和泉とし

福島県会津地方在住。気候危機、地球環境、自然の大切さ、自然との繋がり、命の循環、自然と…

和泉とし

福島県会津地方在住。気候危機、地球環境、自然の大切さ、自然との繋がり、命の循環、自然と生きる心の豊かさ、人と地球が共に生きるための環境文学をテーマにした詩を書いてます。

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最近の記事

【環境文学】長い線

私はこの森にいて 小さな沢に素足で立って 流れの先を思ってる 滝になり せせらぎになり 流れる 流れる 森の向こうの空の下で 森を抜けていく その先のことは わからないけど 幾重の流れが重なり 大きな川になり いくつもの都市を流れて 長い長い時間をかけて たどり着くのだ 遥かな海 森から海まで 繋がっている長い線 素足で沢の流れを受けとめると 心が洗われる どこまで心が 清らかになったら感じよう その海まで続く 長い線が そして命の繋がり

    • 【環境文学】千里眼

      私はとても目がいいの 天の川銀河の星々や 遠いアンドロメダ銀河の渦巻きも 眺めて楽しめるほどに このとてもいい目で どこかにあるという幸せを 私は探してみよう この広い世界中を 隅から隅の 遠く、遠くの世界まで探したら どんな素敵な 幸せが見えるのでしょう よーく探して よーく見つめていたら 見えたのは 見えたのは 何でもない私の後ろ姿 私は何をしてるのでしょう 地面の草花も見てないで

      • 【環境文学】夏祭りの夜

        子供のころに踊った 温泉街の盆踊り あれから どれぐらい経っただろう 大人になって来てみた 温泉街の盆踊り 踊ってみたら懐かしい たくさんの提灯が 蛍のように 夏祭りの夜をほのかに演出する 踊りの輪に見つけた 浴衣姿で踊る女性 子供のころ この温泉街で遊んだ娘だ いまはすっかり大人になったけど どこか面影がある 懐かしいな、子供のころ あの娘は いまどうしてるのだろう 踊りの輪は流れる 夜も深まる 星が夏の夜空に輝くころ やぐら太鼓が 早く激しくリズムを叩く 踊り

        • 【環境文学】行雲流水

          流れる水よ 行き先がどこなんて きっと どうでもいいのだろう 早い流れのときは 風になって 滝を落ちるときは 龍になって 湖にあるときは 天を映す鏡になって ただそのときどきを 楽しんで どこに向かうなんてのは 考えないのさ そして海になり いづれ空を流れる雲になる 流れる雲よ 行き先なんて きっと どうでもいいんだろう 陸を渡るときは 羊になって 海を渡るときには 鯨になって その瞬間を楽しんで風渡る どこに行くのか そんなことは考えない そしてやがて雨に

        【環境文学】長い線

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        • 詩の始まり
          1本

        記事

          【環境文学】太古の海

          ポケットに 貝の化石を入れて 来てみたい場所があった そこは鬱蒼とした森 この森は 1000万年前 太古の海だった 真夏の太陽が 森を強く照らしつける 太古の時代 ここはダイカイギュウやクジラが 悠然と泳ぐ海 ポケットの貝の化石を 握りしめると 不思議な感覚になる 空が海のように青く深まり 流れる雲が ダイカイギュウやクジラに 見えた 真夏の太陽が 天の水面に 優しく揺れるような気がした ヒグラシの声は クジラの遠い鳴き声 命を育んだ ここは太古の海 ずっと貝

          【環境文学】太古の海

          【環境文学】遥か高く

          高い山に登りたい 雲が届く そのところまで ずっと高いところから 下を眺めれば 私は空になれるもの どんなに心は清らかで 悩みなんてない 魔法の世界 そんな空 高い山に登りたい 宇宙ロケットに乗ってみたい そして宇宙へ 飛び出して この地球を見てみたい そして宇宙から 地球を眺めてみれば 私は本当を知るでしょう 青い地球は 美しい 人間同士が争ったり 奪い合うことが 馬鹿らしくなるほどに 美しい 地球を見てみたい 本当の 本当のことが知りたいから

          【環境文学】遥か高く

          【環境文学】自然服従

          青いブナの葉が 散ったなら それは悲しい気持ちになる オレンジ色の ブナの葉が散ったなら それはきれいな景色です なぜ人は そう思うのでしょう いまある夏の 青いブナの葉よ いまはどうか散らないで どうか秋が深まるときに 風に連れられて 舞っておくれ そして冬を越え 春になったら 若葉が芽吹く 自然の営みは 自然のままがいいと思う 不思議 人はなぜ 自然な営みが美しいと 感じるのでしょう 自然な営みであってほしいと 願うのでしょう

          【環境文学】自然服従

          【環境文学】廃線跡地

          廃線跡地は いまは桜並木になっている その中に ひっそりと 展示されてる古いSL SLは見ている 満開の桜並木を 桜を楽しむ 人々の幸せな笑みを SLは楽しんでいる 子供たちがSLのまわりで 鬼ごっこして 遊ぶ姿を SLは振り返っている かつて走っていたときの景色と 乗客たちの姿 活気ある路線の姿を SLは思い出している 最後の運行の日 みんなが駅で見送ったこと 別れを惜しんだ その姿を 淡い夢の中 遠くから 寂しくも聞こえてきた 踏み切りの音 廃線跡地は

