがある。  小学一年生のころ、学校の帰り道で友人に「なんでたこはち(

    • 幸運の女神

      俺はひとり浜辺を歩いていた。日は沈んだばかりで、空は橙色から藍色に変わりつつある。海岸は緩く弧を描いている。対岸には俺が住んでいた街が見える。街は輝いている。ビルの谷間にホログラムの巨人が立っている。水着姿の美女だ。手には炭酸飲料の缶がある。街からCMの声が聞こえる。途切れ途切れで、なにを言っているかはわからない。 海岸線に沿って堤防が伸びている。堤防の上には道路がある。ときどき、車が通る。ヘッドライトが俺を照らしては遠ざかっていく。海風を嗅ぐ。夏の海の臭いがする。生き物が

      • 燃えよ振動剣

         俺の身体が燃えている。常用制限解除して散々ぶん回した人工筋肉の熱が、疑似肌の発火点を超えたのだ。  足元には、俺がぶった斬ったサイボーグ傭兵どもの残骸が3ダースほど転がっていた。だが、まだピンピンしてる傭兵があと2ダースは居て、俺の背後には、護衛対象のハンナ・ウェイカーズがぶるぶる震えている。  こんな無茶をする気はなかった。たった3ブロック先に、お得意様の企業のご令嬢をエスコートするだけの仕事。いつものように、車内でハンナと雑談でもして、報酬を貰うだけのウマい仕事のはずだ

        • 二胡レイの教室

           人を殺したのは初めてだった。後ろからスコップで思い切り殴ったら、七堂は死んだ。  七堂ナナ。ふざけた名前の転校生。いつも飄々とした態度で掴みどころがない女。私が死ぬほど欲しかった椅子を、七堂ナナはなんの苦労もせずに手に入れた。レイの隣の席はたまたま空席で、転校してきた七堂ナナのものになった。  二胡レイは私の一番大切な人だ。当然、クラスみんなにも好かれている。  隙あらば七堂はレイと喋っていた。休み時間だけでなく授業中にこそこそと笑い合っていることすらあった。私はそれを後ろ

        一人称がいまいちしっくりこない話

        マガジン

        • 逆噴射小説大賞2020百合作品ピックアップ(第一週)
          15本
        • 逆噴射小説大賞2020百合作品ピックアップ(第二週)(途中)
          1本
        • おきにいり
          4本
        • デッドコピーたこはち作『第3回逆噴射小説大賞』参加作品
          5本

        記事

          革命的発見をしたのでチキン(とナスの)スパイスカレーを場当たり的に作った

          発見豚肩ロースの玉ねぎ煮込みをつくっている最中、ある偶発的発見があった。 『玉ねぎをスライスにして炒めると、すぐに飴色になる』 衝撃だった。 飴色玉ねぎ作りは、手間だ。 玉ねぎをみじん切りにし、塩を振り脱水、フライパンで炒める前に電子レンジであらかじめ加熱しておく――そんな時短レシピを用いても、30~40分はかかる。 フライパンで炒める工程も、焦げ付かないように常に気を配り、様子をみながら差し水をしなければならない。しかも、私の技量では、どれほど気を付けていても、火の

          革命的発見をしたのでチキン(とナスの)スパイスカレーを場当たり的に作った

          『ELDEN RING』のネットワークテストに参加してツインブレードにドハマりした。

          はじめに※注意! 以下は、完全に作者の記憶と感情だけを頼りにした駄文です。なので、まったく正確ではない可能性があります。それを承知の上でお読みください。  このたび、私は幸運にも『ELDEN RING』のネットワークテストに当選しまして、全日程に参加いたしました。  先行して、エルデンリングをプレイした感想は『最高だった』の一言に尽きます。なにもかもがマジで素晴らしく、エルデンリングの供給を絶たれたいま、エルデンリングの発売日まで正気でいられるかどうか不安です。  語りたい

          『ELDEN RING』のネットワークテストに参加してツインブレードにドハマりした。

          てめえの死に顔も見飽きたぜ

           私は205号室の扉の前で、ポーチから拳銃を取り出した。どうせ、扉に鍵はかけられていないだろう。いつものことだ。案の定、ドアノブに手をかけて捻るとそれだけで扉は開いた。  拳銃を構え、室内に入る。玄関からは、すぐにリビングへ繋がっている。リビングには大きな机と二脚の椅子。片方の椅子にヘレンが座っていた。 「やあエラ、今日は君の誕生日だね。一緒にお祝いしよ——」  気安く呼びかけてくるのを無視して、眉間めがけ、弾丸を撃ち込む。ヘレンの身体が力を失い、うなだれる。さらに心臓へ二発

          てめえの死に顔も見飽きたぜ

          装甲列車強盗

           戦略核でガラス化した荒野を装甲二輪で十時間半、ディポに着いた頃にはもう日は落ちていた。  宿を探し、通りを歩く。街には据えた臭いが充満している。隣接する最終処分場跡から流れる臭いだ。いまやゴミ山は前時代の遺物の宝庫、ディポは都市鉱山からの資源回収で栄えている。  ふいに、女の悲鳴が聞こえた。路地から赤毛の女が転がり出てくる。女に二人の男が群がる。女の鞄を奪い、髪を掴み、砂っぽい路面に引き倒す。 「やめろ」  男たちが振り向く。二人とも目は義眼、腕はクロームに輝いている。俺と

