1on1ミーティングの道具箱 - 第22回 プロのメンターが1on1のヒントとコツを紹介するシリーズ:EI 感情的知性
1on1ミーティングの成功に不可欠な信頼関係と心理的安全性の形成に大きく影響を与えるEI感情的知性について簡素化されたモデルや ”いい人”?のFさんと野心家?のSさんの2つのストーリーに沿ってご説明します。優れたマネジャー/リーダーになるためEI感情的知性を高める方法のヒントをご紹介します
継続的に結果を出していくには、粘り強さが必要です。
この記事を読む「3分ルーティン」を
ご一緒に続けながら現場で実践していきましょう。
「1on1ミーティングの道具箱 」シリーズ 第22回
現在地
はじめに
私たちは人生経験から身についた
よくない習慣に戻ってしまうこともしばしば。
それは自然なことであり、私を含む誰でもあること。
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズで大切なことはこの3つです。
全編でご紹介する道具(方法、スキル)をジム通いをするかのごとく
一つひとつ職場で実践しながら鍛えていきましょう。
ラポール・心理的安全性を形成する
「1on1ミーティングのタイムライン」の全体図
最終章 スキルを日々実践する
EI 感情的知性
❕ ポイント/注意点
1on1ミーティングの成功に不可欠な信頼関係/ラポールと心理的安全性の
形成に大きく影響を与えるのが、EI 感情的知性。
分かっているようで、分かっているつもりかも…
具体的にイメージしにくく、概念自体を理解するのがなかなか難しい。
モデルと2つのストーリーをご紹介しながら
EI 感情的知性について詳しくみていきましょう。
EI 感情的知性とは
Emotional Intelligence エモーショナルインテリジェンス = EI
感情的知性 心の知能
厳密な定義として
具体的に理解するために
EIに基づくリーダーシップを提唱しているダニエル・ゴールマン氏による
EIを4つの要素に分解したモデルをご紹介します。
4領域の中には後天的に習得できる12のEI特性があります。
いかがですか?
あなたはどの領域が優れていますか?
それぞれをより具体的にイメージしやすいよう
2つのストーリーに沿って考えていきましょうか。
2つのストーリー
対照的なスタイルのFさんとSさんですが、共通している点は
ーキャリアで行き詰まりを感じているー
Fさんのストーリーから見ていきましょう。
Fさん
・Fさんの上司は一緒に仕事をしやすい部下として評価し、
本人もEI感情的知性は自分の強みの1つとして捉えていて、
この部分においては開発/強化に取り組む必要がないと思っている。
⇓
・前向きな思考の持ち主のFさんが自身のキャリアに行き詰まりを感じる
ようになった。会社から期待されるレベルの仕事ぶりを示せずにいる
ために自信を失い始めている。
Fさんと上司のEI感情的知性に対する解釈、理解は偏っている
のでしょうか?
社交性、思いやり、好感度のみに注目しており、
他の等しく重要な要素を見逃しているのでは?
Fさんが「いい人」ではなく、もっと強く、有能なマネジャーになるには?
Fさんが発揮している特性を見てみましょう。
Fさんのような親切で前向きなマネジャーに不足しがちなスキル
例えば
・部下に厳しい内容のフィードバックを提供する能力
・周囲の反発を承知で変革を進める勇気
・既存の枠組みから外れて思考できる創造性 など
これらの不足は
Fさんに高いEIがある結果ではありません。
FさんのEI特性はバランスが取れていないことを示しています。
もしFさんが
対立管理に秀でていれば他者に厳しいフィードバックをうまく与えられる。
影響を及ぼすことを意識していれば部下を導き成長を助ける一手段として
厳しい助言を与えたいと思うでしょう。
もしFさんがインスパイア型リーダーシップを伸ばしていれば、
もっとうまく変革を進めていたでしょう。
Sさん
図3、Sさんの特徴から「野心家」のように見受けられます。
野心を持つこと自体が間違っているわけではありません。
野心は目標を達成し、キャリアアップしていく原動力となり、
私たちを理想に近づけ、最善を尽くすように促します。
野心が過酷な競争や勝つことのみへのこだわりと結びつくと
問題を引き起こすことになります。
複雑な組織で長期的な成功を収めるためには、結局のところ
効果的な協働、協力が必要だからです。
Sさんは不満を他人のせいにし、チームの目標が自分の目的に役立つ
ものではない限り優先事項ではなかったので、同僚やメンバーたちは
彼を信頼しなくなり、手助けすることもなくなりました。
こうした問題はある注目度の高いプロジェクトにSさんが取り組んでいる
ときにハッキリとあらわれました。
勝つか負けるかの姿勢で対応してしまい、顧客の信頼を失ったのです。
Sさんのキャリアはこうして行き詰まりました…
Sさんは「EIは受け身になることだろう」と切り捨てていましたが、
分析的思考を活かしつつEI感情的知性を高めるには?
ヒントをご紹介していきましょう。
EI感情的知性を高めるには
1.
12の特性がどれも感情的知性の一部であると知る
自分の行動が人間関係と仕事にどのような影響を及ぼしているかについて
外からの視点を得る方法は⇓
2.
自分から見た自分と他人から見た自分の違いは何か
・EIの複数の側面を考慮に入れた360度評価を利用
要改善分野について単に概念上で理解して安心するのではなく
積極的に習慣化する
3.
コーチング
・正しい評価方法の案内
・行動観察
・行動の変革を阻んでいる思考のクセの特定
・日々のプレッシャーから好ましくない古い習慣に戻されそうになるとき
専門家/熟練者による支えはとても有益
コーチに頼ることが難しいなら、フィードバックを信頼でき、普段
どのように振る舞っているかを躊躇せず話してくれる同僚が理想的
4.
自分自身が望む目標は何か
・長期にわたる習慣を変えるときには内発的動機づけが大切
・自分の現在のEIの傾向が最終的な目標に対してどう作用するか理解する
・自分が積極的に取り組む改善分野は他者からのフィードバックと
自分自身が望む目標にとって最も重要な分野が重なる部分を選ぶ
5.
目標を達成するために、何を変えるべきか
・自分が取るべき具体的な行動を特定すると
変えたい習慣を変えることにつながる
リーダーシップの明らかな強みを多くもつ人でも、まだ向上の余地がある
EI特性について理解を深めましょう。
優れたマネジャー/リーダーになるには一連のEI特性をバランスよく伸ばす
必要があり、それを実現すれば優れた業務成果がついてきます。
もちろん、第21回「ジレンマ」
「配慮(思いやり)を示すことと成果を求めることは両立しうる」のです。
いかがでしたか?
次回、10/23 第23回
最終章 スキルを日々実践する 「メンターになろう」
マインドセット/心のあり方、考え方をご一緒に考えていきます。
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズを通して
複雑な状況をうまく処理したり、
コミュニケーション(会話/対話)を円滑に進めたりするために
一本やりではない、成熟したコミュニケーションができる「道具」を
身につけた「フレキシブルなマネジャー」を目指しましょう。
ポイント
メッセージ
「怒りや嫉妬などの感情に惑わされてはいけません。それらは体力と時間を
消耗させるだけです」
with all of my thanks and friendship
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