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日本クスクス党 最終話
東西ふたつにわかれた日本。北アフリカからきたクスクスをきっかけに、かつての先進国たる日本が、今や些細なことでトラブルをおこすリテラシーの低い国となる。国と都との責任転嫁の末にまるで“雨の岩戸”に閉じこもった天照大神のように都の女帝は隠れてしまった。人々の同情は女帝に注がれ、反対に農家から身を興し、苦労の末に国のトップとなった小柄な老人に非難の矢が向けられた。
国民の自衛手段である“責任逃れ”。行
日本クスクス党 第五話
♪ズンダカ ズンダカ♪
サンバのリズムをBGMに、クスクス料理のフードトラックは行く。
「Give me チョコレート!」と、かつてGHQのジープに群がった飢える子供たちのごとく、クスクスで能天気・骨抜きとなった日本の人々は我先にとトラックに手を伸ばす。
その争奪戦にヒートした人々は、いとも簡単にキレて殴り合い、暴動に発展する。そのタイミングを見計らい、クスクス党幹部たちは次の手を打つ。
日本クスクス党 第四話
「はぁぁ...やっと一日が終わった。」
汗ばんだシャツは煙草の煙を吸い、朝のスタートから今日の終わりまでの疲労を、その匂いと皺が物語る。
満員電車に乗り、何の役にたつのか皆目わからぬ資料をつくり、得意先にチクりと嫌味を言われ、高層ビルの窓外に映える夕日を見ながら「こんなもんか?我が人生」と、ふと考えもする。
「あぁ、今日という日が終わってしまう。。。」
海では、今日最後の波を、余すことなく
日本クスクス党 第三話
朝の食卓。いつものようにお椀をかき混ぜる父。
父「母さん、やはり納豆はクスクスにはあわないなぁ。」
母「あら、仕方ないじゃない。みんなそうしてるんだから。」
父「まったく・・・。」ひとりごとのように呟きながら、憤りを紛らわすかのようにテレビをつけ、朝のニュースを流す。
“昨夜、屋根裏で米を栽培していた男が逮捕されました。取り調べによると、「自分で食べるために作った」と供述していますが、警察
日本クスクス党 第二話
“ザザッ、、、!”
砂ぼこりを巻き上げ、1ミリでも遠くへと伸ばされた足の跡を、スタッフが計測する。
その場にいるスタッフも選手も、テレビで観戦する数万人も、そして誰よりも選手本人が、数時間にも感じられる時と時の間を「これを“時間”と呼ぶのだな・・・」などと他愛もないことを感じながら固唾を飲んで見守る。
ライバル選手達には“非情”ともいえるその数字が電光掲示板に表示されたとき、周囲から嗚咽にも
日本クスクス党 前編
出口の見えないウィルス禍、オリンピックを強行しようとする政府・IOC・組織委員会。どっちつかずの対応に奔走し、疲れ切った末に弱みを見せる政府やお偉い方。国民の「NO!」の声は暴発し、遂には神にすがる者すら出てきた。
これをチャンスと与党を責め立てる野党。さじを投げる与党。混乱の真っただ中、ついに「解散総選挙」が行われる。
与党はおろか、既存の野党をも信用できない国民は、まったく新しいインパクト