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#ポエム

夜明けのうちに

夜明けのうちに

薄暗い霧
近づいてみれば

幸せの扉が
そこにありました

扉を開けば

その中には
青空が広がって

心は晴れるよう

扉をゆけば

真っ逆さまに
落ちました

どこまでも落ちました

そして体は沈んでく
深い海

息が苦しいよ
目を開くと

ひどい夢を見た
午前5時

この日常で良かった
そう思った朝

空想世界に生きている

空想世界に生きている

愛しい僕の心臓を、この手で握りつぶした
美しさとか何とか
僕に取り込まれる栄養でしかない

静寂に狂わされている
騒音に生かされている
そんな事実は知りたくなかった

全ては説明できてしまう
そのうち纏まって本屋に並ぶ

空白に耐えられないから
夢、ゆめ、夢

聞こえない声が聞こえる
誰かが僕を犯している
僕が罪を犯している音がする
ナイフを突き立てたくせに
被害者ヅラして血を見て泣いて吐いている

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神話詩「暁」

神話詩「暁」

 「暁」

 藍色の空を塗り替える罪

 夜の女神に恨まれぬよう

 平穏な無の去り際を

 誰も惜しむことのないように

 わたしはわたしを祓うため 飾り立て

 世界の始まりに沐浴をする

 まず目を覚ましたのは深海のクジラ

 風が騒いで 遠く白波が沸き立つ

 くすぐられ はだけていく 白い衣

 繰り返される羞恥の染みに

 雪雲のパフを撫でつけられて

 逆上せた 息吹が漏れて広がり

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真夏のような

真夏のような

高い空へ
上がる入道雲

暑い太陽が
命を照りつける

蝉の声
鶯の鳴き声

顔には汗が
流れてて

水筒の湧き水を
飲んだら

真夏のような
命の喜び感じてる

全身で

いまほかに
何も求めない

思い出話

思い出話

夕刻の峰々が

少年時代の記憶の
ふるさとに

重なり見える夏の空

暑い日
遊び終えた帰り道

夕涼みの子守歌

歌う祖父の
微笑みと

共に聞く孫たちの
赤ほっぺ

茜の峰々に
穏やかな日々が蘇る

今日の草むらの
帰り道

何度も振り返る
茜の峰々を

少年の夏の思い出を

季重ね

季重ね

晩春のころと
初夏のころ

ふたつの季節が重なって

たんぽぽが
綿毛になったとき

初夏の風が吹き

綿毛と一緒に
春をさらっていくんだよ

れんげの花が咲く上を
綿毛が飛んでゆく空へと

来る夏は
みんな見てるけど

去る春は
誰も見ていない

それが悲しいから

私は綿毛のゆく空を
見ていようと思う

夢花びら

夢花びら

静かな月夜
川辺の花が

風に揺られて
散りました

花びらたちは
光る水面に浮かび

星空に見守られ
遠くの国へ

流れてゆきます

きれいな幸せのある
あの国へ

その向こうの
遥かな国へと導かれ

花びらたちは
無垢な命に清められ

静かな光になる

初夏の夜
月の夜に舞う

夢うつつな蛍は
いつかの花びらたち

谷の朝

谷の朝

渓谷の中
静かな石の上に
座って

森の声が来るのを
待っている

小さな喜びに
生きたい
生きていることを
感じたい

翔ける風
運んでくるその声に
命は喜ぶ

石の上の静かな私

いま森とともに
呼吸している

真夏日

真夏日

風が止んだ世界で
獣になっている
その異質さが酷く美しい

記号や方程式じゃなく
君の心音が知りたい

心に染まった
奥の奥、そこにある
歪んだ音が聞きたい
滝のような情熱を

空気が太陽に吸い込まれ無色透明
それと僕は混じり合えなかった
零れ落ちる豊かさは
僕の体温を奪っていく
木々が鳴らす不可解は
弦楽器のようだ
吹き飛ばせた透明な無限を思い出す
こびりついて離れない夢の夢

タイムロス

タイムロス

それなりに必死だったかな
それ以上に適当だったかな
自分を認めるために
他人の言葉を欲しがって
自分を守るために
他人の心をバカにして
若くもないのに青二才
喜寿でもないのに老ぼれて
爪やら髭やら伸びるのが
生きてる証左と鏡越し
目が合う手前の呆れ顔

おいおいお前さん
少しは真面目に生きてみろ
それとも何か今更お前
見捨てた夢でも拾うのか
それならそれで構わんが
無駄と徒労に明け暮れた
唯一無二

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運命共同体

運命共同体

明日の事など門外漢
今日の結果と知れば良し

初めて会った日の事を
変わらぬまんま覚えてる

先の事など言いたかない
けれど言葉が其処に在る

触れ合う時間のゆらぎには
覚える事が増えて行き

連なる日々の散漫に
生きてる事を思い出す

細かい事は気にしない
それも含めて約束だ

遠くて近くに在るものを
愛しい想いが連れて来る

容易いくらい当たり前
それが波間の砂粒だ

飾りひとつも無くて良い

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夢のち祈り

夢のち祈り

求めた向こうに
光はある

叶わぬ夢は星になる

そんな夢の数だけ
夜空の星は光る

今日もひとつ
夢が星になります

夕日が沈み

幻想的な山の端が
浮かぶころ

農夫の子供が
一番星を探して

祖父母の幸せを
祈るころに

乱視

乱視

見上げる月は分離して
並行世界の夢を見る
愛する人の傍で
何処かの僕も生きていて

羨みよりも祝福を
互いの直ぐなる想いさえ
綺麗事だと説き伏せる
僕の性根はオポジション

力になりたい気もすれば
助けて欲しいと仰いだり
声無き声の存在に
僕の情緒はミーイズム

見るもの全てが分離して
不安を心の依代に
うんざりしながら愛してる
此方の僕も生きていて

環境保護

環境保護

空が病んでいる
簡単なことさ

物質的なことに
夢中になって

みんなが空を
見上げなくなったから

それだけの話さ

瞳に映る空を
見つめている心

空を眺めて
心を満たしてゆけば

この空はきっと
本当の空へと蘇る

そう信じているよ