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向かいの人 観察日記(仮) ハルミさん退職まであと・・

職場で向かいの席に座るハルミさん(もちろん仮名)は、感情表現が豊かな人だ。
わたし(石崎秋子)から見てそれはオムツのない排泄行為、「おもらし」である。

ハルミさんを観察するようで
臭いや音、表情でおもらしに気が付くと、心のおしりふきが自動反応してしまうわたしを観察する日記。

ハルミさんフィナーレ(退職)に向け、今日はハルミさん入社時のことを振り返ってみようと思う。

わたしと同僚のMさんは今の会社に10年務めている。
ハルミさんが入社したのは、わたしたちが勤めて5年程たった頃・・
Mさんが産休を取得するタイミングだった。

Mさんが休みに入る前、期間限定での採用(Mさんの復帰までという)という条件でハローワークに募集をかけていた。
でも、そういう条件で集まって来るのは高齢の方ばかり。
事務作業はPCが使えれば良いのだけれど、来客対応では階段の上下や荷物を運ぶこともあるので、お断りせざるを得なかった。

でもそうなると、一向に応募はない。
そこで仕方なく、正社員での募集に切り替えることになった。
その後すぐに応募があり採用されたのは▲さんだった。
しかし・・彼女はとにかく仕事が覚えられなかった。
同じことを何度も何度も説明する。
安心して何かを任せることができない。

わたしの会社はお客様ごとに対応を変えているところもあって、このままでは難しいかも・・と思っているところ、本人から申し出があり、使用期間内での退職となった。
そしてとうとうMさんの後任が決まらないまま、産休に突入した。

仕事は何とかひとりで回せないこともないのだけれど、わたしがいっぱいいっぱいの時、助けを求められるのは社長夫婦のみ。という状態。
しかしまぁ・・頼みずらいよね。それこそ荷物の持ち運びとか・・。
かといってPC操作はほぼできない、と言って良く・・結局何もお願いができない。
何かをしてくれようと、助けてくれようとするのだけど、そのたび1から教えるのも大変で「あとでやります」と抱えた仕事がどんどん後回しになって膨れていく。
その上、有給も取れずそろそろ限界と思っていたころに入社したのが

ハルミさんだった。

前の仕事は「先輩に無視されて仕事を教えもらえず、(確か・・)1ヶ月で辞めました」と言ったハルミさんは、当時仕事を辞めたばかり・・無職のシングルマザーだった。

「そういう酷い先輩もいるんだなぁ・・」と素直に思ったわたし。
入社当初はハルミさんの隣の席で仕事を教えた。
最初に書いた通り
わたしの会社はお客様ごとに対応を変えているところがあったり、数年前オリジナルで作った商品管理ソフトは「こんなこともできないの?」というポンコツぶり。そういう負い目もあって

ハルミさんが「もーー!何このソフトー!」と言っても
「そうだよねぇ・・ごめんねぇ・・いやでも前のよりはマシなのよ・・」と言うしかなかった。

隣に座るハルミさんは最初から感情のおもらしが激しかったし、その上当時はネガティブな独り言(ソフトの悪口やら・・)も多くて、わたしは早々にしんどくなった。
それはさすがに「ねぇねぇ家でも独り言多いの?」と聞いたほど。
電話の保留が長めで「ちょっと長いかな」と言えば「はあぁぁぁ」と大きなため息。

それでも我慢してしまったのは

前の会社での先輩からの無視
その前の職場では接客の指導係だった、と言ったこと
シングルマザー
うちの会社のシステムのポンコツぶり
うちの会社のアナログっぷり(データ化されていない曖昧な部分の多さ)
という負い目
▲さんの物覚えの悪さ、との比較
やっと来てくれた助っ人(やっと休める)

そんなことが、わたしの前にフィルターとなってぶら下がっていたからだと思う。


ハルミさん退職まであと2日。


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