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素晴らしいノート

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じっくり読みたい、忘れたくないnoteを追加させていただいています。
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23.新しいショートショート?

23.新しいショートショート?

あなたが私を好きじゃないというだけでしょうか。

でも、この話を読んで下さい。ああ、これで私はあなたと二人きりだ。

この先を読んでもらいましょう。私の心もあなたのものさ。

あなたを幸せにするために私はあなたを裏切らなければいけない。

ああ、わかってる。だけど、あなたに私の気持ちを分かってもらおうとは思ってない。

とにかく時間を潰したいだけ、あなたはそう言ってるような気がした。

私はその理

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景色が変わる瞬間【#1分マガジン】

景色が変わる瞬間【#1分マガジン】

 アパート前のバス停で毎朝一緒に並ぶ若い男。廊下で会っても会釈も挨拶も無し。服装はきちんとスーツなのに、目を合わさず通り過ぎるだけ。まあオバサンと絡みたくないのかもしれんけど。毎朝、バスを待つ時間はほんの少し憂鬱。

 ある日。降りる時に男はICカードを落とした。急いでいるのか彼は気づかず、ドンドン歩いてく。私は咄嗟に拾い上げて走った。駅の改札前で追いつき

「さっき落としましたよっ!」
と、カー

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絵描きの日記をめくって下さい

絵描きの日記をめくって下さい

ずっと産土を探している
昨日9月8日、東京都美術館での展覧が最終日を迎え、ようやく少しホッとしているところです。
その準備に加え、やりたいこと、やらねばならぬこと、やれと言われること、目白押しで、2ヶ月近くに及ぶ寝不足、不摂生。体調不良は当然といえば当然ですが、動けるということは素晴らしい!

今回発表の作品は、5点でひとつの作品になり、展示空間や気分で、並べ方を変えることができます。全体像ではあ

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【私はマドモアゼル】巨人とマドモアゼル

【私はマドモアゼル】巨人とマドモアゼル

「風情があるな、この街は。」
 巨人はこもった声で言った。
「ええ、とっても。」
 マドモアゼルは弾んだ声で返した。
「私の住んでた街とは大違い。いつだってカメラ目線、味のしないガムをしがんだような顔をしてたって、そう。それほど雑踏だったわ。夜のネオンサインを遠くから見ることが唯一の安寧。」
「シガニー・ウィーバーか。」
「あら、あなた、肩に糸くず付いてるわよ。」
「ああ、ホントだ。」
 決して届

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07.タイムリープの実装問題

07.タイムリープの実装問題

 タイムリープ(とここでは呼ぶ)という時間を超える技術の実装研究もそろそろ終盤に差し掛かっている。
「あぁー!またかー。」私は机を叩きながら頭をむしっていた。これまでの実験は昆虫から始まり、哺乳類も時間を超えて未来に送り込むことには成功している。技術は完全に安定しているのだ。ただ、これを人間に適用した際に何が問題になるかというと、服を一緒にタイムリープさせられないという重要問題。
 つまり、人間を

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難解な文章を書いてしまう私へ

「君の文章は面白いけれど,少し難解が過ぎるねえ。」
教授が私のレポートを読んでそう言った。
そうなのだ。
私の文章は謎の気取りがあり,それがレポートにはあまりにも向いていないのである。
その不向きを言葉にしてみると,「簡潔でない」という言葉ですぐに表されるようなものであろうと思う。
しかし、何も私は無理矢理難しく書いているのではなくて,私の思考の様式がそのようなものなのでそのまま書いてしまっている

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