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1on1ミーティングの道具箱 - 最終回 プロのメンターが1on1のヒントとコツを紹介するシリーズ:思いやり+?

思いやりと関心は従業員の忠誠心と信頼を高めます。その人の効率、生産性、パフォーマンスの向上も。幸福感、健康状態を高めるので企業の収益に寄与します。思いやりのあるマネジャーを目指すためのヒントをご紹介します。1on1ミーティングでもより適切に支援できるようになるでしょう。


継続的に結果を出していくには、粘り強さが必要です。
この記事を読む「3分ルーティン」を
ご一緒に続けながら現場で実践していきましょう。



「1on1ミーティングの道具箱 」シリーズ 最終回



現在地





はじめに



私たちは人生経験から身についた
よくない習慣に戻ってしまうこともしばしば。
それは自然なことであり、私を含む誰でもあること。

「1on1ミーティングの道具箱」シリーズで大切なことはこの3つです。



・失敗してもまた挑戦
・自分のペースで継続
・小さな進歩も楽しみ



全編でご紹介する道具(方法、スキル)をジム通いをするかのごとく
一つひとつ職場で実践しながら鍛えていきましょう



対話のスキルは筋肉のように日々動かす必要がある



ラポール・心理的安全性を形成する



3つの聴く態度/姿勢
自分らしく落ち着きと余裕を持てる
話を聞いて相手を否定したり、すぐにアドバイスせずに受け止める
話し手のものの捉え方・考え方・感じ方にそって理解しようとする



「1on1ミーティングのタイムライン」の全体図



参考例



部下/メンバーの成長と自律のため、「気づき」を「果実」とし
”気づかせて引き出す” 考え方、方法、スキルを主要素として構成



最終章 スキルを日々実践する



思いやり+?

                                                                                             ❕ ポイント/注意点





特にこの約3年
1on1ミーティングにおいて、マネジャーは課題解決や目標達成を初め
カウンセラーの役割も担い、部下のメンタルヘルスの不調に細やかな
配慮を示すなど、かなりの負担を背負ってきています


やり方を間違えると部下との信頼関係が損なわれるおそれがある
1on1ミーティング

本来の目的と傾聴、メンタリング/コーチング、フィードバックなど
スキルの理解や習得/実践を本シリーズ前半から継続されていますか?



思いやり



長年の諸研究で、すでに明白に示されているとおり
思いやりと関心は従業員の忠誠心と信頼を高めます。
その人の効率、生産性、パフォーマンスの向上も。
思いやりは従業員の幸福感、健康状態を高めるので企業の収益に寄与します

一方

見返りは大きいですが
思いやりのあるマネジメントをすることはほとんどのマネジャーにとって
自然にできることではありません


そこに、マネジャーにとっての難しさがあります


自身に問いかけてみましょう。
「今わたしはどのような自分(マネジャー)になりたいと思っているのか?
 わたしは自分の価値観に従って生きている(遂行している)だろうか?」



思いやりとは



思いやり相手の気持ちを理解すること
     相手の苦しみを和らげるために、自ら行動すること


共感、思いやり、同情は区別なく使われることが多い単語。
どちらも善良さや利他性を表すことばですが、全く同じ体験を
指しているわけではありません

ややこしさを避けるために違いを見てみましょうか



図 1



・あわれみ
 相手のことが単にかわいそうだと思っている

・同情
 
相手の気持ちを察する

・共感
 
相手の体験を自分のことのように理屈抜きで理解する。
 相手の感情を汲み取り、自分の感情を重ね合わせる。
 しかし
 相手の孤独感を和らげる以外、必ずしも相手を助けることには至らない



思いやり
相手が体験していることを共感よりも深く理解。
共感から一歩離れて
苦しんでいる相手を助けるために自分自身に何ができるかを自問したときに生じる感情ではなく意思なのです



マネジャー、リーダーは
共感を超えて思いやりを持つべき理由をご説明していきましょう



思いやりの重要性



共感」は優れたリーダーシップを実践する上で重要。
共感力のないマネジャーは点火プラグのないエンジンのようなもの。
チームを牽引することはできません。
部下たちとのつながり信頼関係を築くために不可欠です


ただし
度が過ぎると重荷に押しつぶされかねず問題になってしまうことも。
時としてマネジャーの判断を曇らせ賢明な決断を下す
能力を低下させる可能性
があります

このような状態を回避するカギが「思いやり」です

マネジャーはビジネスで成果を出さなければなりません。
物事の優先順位を明確にして、
人員削減などに関わる決断を下せなければなりません。
困難なことを人間らしい方法で行う能力が求められます


思いやりのあるマネジメントは単なる利他主義ではありません。
人情的な経営とは一線を画す、経営上の合理性に裏打ちされています



思いやりのあるマネジャーを目指すには



共感に囚われ過ぎないために、共感から一歩離れたからといって
人間性や優しさが失われるわけではありません。
むしろ困難な状況の中で、自分と相互依存関係にある
部下たちをいっそう適切に支援できるようになります


より思いやりのあるマネジャーを目指すために
「共感」を効果的に使う
重要な5つのポイントをご紹介します



図 2




1.

相手を助けるために「感情」の中から外に出て、
 より明瞭な視点から状況や相手を見る

感情的な距離を置くことは不親切だと感じるかもしれないが、
 これは相手の問題を解決するために問題から遠ざかっているため


2.