          【環境文学】廃線跡地

          【環境文学】100年の対話

          この浜辺から眺める この景色は 100年前の あなたが見てたものと きっと同じ 海も島も そして空も 鳶がくるくるまわるのも 波の飛沫が 風に溶けた潮の匂いも きっと同じ 100年前の あなたに会いたくて 私はこの浜辺で ずっとあなたの詩を読んでる 言葉の中に優しさを思う あなたの詩を この景色を ありのままに受けとめれば ただ生かされている 弱い自分 そんな感覚さえ ふと思う静かなさざ波 少しあなたに会えた そんな気がした 貝殻を拾ってポケットに入れる 波の飛沫

          【環境文学】100年の対話

          【環境文学】波の橋立

          右は静かな湖 左は波しぶき立つ海 その中に 海と湖を隔ててる 細く伸びる松の小径 青い空に ぽっかり浮かぶ まるで飛行機雲のような 湖と海の間に浮ぶ 細い松の小径 潮風が吹く中 吹く中 飛行機雲を歩くように その小径を歩いてく たどり着きたい明日 未来は 信じる道を 進んでいくという思いを その小径に重ねて歩く ただまっすぐに でも心のどこかで 迷っていて 『本当に』と問えば 『本当だよ』と こだまが返ってくる まっすぐな その松の小径から 私の心へ 右は静かな湖

          【環境文学】波の橋立

          【環境文学】心の旅

          あの娘の街とも お別れのとき 私は汽車に乗り込んで 思い出を振り返る 朝日の美しさ 美味しい食べ物 数々のあの娘の詩 そして夕日を 毎日のように 海に沈む夕日を 愛おしむように 見ていた さざ波は遠いささやき あの娘のお墓に手を合わせ ありがとうの気持ちを 静かに祈る 汽車は幾重もの 山を越え 街を越えて 長い時間を駆け抜けて 車窓の景色が 私のふるさとになる そんな 車窓から 飛行機雲が見えた あの娘の空まで 繋がっているような 手を伸ばしても 届かない飛行機雲

          【環境文学】心の旅

          【環境文学】漆黒の森

          沢の源流 夕日は落ち 深い森を飲み込んだ漆黒 ライトもないから 前も見えない 森のどこかで獣の鳴き声 沢の流れを歩く この先に道がある それだけはわかる 早く道に出たい 漆黒の闇を 泳ぐように歩いてく 時計の針が 不規則に動きそうな 混沌とした感覚に 吸い込まれそうな瞬間 ふと足を止めて 見上げた夜空には リズムを奏でる無数の星 この世界が 音楽でできていることを 語るかのような 夜空のオーケストラ 漆黒の闇だから知れた 深い感動 そして 銀河の魚になったように 歌

          【環境文学】漆黒の森

          【環境文学】魚の夕焼け

          浜辺の夕日 鳶とろとろまわってる おじさんは釣りをして 私は夕日を見てる 魚が飛び跳ねる 銀の鱗が キラキラ 夕日に光った 魚よ なぜに飛び跳ねる 釣りのおじさんが見てるのに おじさんは釣りを終えたよう 私に話しかけてきて そして浜の向こうに歩いてく 私はおじさんの 後ろ姿を見送った そして振り向き 夕日を見てみたら 真っ赤な空と 真っ赤な海が広がる夕焼け 波の音 風 潮の匂い 魚は自由に飛び跳ねる 魚は生きることを 喜び 飛んでいたんだ 鳶もとろとろまわって

          【環境文学】魚の夕焼け

          【環境文学】人新世の風

          今月の世界平均気温も 史上最高を更新 この暑い春風にも 人新世の風は吹いてる 小惑星が地球に衝突した あの太古の時代ほどの 人新世という 現代の大量絶滅時代 その人新世の風が大切な地球の命を 根こそぎさらっていく 地球から滅んでいった 幾千の 幾億の命が 人新世の風に流れていく そんな風は 誰にも見えてはいないから それが悲しくて だから私はたんぽぽの綿毛を この暑い春風に飛ばした 滅びゆく命はここにいる 私たちはここにいる そう風に描いてみる ささやかながら

          【環境文学】人新世の風

          【環境文学】鼓動と衝動

          時間の鼓動が 心地いい リズムを刻んでる 後ろを振り返れば 茜の空に ゆっくりと沈んでいく 大きな夕日 うつ向けば 影がずっと伸びていく どこに伸びるのだろう きっと夜へと 何もない平凡な日常 家に帰る人々 夕日はゆっくり沈むのに 人々は急ぐ 夕日が沈んでく 鼓動と衝動 無音の世界に向かっている 昼が夜になる 鼓動と衝動 感じてるのは 急がない人だけ そして影は伸びて 伸びてく そして薄くなり 消えてゆく

          【環境文学】鼓動と衝動

          【環境文学】魚のお花見

          風が吹けば 桜吹雪が ふわっと舞って流れてく 池にはたくさんの 桜の花びらが 花盛りに浮かんでます 今年も桜は終わりねと 寂しい気持ちになってしまう でも、散った桜は残念と 思っているのは人のこと 魚は何を思うでしょう 浮かんだ満開の桜を見て お花見していることでしょう 温かな陽だまり 魚がお花見してるとこ 私もほとりで眺めてる

          【環境文学】魚のお花見