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ハッスルカルチャーとセルフ・コンパッション:持続可能な成功への道 後編 - メンターの「あんちょこ」シリーズ #36

ハッスルカルチャーに挑む一方で、自己を労わる「セルフ・コンパッション」の重要性が見直されています。本記事では、成果を求めつつも、ストレスフリーな働き方を模索する具体的なアプローチをご紹介。

働き方や私生活の中で、自分に合った「支点」を見つけることで、持続可能な成功を手に入れるための実践的な指針を得られます。現代の激しい労働環境に疲れを感じている方々に、バランスを取り戻し、キャリアと人生を最適化するためのヒントをお届けします。


ハッスルカルチャーとセルフ・コンパッション:持続可能な成功への道






はじめに


本記事では、現代のビジネス社会において注目される「ハッスルカルチャー」と「セルフコンパッション」について掘り下げていきます。

ハッスルカルチャーは、その努力と成果を重視する働き方であり、短期的な成功を追求する姿勢が評価されることが多いです。しかし、この働き方には、精神的・肉体的な負担が伴い、燃え尽き症候群や健康問題を引き起こすリスクもあります。そのため、私はこの働き方を無条件に肯定はしていません。

それぞれの利点と課題を分析し、皆さんが自身のキャリアと人生にとって最良のバランスを見つけるための指針を解説します。


 本記事の前編



ハッスルカルチャーの定義とその影響


ハッスルカルチャーとは、常に努力し高い成果を追求し続ける働き方を意味します。

ハッスルカルチャーはしばしばワーカホリックやタイプAの性格と混同されがちですが、これらは似ている部分がありつつも、異なる点も存在します。ワーカホリックは、仕事に対する過度な依存や仕事中毒を指し、タイプAの性格は、競争心が強く、常に目標達成を追い求める傾向があります。

一方で、ハッスルカルチャーは、これらの特徴を持つこともありますが、個々の働き方の選択として評価されることが多く、必ずしも仕事に対する依存や性格特性だけに基づくものではありません。





ハッスルカルチャーと日本のビジネス社会


日本のビジネス社会では、ハッスルカルチャーが根強く、長時間労働と過度な努力が美徳とされがちです。しかし、少子化やシニア世代の活用が進む中で、次世代への影響を再考する必要があります。

安倍内閣の働き方改革では、労働環境の改善が図られたものの、現場ではまだチグハグな運用や混乱が見られ、従来の働き方が変わり切れていません。このため、労働者のストレスやバーンアウトの問題は解消されず、新たな課題も浮上しています。

前編で述べたように、シニア世代が『静かな退職』のスタイルを取ることで、若手社員との共存や協働に良い影響を与える可能性がありますが、ハッスルカルチャーが続く環境では、この共存が難しくなるリスクがあります。

過度な努力が若手社員のモチベーションを低下させる原因となり得るほか、組織の硬直化や新しい働き方への適応の遅れが懸念されます。これらの点を踏まえ、日本におけるハッスルカルチャーの持続可能性とその限界を考察していきます。



米国における変化:イーロン・マスク氏と労働市場


イーロン・マスク氏のリーダーシップスタイル

米国では、2022年にイーロン・マスク氏がTwitterを買収し、彼の強力なリーダーシップが大きな注目を集めました。「強いやつしか残したくない」というスタンスは、ハッスルカルチャーの極端な例として捉えられています。このようなリーダーシップの下では、静かな退職を選ぶ人々が適応するのは非常に困難であり、常に高い成果を求められる環境が維持されます。

米国の労働市場の変化

米国の労働者の間では、過去数年で仕事に対する姿勢が変化しています。「大退職時代」と呼ばれた時期を経て、転職意欲が低下し現在のポジションでのWLBに満足する傾向が見られます。一方、政府統計によると、転職しようとした場合は、労働需給のひっ迫や転職による昇給幅の縮小という現実に直面。この現象は、日本においても今後影響を与える可能性があり、ハッスルカルチャーへの疑問が高まる中で、静かな退職やセルフ・コンパッションの重要性が再認識されるかもしれません。





セルフ・コンパッション: ハッスルカルチャーの中での生き残り術


ハッスルカルチャーの中で生き残るためには、セルフコンパッションが重要な役割を果たします。セルフコンパッションとは、失敗や挫折に対して自分に優しく接し精神的健康を保つスキル意識的に伸ばすことができます。このスキルを実践することで、過剰なストレスを和らげ長期的なキャリアの持続可能性を高めることができます。



