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静かな退職入門:置かれた場所にいる+α 前編 - メンターの「あんちょこ」シリーズ #35

「静かな退職」や「ハッスルカルチャー」という相反する考え方が日本の職場でも注目されていますが、どちらも長期間続けるのは難しいもの。本記事では、それぞれの働き方がキャリアや生活にどのような影響を与えるかを詳しく解説し、皆さんが自分に適したバランスを見つける方法を考察します。一人ひとりの価値観やライフステージに合わせて、どのようにワークライフバランスを整えるか、具体的なヒントをご提供します。仕事と人生のバランスを見直すきっかけに、ぜひご覧ください。




静かな退職入門:置かれた場所にいる+α





はじめに


本記事では、現代の働き方として注目されている「静かな退職」と「ハッスルカルチャー」を取り上げます。

2つの概念は労働環境や個人のキャリア形成に異なる側面から影響を及ぼしています。私はそれぞれを理解していますが、必ずしも肯定しているわけではありません。各々の利点と課題を「クリティカルに」分析し、皆さんがご自身にとって最良の働き方を見つけるための指針を提供することを目指しています。



静かな退職の定義、起源と課題


静かな退職」は、職場で最低限の業務を遂行しつつキャリアアップや過度な労働を避ける働き方です。特に米国ではパンデミックの影響で、仕事と私生活のバランスを見直す動きが広まりましたが、このスタイルには自己保護的な側面と共に、チーム全体のパフォーマンスや士気に影響を与えるリスクも含まれています。

最低限のパフォーマンスに留まることは、個々の健康維持に役立つ一方で職場の生産性や同僚との協働に課題をもたらす可能性があります。



日本の少子高齢化とシニア世代の活用
日本の少子高齢化が進み、2070年には15~64歳の生産年齢人口が約52%まで低下する見込みとなる中、大企業を中心に定年退職の年齢引き上げや役職定年制度の廃止などシニア世代を活用する動きが広がっている状況です。これには人件費の高騰や、組織の新陳代謝の鈍化による若手社員のモチベーションが低下するといった課題もあります。

1. シニア世代の活用が進む中での価値観や働き方のギャップ

背景:
シニア世代の活用が進む一方で、彼らと若手社員との間には、価値観や働き方に関するギャップが生じることがあります。例えば、シニア社員は長年の経験をもとに、安定や既存の方法を重視する傾向が強いかもしれません。一方で、若手社員は新しいスキルやチャレンジを求める傾向があり、変化や成長に対する期待が高いことがよく見られます。

ギャップの具体例:

価値観の違い
シニア世代は、長く働き続けることで得られる安定や安心を重視し、現状を維持することが良いと考える場合が多いです。これに対し、若手社員は、キャリアの早い段階での成長やスキルアップを重視し、より積極的な役割を求める傾向があります。

働き方の違い
シニア社員は、長年培ってきたスキルや経験を活かし、効率的かつ安定した働き方を好むことがよくあります。一方で、若手社員は新しい技術や方法に挑戦し、より迅速な成果を求めることが多く、この違いが職場内で摩擦を生みがちです。

2. 「静かな退職」がギャップを埋める手段としての機能

静かな退職の役割:
静かな退職」は、シニア世代が安定した働き方を選びつつも、過度な競争やストレスから距離を置き、現状を維持する一方で、若手社員に対しては新しい挑戦を強要しない環境を提供する手段としても考えられます。

具体的な例:

シニア世代
シニア社員が「静かな退職」の選択肢を取ることで、彼らは自身の経験やスキルを活かしながらも、無理をせずに働き続けやすくなります。これにより、彼らが過剰なプレッシャーを感じることなく、安定した業務遂行ができます。

若手社員
同じ職場で働く若手社員にとっては、シニア社員が「静かな退職」を選ぶことで、キャリアを積極的に追求する余地が生まれるかもしれません。シニア社員が積極的な役割を望まない分、若手社員が新しい挑戦を受け入れる機会が増えます。

3. シニア世代の再活用と若手社員のモチベーションのバランス

バランスの重要性
企業は、シニア世代の再活用を進める中で、若手社員のモチベーションが低下しないようにバランスを取る必要があります。ここで「静かな退職」は、シニア社員がリーダーシップを持たずに、安定した業務遂行を行う一方で、若手社員が積極的なキャリアアップを追求するための余地を作る手段として機能する可能性があります。

新たなライフスタイルとしての静かな退職

シニア社員が無理をせずに長く働き続けるための選択肢として「静かな退職」を採用することで、シニア社員と若手社員が共存しやすい職場環境が作られます。

シニア社員が安定したキャリアを維持しつつ、若手社員が意欲的にキャリアアップを目指す環境が整います。結果として「静かな退職」は、シニア世代と若手社員の両者が共に満足できる新たなライフスタイルとして定着するかもしれません。





