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1on1ミーティングの道具箱 - 第8回 プロのメンターが1on1のヒントとコツを紹介するシリーズ 道具:話を深める①観察

声や表情の変化、しぐさなどの非言語的メッセージから相手がどう思っているか、感じているか、反応を知るために必要な「観察」のポイントをご紹介します。次のコミュニケーションのプランを立てる手がかりにもなります。

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継続的に結果を出していくには、粘り強さが必要です。
この記事を読む「3分ルーティン」を
ご一緒に続けながら現場で実践していきましょう。


「1on1ミーティングの道具箱 」シリーズ 第8回



現在地




はじめに


私たちは人生経験から
身についたよくない習慣に戻ってしまうこともしばしば。
それは自然なことであり、私を含む誰でもあること。

「1on1ミーティングの道具箱」シリーズで大切なことはこの3つです。


・失敗してもまた挑戦
・自分のペースで継続
・小さな進歩も楽しみ



第2章 ラポールを形成する



前回の #7 "Quiz & FUN"



相手のことば以外、何に目配りしますか?



この問いを考えながら自身の1on1ミーティングをふり返る。



傾聴の土台:前提となる考え方



聴き手の態度・姿勢



積極的傾聴  (Active Listening)」は米国の著名な心理学者
カール・ロジャーズに (Carl Rogers) によって提唱されました。

ロジャーズは自らがカウンセリングを行った多くの事例を分析し、
カウンセリングが有効だった事例に共通した、聴く側の3要素をあげ、
これらの人間尊重の態度に基づくカウンセリングを提唱。

来談者中心療法(クライエント中心療法)


ロジャーズの3原則

・共感的理解
相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
・無条件の肯定的関心
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定
せずに、なぜそうなったのか、その背景に肯定的な関心をもって聴く。
・自己一致
聴き手が相手に対しても、自分に対しても偽ることなく真摯な態度を保つ。
分からないことを分かったふりをしたり、放置したりしないで確認する。

「傾聴とは」〈話を「聴く」~積極的傾聴とは~〉 こころの耳(厚生労働省)



1on1ミーティングでは展開によって
メンタリング、コーチング、ティーチング、アドバイス、フィードバック
時にはカウンセリングの要素が求められます。
共通する土台は信頼関係と傾聴


「1on1ミーティングの道具箱」シリーズを構成するにあたり

どのようにすれば誰でも「積極的傾聴」を学ぶことができるのか?

本シリーズの対象である ”心理学の専門家を目指しているわけではない”
 一般のマネジャーの方たちが、1on1ミーティングのために「積極的傾聴」  を学ぶにはどのようにすればよいか?

これらの点を意識して、私自身の理論の学びと実感、現場での実践経験
から、傾聴/聴き手の「3つの態度/姿勢」をまとめました。


3つの態度/姿勢
自分らしく落ち着きと余裕を持てる
話を聞いて相手を否定したり、すぐにアドバイスせずに受け止める
話し手のものの捉え方・考え方・感じ方にそって理解しようとする


本シリーズを通して、この3つの態度/姿勢を土台にした、
対話で実践している基本的なスキルをご紹介していきます。


皆さんは
シリコンバレーでもない、従来の面談でもない、第3の
あなたの1on1ミーティングを作り、育てていくのはいかがでしょうか。


そのために、本シリーズの「ヒントとコツ」が少しでもお役に立てれば
最高にハッピーです😄 さぁ、ご一緒に10月末まで地道にまいりましょう。



「聴く姿勢」を土台に相手の話、
ストーリーを深めていくスキル ① 観察



言葉にしていない(できていない)メッセージを見つけるには?



