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Workshop『近代化と寛容』 於 国際基督教大学 2007.1.13 研究発表「<我々自身の無意識>としての「普遍化された優生主義」言表分析原資料 & 全分析過程の記述

Workshop詳細情報

ワークショップ「近代化と寛容」
於 国際基督教大学
発表者
石原明子、樫村愛子、永澤護、西谷修、萩原優騎、武者小路公秀
森葉月、森分大輔
コーディネーター 村上陽一郎(ICU COE拠点リーダー)
コメンテーター 千葉眞
主催:ICU COE内研究グループ「安全な生活環境とSTS(科学技術と社会)」
発表テーマ:<我々自身の無意識>としての「普遍化された優生主義」――「応答型文章完成法(Responsive Sentence Completion Test)」による言表分析の試み
発表内容は、上記プログラム主宰者編著論文集『近代化と寛容』(平成19年9月刊行)に収録 


分析対象(原資料-A)

1.

<b>:
遺伝子を変えることは、生まれてくる前の子どもに対し、してはならないと考える。成長するにつれて、難病などになってしまうのを防ぐという目的のみに運用されるとは考えにくいし、倫理上、問題がある。天才の集団をつくることも、戦闘の集団をつくることも、可能になりうるし、遺伝子を変えることが許認可制ならば、管理する側が大きな権力を持つ可能性が高い。人間も、他の動物も、植物も、基本的には自然に存在するのが、地球の生命体として必要なのではないかと考える。

2.

<b>:
子どもは、親の欲望に応じて存在するとは思えない。一個の別人格を持つ人間である以上、個人の遺伝子を勝手に変えること自体、許すべきではない。他にも前述のリスクがある以上、簡単に発動して良いとは思えない。また、個人の価値観なので、もっと健康だったり、背が高かったりすることが、遺伝子を変えてまで手に入れなければならないものなのか疑問である。

3.

<b>:
羊水検査の結果、遺伝子異常が見つかったので、中絶をした話を聞いたことがあるが、実際に産んだ後の負担を考えれば、否定することはできない。遺伝子異常の子供を持つ親の話を聞いたこともあるが、いちがいに負担ばかりを考えているわけではなく、子どもを持てて幸せを感じている場合もある。実際に立場になってみないことには安易に発言できないが、深刻な問題についての基準は、明確にしておかないと、ささいな事で、出産しない親が増加するような気はする。

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