苦しんでいる人にとっては話を聴いてもらい、理解してもらえたと感じる
 ことが救われるための第一歩

自分を基準に他者を判断しないこと


3.

マネジャーは概して問題を片づけることが得意。しかし、困難を抱えて
 いる部下に関して言えば、多くのマネジャーに求められているのは問題を
 解決することではなく、聴く耳をもちそこにいて思いやること

問題の多くは耳を傾けてもらい、問題を認識してもらうだけで十分。
 このように「何もしないこと」が最も効果的な支援方法になるのは
 よくあること


4.

とっさに相手が抱えている問題を解決し、相手が自分の人生を通して
 学習する機会を奪ってしまうのは避ける

メンターやコーチの役割を演じ、相手が自ら答えを見つけられるよう
 導こう


5.

他者の感情をマネジメントするために自分の感情をコントロールする
 ことは負荷がかかる

マネジャーは休息や睡眠、しっかりと食事して有意義な人間関係を築く
 セルフケアを行わなければならない。自身に対し思いやりをもつこと

レジリエンス(立ち直る力)と精神的安定を維持
 



EI 感情的知性



思いやりのある優れたマネジャーを目指すには
本シリーズ第22回「EI 感情的知性」に説明されているように
心の知能(EI 感情的知性)の4つの領域を通して
どの特性もバランスよく伸ばす必要があると考えます



図 3



さらに詳しく知りたい方と
もっと共感、思いやりを育む必要がある方はぜひご参照してみてください 



「いい人」が利用され酷使されるのを防ぐ方法



いろいろな研究調査データで示されているのは
組織内で他者を助ける人の方が成功しています。
ただし
そのためには、いいように利用されるのを防ぐ戦略が必要

「人がよい」人は他者への支援に限度を設けない場合が多く、その結果
利用され酷使されてしまうからです



図 4



寛容とは他者を思いやることですが、自分自身を労わるのをやめてまで
他者のために尽くすのとはわけが違います

自分を大切にして疲弊を避ければ「犠牲を払っている」という意識は和らぐでしょう。それでいて、実際のところ、より大きな貢献ができるでしょう



***



思いやりの重要性は「学習する組織」のピーター・センゲ氏を初め
著名な学者たちや経営者たちによって優れたマネジメントの基本であると
強調されてきました。

松下幸之助氏、稲森和夫氏も …

ほとんどの研究によれば思いやりを大切にする職場では物質的な
報酬や特典よりマネジャー/リーダーの価値観誠実な姿勢
他者への親切心自己犠牲などが絆を高めると示されています。

対人リスクを恐れず、従業員が互いの弱さをさらけ出し、率直に意見を
言い合える環境は、離職率の低下やイノベーションの促進収益性や生産性の向上につながると考えられています。

しかし、これほど多様なデータ、証拠から ”表出” されていても
性別規範の表われか、効率至上主義などの古いタイプのマネジメントの
中では、まだまだ思いやりに対する理解を得るのも
実践するのも難しいかもしれません。

思いやりを示す、あるいは「思いやりの筋肉」を鍛える場と時間として
1on1ミーティングは絶好の機会
です!

私たちは人生の多くの時間を職場で過ごしているのですから、まずは
職場で隣りの席にいる人に対して始めてみてはいかがでしょうか。
             

本シリーズでは一貫してわたし自身が実践している考え方やスキル
そして経験からの内省による持論を研究者による理論と突き合わせ
「なるほど」と実感を覚えた理論をご紹介してきました。

口だけでなく、手も動かす。つまり実践者を常としています。

皆さんの有意義な1on1ミーティングの実践に少しでもヒントになり
お役に立てましたらこれ以上の喜びはありません



 いかがでしたか?



「1on1ミーティングの道具箱」シリーズをふり返りながら

複雑な状況をうまく処理したり、
コミュニケーション(会話/対話)を円滑に進めたりするために
一本やりではない、成熟したコミュニケーションができる「道具」を
身につけた「フレキシブルなマネジャー」を目指しましょう。




ポイント



思いやりのあるマネジメントは困難なことを人間らしい方法で行う能力
相互依存関係にあるマネジャーと部下の双方に利益をもたらす



感謝のメッセージ💛



「1on1ミーティングの道具箱」シリーズ 読者の皆さん 
全24回 完走おめでとうございます
🎉 & ありがとうございます💗



SPECIAL THANKS TO:

note クリエイターの Fumiさん、Katsuさん、國松禎紀さん
ご協力とエールをありがとうございます‼





My Great Mentor 👑 太田信之さん
OXYGY株式会社 代表取締役  アジア・パシフィック代表パートナー

OXYGYは「共に発見し」「共に計画し」「共に実現します」 (oxygyconsulting.jp)


Reborn Project 🌈サポーターの皆さん

Megumi さん
RYO さん
齊藤千尋さん
内田恵美子さん



ザ・ローズ  -  ベット・ミドラー(The Rose / Bette Midler)



with all of my thanks and friendship💕



お知らせ

         


新シリーズ「ビーイングマネジャー&ビーイングウェル/Being Manager & Being Well」企画中



「傾聴 Listening & Caring」 オンライン講習 アップグレード企画開発中




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