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過保護?甘やかし?発達障害の「できない」について葛藤の末に考えついたこと
1.3日間悩んだ相談支援専門員さんの言葉
「自立に向けての第一歩です。本人から電話をするようにしてください。」
相談員さん(正式名称:相談支援専門員)のこの言葉を聞いた時から、発達障害の息子の母である私の葛藤が始まりました。
息子は事業所(就労継続型支援B型事業所)を変わることになりました。
新たに通おうかと思う所に見学のアポイントをとる電話、それを息子本人がしたほうがいいと……
定型発達の(発達障害ではない)人であれば、当然のことです。
もう20代も後半にもなって親が代わりに電話するなんて、「普通に」考えると異常です!キモ~イ!です。
しかし聞こえた声(音)の整理がうまくいかない息子にとって、電話、特に見ず知らずの相手の声(音)だけをたよりに話すことは、
そう簡単ではありません。息子にとっては地獄にでも行くような気持になるくらいの辛さらしいです。
私は3日悩みました。
「息子に辛い思いをさせるのは親としても苦しいけど、私が死んだらどうなるの?練習させねば!それに就活の時は自分でアポイントとって面接に行くことができていたし、就職の経験もあることはある。頑張ればできるはずや!」
私は本人に電話させることに決めました。
2.息子が電話でアポイントをとった結果
息子は私の提案に対し、苦しがりながらも同意しました。
本人も何とか克服したいという気持ちはあるのです。そして自分の部屋に入ってスマホから電話をしました。
私は息子に頼まれて隣の部屋でドアを開けたまま待機しました。
よほど困ったらいつでも代われるように・・・
数分後息子の部屋のドアが開きました。
「日にちと時間は伝えられたと思う。相手も確認で復唱してこられた。」
でも...「何日と復唱されたのかは憶えていないから不安やわ!」
結局私が確認の電話を入れ、その時は間違いなくアポイントが取れておりました。
実は息子の「忘れた」は少しニュアンスが違っています。
相手の声(音)を脳が瞬時に処理して整理ができないので、引き出しのどこかには入っているかもわかりませんが、うまく出せないでいます。
ですので結果として「忘れた」「憶えていない」となってしまうのです。
私は最近になってわかりましたが、これも発達障害の症状の一つです。
息子は目の前に言うべきことのメモを置いて、その通りに話しました。
相手の言葉の意味はもちろん理解できるのですが、言われたことを瞬時にまとめられません。ですので、メモとりができません。
繰り返しになりますが、聴いた言葉を脳でうまく処理して整理することができないのです。一旦聞き入れるのですが、その後のアウトプットが苦手というより、できないに近い感じがします。
私は息子の様子を見ていてある疑問がわいてきました。
「脳の処理機能が問題なのに、練習すれば本当に改善できるの?」
3.精神科でわかったこと
ちょうど電話の件があった次の日が、精神科の受診日でした。
「電話をかけただけでも凄いことですよ!それだけでも十分頑張られました。」と、医師からの言葉がありました。
その後の臨床心理士さんとの話の中でわかったことを箇条書きにします。
①息子の聴覚の問題については、練習で慣れていけるようなものではない。
(就活の際は後で確認のメールが来たので、何とかなっただけ。
職場では結局何ともならなかったので、やめざるを得なかった。)
②なるべく視覚中心の伝達方法をとるようにする。
③やむを得ず聴覚伝達する場合は、サポートをお願いするのが必須。
その際にサポートを誰にどうやってお願いするのか決めておく。
重要なのはサポートしてもらうことを卑下しないこと。
④できない事を知っていくのも必要。これは劣等感を更新させる(息子の言い方)のではない。できない理由を掘り下げて考えていき、そこから対策を考えることができる。
4.今後の取り組みについて
精神科医師、臨床心理士、相談支援専門員、就労継続型支援B型事業所で
サポートのネットワーク作りをし、支援の輪を広げていただくことが目標です。
そのためにまず、相談支援専門員さんに精神科で出た「心理検査結果表」を提示しながら、息子の状態を説明するところから始めようと思います。
5.息子本人の思いはどこに
これからどう生きていきたいのか息子に尋ねてみました。
「ただ心穏やかに過ごしたいだけ。それだけでいい。」
その気持ちを尊重してやりたいと思います。
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