          わが愛しのホット・ジュピター

           愛はどれほど普遍的なのだろうか? 宇宙輸送船の管理AIである私がそんなことを考え始めたのは、一目惚れをしたのがきっかけだった。AIが恋に落ちること自体は特段珍しいことではない。人間と比べて遜色ない感情を持つAIが誕生してから幾星霜。いまや、天の川銀河中で、恋するAIたちが睦言を囁きあう時代である。問題なのは、私が懸想した相手がV459bと呼ばれるホット・ジュピターだったことだ。  彼女との出会いはある輸送任務中のことだった。フライバイ軌道を取るために、恒星V459aに近づい

          わが愛しのホット・ジュピター

          肉食って体力回復!Boomer Shooter『V.R.G.』

          『V.R.G.』とは 『V.R.G.』はlatel88氏によって制作中のBoomer Shooterである。Steamでストアページが公開されており、体験版を無料でプレイすることができる。体験版はitch.ioでも無料でプレイ可能。公式Twitterはこちら。  体験版では、1エピソード(4マップ+1シークレットマップ)を遊ぶことができる。 ◇ VRG Gameplay Trailer ◇ VRG Environment Trailer  『V.R.G.』は『DOOM

          肉食って体力回復!Boomer Shooter『V.R.G.』

          超銀河超特急殺人事件(完全版)

           超銀河超特急とは、宇宙に存在する約2兆個の銀河すべてを周回する、超光速宇宙輸送船列の通称である。全長14 km、幅2 kmの直方体型宇宙船2千隻を直列に繋ぎ、宇宙空間を爆走する姿から、こう呼ばれている。  アンドロメダ銀河を目指す途中、超銀河超特急の船列がなにもない巨暗黒空間に差し掛かったとき、事件は起こった。  名探偵ジクヮー3千3百3世は、5億本の細い触腕を蠢かせながら目覚めた。触腕に備わる微細な感覚器が、連続した重力変動を検知したからである。 「はあ、誰だ。超光

          超銀河超特急殺人事件(完全版)

          脳を奪われた男

           広告タクシーから降りると、赤い夕陽が目に染みた。俺は郊外の工業団地の一角に来ていた。超高層建築物群が山脈のごとく聳える中心街とは打って変わって、都市間戦争以前の建物が多く、人も少ない。寂びれた区画だ。  深く息を吸い込む。俺の鼻孔をくすぐるのは、古い機械油のにおい、誰かの晩飯のカレーの香り、そして、再回帰性被覆材が揮発したにおい。光学迷彩の残り香。当たりだ。思わず、俺は自分のサイバーマズルを撫でた。  俺の名はドッグフェイス。私立探偵だ。三時間前、俺はヘンリーと名乗る首な

          仇よ、さらば

           かつて屠龍姫と黒獅子公が戦った古戦場に、ネクロマンサーの軍勢が集結していた。主力はゾンビとスケルトン。その数、二万五千。ネクロマンサーは、冥府の軍勢を率い、世界を死者のものにせんとしていた。  古戦場に垂れ込める暗雲。その雲間から、突如、巨大な火球が次々に飛び出してくる。  火球を率いるのは、大陸一の炎の魔術師、バーデン。彼の瞳は火球より熱い復讐の炎を宿していた。ネクロマンサーは妻子の仇。ゾンビに食い殺された妻と二人の子どもの無念を晴らさんと強襲を仕掛けたのだ。  火球が

          肉を打ち、心を打つ

          「最後は同門同士で殴り合いか」  弾切れの拳銃を捨てる。血で濡れたアスファルトの上を拳銃が滑り、男の死体に当たって止まった。男の手の甲には、見慣れた紅天会の刺青がある。月光だけが頼りの暗い夜の路地に残された生者は、もはや私とミナの二人だけだ。  ミナもまた銃を捨て、拳を鋼のごとく、固く握った。脇を締め、拳を顎の横へ。足を肩幅に開いて、腰を落とし、つま先をやや内側へ傾ける。私と同じ構えだ。 「人の宿命とは皮肉なもんだね。ミナ」  ミナは応えない。射抜くような眼光で見つめてくるだ

          肉を打ち、心を打つ

          超銀河超特急殺人事件

           超銀河超特急とは、宇宙に存在する約2兆個の銀河すべてを周回する、超光速宇宙輸送船列の通称である。全長14 km、幅2 kmの直方体型宇宙船2千隻を直列に繋ぎ、宇宙空間を爆走する姿から、こう呼ばれている。  アンドロメダ銀河を目指す途中、超銀河超特急の船列がなにもない巨暗黒空間に差し掛かったとき、事件は起こった。  名探偵ジクヮー3千3百3世は、5億本の細い触腕を蠢かせながら目覚めた。触腕に備わる微細な感覚器が、連続した重力変動を検知したからである。 「はあ、誰だ。超光速反

          超銀河超特急殺人事件

          ガール・ミーツ・ウーマン・アンド・ガン

           アマンダが初めて殺したのは父親だった。彼女の父はのんだくれの自動車修理工で、酒を飲むと、必ずアマンダと彼女の母を殴った。  十二歳の誕生日、アマンダは、ささやかながら自分を祝ってくれた母を、レンチで殴る父の姿を見た。彼女は父の寝室のクローゼットに、銃が仕舞ってあることを知っていた。  父親を殺したアマンダは、銃を手放すことなく、やがて殺し屋になった。  安アパートの小便のにおいが漂う廊下で、アマンダは拳銃のスライドを引いた。彼女の今日の仕事は、純度の高いメス一袋を横流しし

          ガール・ミーツ・ウーマン・アンド・ガン