静かな退職とハッスルカルチャーの比較:利点と課題


パフォーマンスとチームワーク

ハッスルカルチャー:短期間で高い成果を上げる可能性が高いが、長期的には燃え尽き症候群やチームの摩擦が増すリスクがある。

静かな退職:安定したペースで業務を遂行し、長期的なパフォーマンスを維持するが、全体の方向性が不明確になるリスクがある。

②コミュニケーションと人間関係

ハッスルカルチャー:迅速な決断と即応を求めるが、コミュニケーションが混乱しやすく、人間関係にストレスが生じる可能性がある。

静かな退職:慎重で考え抜いたコミュニケーションを好むが、ハッスルカルチャーのメンバーと摩擦を生む可能性がある。


キャリア構築と持続可能性

ハッスルカルチャー:高いパフォーマンスが求められるため、キャリアアップが早いが、長期的には健康問題がリスクとなる。

静かな退職:安定した働き方で生活バランスを保ちつつ、長期的なキャリアを維持する場合があるが、昇進やスキルアップの機会が限られる場合もある。企業の文化やリーダーシップスタイルに大きく依存する

競争的で高成果を求める環境では、長期的なキャリア構築が難しいかもしれないが、バランスと安定を重視する企業文化では、静かな退職とキャリアの成長が共存する可能性がある。





ハッスルカルチャーと静かな退職が共存するチームの利点と障害


利点:

多様な視点とアプローチの共存
ハッスルカルチャーのエネルギッシュなアプローチと静かな退職の安定したアプローチが共存することで、短期的な成果と長期的な安定性を両立させることができます。

リソースのバランス
ハッスルカルチャーのメンバーが短期間で成果を上げる一方、静かな退職のメンバーが日常的な業務を安定的に遂行することで、チーム全体のバランスが取れる可能性があります。

障害

異なる価値観による摩擦
ハッスルカルチャーのメンバーは高い基準と迅速な対応を求めるため、静かな退職のメンバーとの間で摩擦が生じることがあります。

コミュニケーションのギャップ
ハッスルカルチャーのメンバーが迅速なコミュニケーションを好む一方で、静かな退職のメンバーが慎重なコミュニケーションを好むため、誤解や混乱が生じることがあります。

改善策と解決策

A. 相互理解と共感力の育成
お互いの働き方や価値観を理解し尊重する文化を育てることが重要です。

スタンフォード大学の共感研究で有名なジャミールザキ准教授の著書『共感の授業』から、共感と共感力に関する定義と育成方法を簡潔にご紹介します。
 
共感/共感力の定義:
共感とは、他者の感情や視点を理解し共有する能力のことを指します。ザキ准教授は、共感を単なる感情的な反応としてだけでなく、他者とつながるための意識的な選択と捉えています。共感力とは、このつながりを築くためのスキルであり他者の状況に対する理解と配慮をもたらす力です。
 
共感力の育成/トレーニング方法:
ザキ准教授は、共感力が固定的なものではなく、トレーニングによって向上するスキルであると述べています。その育成方法には以下のようなものがあります。
 
意図的な共感の練習
他者の立場に立って考えたり、感情を理解しようとする練習を繰り返すことで、共感力が強化されます。
 
多様な人々との交流
異なる背景や経験を持つ人々と積極的に交流することで、共感の幅が広がり、異なる視点を理解する力が高まります。
 
マインドフルネスの実践
現在の瞬間に意識を集中させることで、他者とのつながりを深め、共感力を養います。
 
これらの方法を通じて、共感力は磨かれ、個人だけでなく社会全体の調和にも貢献できるようになります。



 
B. 柔軟な目標設定と役割分担
チーム内での目標設定や役割分担を柔軟に行い、各メンバーの強みを活かすことが求められます。

C. 定期的なフィードバックとコミュニケーションの強化
定期的にフィードバックを行い、コミュニケーションを強化することで、誤解や摩擦を未然に防ぐことができます



コラム☕:ジャミール・ザキ准教授の共感力とメンタリング


ジャミール・ザキ准教授の共感力とメンタリングに関するコメント

ジャミール・ザキ准教授は、共感がメンタリングにおいて強力なツールであることを述べています。彼の研究は、共感的なメンターがメンティとの深い信頼関係を築きメンタリング関係の効果を高めることができると示しています。

ザキ准教授は、共感的なメンターがメンティのニーズや目標をよりよく理解し意味のある効果的な指導を提供できると主張しています。



結論と今後の展望


ハッスルカルチャー
静かな退職も、それぞれにメリットとデメリットが存在します。クリステンセン教授の「イノベーションオブライフ」を踏まえ、「仕事が人生の全てではない」という考えを再考し、持続可能なキャリアと私生活のバランスに重きを置くことが、将来の成功と幸福への鍵となるでしょう。

このテーマについてさらに深く探求し、実用的なアドバイスやヒント、Tipsをご提供していきたいと思います。




いかがでしたか?
次回もお楽しみに! 何かヒントやきっかけになればうれしいです。
with all of my thanks and friendship💛



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