置かれた場所にいる+α


日本の職場文化では「置かれた場所で咲く」という言葉は、与えられた環境で最善を尽くし、成功を追求する態度を表しています。

一方、「静かな退職」を選ぶ人々は、あえて「咲くことを追求せず安定とセルフケアを優先するスタンスを取ります。

置かれた場所にいる」という表現に沿って、無理な競争をせず自分のペースで働くことを選択します。


置かれた場所にいる+α」は、
さらに「+αを加えて現状維持に留まらず自己ケアやセルフ・コンパッションを取り入れることで、より豊かな生活を追求できます。このアプローチはクリステンセン教授の「ジョブ理論」を活用し仕事と家庭の役割を明確にしつつバランスのとれた人生を構築する方法を示しています。


クリステンセン教授と『イノベーションオブライフ/人生そのものを ”イノベーション” する視点を提案』『ジョブ理論/顧客が特定の商品やサービスを「雇う」理由を理解するアプローチ』の詳しい説明は、👇をご参照ください。




「イノベーション・オブ・ライフ」と静かな退職の共通点と違い


静かな退職」と「イノベーションオブライフ」は、働き方や人生設計を見直すという共通のテーマを持っています。両者とも、仕事が人生の全てではないという価値観を再考し、持続可能なキャリアと生活のバランスを大切にする視点を共有しています。

しかし

静かな退職は過労を避け安定した働き方を目指すことに重点を置き、「イノベーションオブライフ」は人生を全体的に豊かにする選択を奨励しています。



コラム☕ 「働かないオジサン」と「静かな退職」の共通点と違い


共通点
どちらも、積極的なキャリアアップや業務効率化を求めず現状維持を優先する働き方を選んでいる点で共通しています。
自発的に行動を起こさない姿勢が見られ、外部からは同様の振る舞いとして捉えられることがあります。

しかし、その背景や動機には違いがあります。

相違点 
静かな退職」は、意識的に健康や生活のバランスを守るための選択であり、自己管理が根底にあります。一方、「働かないオジサン」は、年齢や職場での役割変化によるモチベーション低下が主な原因です。これらの違いを理解することは、各々の立場を正確に理解するための助けになります。





セルフ・コンパッションと静かな退職


セルフコンパッションは、失敗や挫折に対して自分に優しく接し精神的健康を保つためのスキルです。

静かな退職は、このセルフコンパッションを実践するための一手段として捉えることができ、自己批判を和らげストレスを軽減する効果があります。ハーバードビジネスレビュー(2019年5月号)でも、セルフコンパッション意識的に伸ばすことができる重要なスキルであるとされています。



メンタリングの役割


メンターは、静かな退職を選ぶ人々がセルフコンパッションを実践するためのサポート役を担います。

個々のメンティが直面している職場の課題に対して、セルフケアの方法をアドバイスしたり、バランスの取れた生活を築くための具体的なステップを共に考えることが求められます。


若手社員のミサエさんが過度な自己批判に悩んでいます。メンターはミサエさんに対し、失敗を振り返る際に自分に対して厳しくなり過ぎず、自己肯定的な視点を持つよう、その経験から学び取る姿勢を促します。さらに、メンターはミサエさんにリラックスする時間を確保するようアドバイスし、仕事と私生活のバランスを取るための具体的な方法を一緒に考えます。



ハッスルカルチャーの定義と課題


 「ハッスルカルチャー」は、常に高い成果を追求し続ける働き方を意味しますが、その一方で長時間労働や過労のリスクを伴います。この文化は、短期的には成果を上げる可能性があるものの、長期的には燃え尽き症候群や健康問題を引き起こす可能性が高いです。また、過度のプレッシャーはチームの一体感を損なうことがあります。



結論と今後の展望


静かな退職」と「ハッスルカルチャー」には、それぞれ利点と課題があります。本記事を通して、皆さんがこれらの働き方の実態を理解し、自分に合ったバランスを見つける一助になればと願っています。

次回は、ハッスルカルチャーの中でセルフ・コンパッションを実践し、持続可能な成功を達成する方法について探っていきます。激しい競争の中でも、自分自身を大切にするための具体的な手段を見つけませんか。



いかがでしたか?
次回もお楽しみに! 何かヒントやきっかけになればうれしいです。
with all of my thanks and friendship💛



参考記事

FIREに夢中だった私は、「これでは幸せになれない」と数年で悟った。その理由を共有する (msn.com)


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