傾聴* には「聴」という漢字が使われており、誠心誠意、集中して
相手の語りや表現を聴くことを表しています。

部下の話を聴けていますか -傾聴のすすめ- 1 傾聴の基本的態度 (1) 傾聴とは こころの耳(厚労省)
 
 
 



「聴」を分解すると ➡  、 (プラス)、 、 


傾聴とは

相手のことば(言語メッセージ)だけではなく、非言語的メッセージを
含め、五感をフル稼働して「聞く、見る、感じる」こと。第7回参照。

声や表情の変化、しぐさなど(非言語的メッセージ)から相手がどう思っているか、感じているか、反応を知るためには「観察」が必要です。


1on1ミーティングで、観察するために
相手の「今、この場」の状態、「以前」と「今」の変化を
読み取る力を伸ばしましょう。



観察の利点



感情と表情



相手の情況/状況が分かる

例:
強張った表情 ➡ 緊張している  少し前のめりの姿勢 ➡ 興味・関心がある
顔色が悪い ➡ 体調が悪い



相手の言葉にできない正直な反応が分かる

顔の表情や声のトーン、身の動きは、ことばと違って無意識的に
動かしていることが多く、相手の正直な反応が表れやすい。



次の言い方、伝え方、アプローチの策を立てる手がかりになる

自分が発した言葉に対して、相手の反応が鈍かったりしたら
「伝わっていないな」、過敏だったりしたら「気に障ってしまったかな」
ということが分かる。

言い方を変えることで、相手の理解をより深め、相手を尊重することが
できる。次に何をどのようにしたらいいのか、コミュニケーションのプランを立てる手がかりになる。



観察するには



ことばからの思考・論理だけでなく、感覚からの知覚・感性も同じく必要



観察するポイント


顔の表情、視線
声のトーン、大きさ
・話すスピード
姿勢、身体の動き、しぐさ
呼吸
相手の口ぐせ、感情表現


比較


顔の表情が暗い/明るい
視線が落ち気味/上を向いている
声が暗い/明るい
声のトーンが暗い/テンションが高い

背中を丸めて、うなだれている/背筋が伸びていて、胸を張っている
だらだらしている/集中している
呼吸が深く遅い/呼吸が浅く早い
ネガティブな言葉が多い/ポジティブな言葉が多い

コミュニケーションの基本「観察力」の鍛え方


変化


対話の一定期間の中で生じた「変化」なら、比較できるので気づきやすい。
「話し始めは緊張した表情だったが、話していたら笑顔になった」
「話すスピードが早くなった」のような変化なら、分かりやすい。


矛盾


聴き手の質問に対する話し手の応答のことばと
表情・態度との矛盾点。例)ことば:大丈夫 表情:暗い


自分(あなた)が感じていること


相手は言葉では○○と言っているが、本音は違うような気がする
表情は笑顔だが、なんとなく違和感がある
何かワケがあるような気がする



いかがでしたか?

1on1ミーティングにおいて、言語と非言語的メッセージ、両方の変化や矛盾に気づくことが話を聴く上で重要な注意点です。

もし何か違和感があれば、
「それがいったい何なのか?」を考えてみましょう。



次回、第9回では

「聴く姿勢」を土台に相手の話、ストーリーを深めていくスキル

     ② 質問の基本をご紹介します。



「1on1ミーティングの道具箱」シリーズを通して

複雑な状況をうまく処理したり、
コミュニケーション(会話/対話)を円滑に進めたりするために
一本やりではない、成熟したコミュニケーションができる「道具」を
身につけた「フレキシブルなマネジャー」を目指しましょう。



ポイント


聞く、見る、感じる ➡ 変化や矛盾に気づく



次回のテーマ



柱 2
ラポールを形成する
タイムライン
1on1ミーティング開始前
1on1ミーティングの開始から終了まで



相手の話を深めていくスキル ② 質問の基本


#8 Quiz & FUN



「相手に質問するとき、どのようなことに気をつけますか?」



次回までに考えてみましょう!



メッセージ


米国の精神科医ベラック「ヤマアラシのジレンマ」


ヤマアラシのトゲは人間にとっての心の距離。お互い傷つけ合うことも
なく、温かさを共有できる距離が、理想的な人間関係のあり方。
                 (ショーペンハウエルの寓話から)


with all of my thanks and friendship



お知らせ


「1on1ミーティングの道具箱」シリーズをお読みいただきありがとう
ございます。皆さまにお忙しい中より続けていただけやすいようにと、
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