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【社内報の作り方】コーナー企画は数が命?

 さて今回は難題の企画の出し方。コーナー企画と、特集企画とでは少し方法論が違いますので、今回はコーナー企画の作り方(その一端ですが…)をご紹介します。

アイデア=企画ではない

 企画=アイデアだと思っている人が驚くほど多いですが、そうではありません。企画とは、①誰に伝えないといけないか(who)、②何を伝えないといけないか(what)、③いつ伝えるべきか(when)、④どこで伝えるべきか(where)、⑤どう伝えるべきか(how)のいわゆる5W1Hから成り立っています。このうち、④どこで(where)は、社内報という前提なので、残り4要素を考えるべきなのですが、そのうちアイデアが必要なのは⑤のhowのみで、かつその中にもある種の方法論があり、アイデアが本当に必要なのは、ごくわずかです。ただし、このごくわずかなアイデアがとてつもない輝きを持つことはありますが、日常業務で行っていくには、このアイデア依存、いわば「ひらめき頼り」は危険すぎます。

Who 誰向け?
 まず①whoを考えます。営業部か?製造部か?内務部門か?などの部署単位もあれば、新入社員か?若手か?中堅か?ベテランか?管理職か?などのキャリアでくくる場合もあります。優秀か、意識が高いか、独身者か、単身者かなど属性は様々です。まずは誰に届けたい内容かを決めましょう。ここでは仮に新人の営業マンとします。

What 何を伝える?
 次に何を伝えるか。つまりテーマを決めるということです。新人向けという前提なら不安解消か、憧れ醸成が基本でしょう。ノウハウを伝えたり、経験を伝えたり。またコーナー企画を毎号の連載企画と捉えるなら、連載に耐えられるだけネタが豊富でないといけません。ここでは仮に営業ノウハウを伝えることにしましょう。

when いつ伝えるか?
 では新人に営業ノウハウを伝えるタイミングは?今回はコーナー企画、定番企画と捉えれば、ここは考えなくて良いでしょう。但し毎回のテーマは新人が入社し、研修し、現場に出るまでの流れやタイミングに沿った展開になるよう考えなければなりません。仮に7月で、初めて先輩に営業同行するというタイミングであれば、7月号はお客様との商談前の雑談をテーマに設定します。

how どう伝えるか?
 新人向けに、営業ノウハウを伝える企画で、7月号のテーマは「雑談」。ここまで見るとほぼ企画は出来上がっているように思います。しかし、ここからが、表現の世界です。先輩社員にアンケートを募って、どんな雑談をしているかの事例を集めて表現する。外部の伝説の営業マンみたいな人に登場いただき、その極意を伝授してもらう。心理学者、落語家、ホストの視点でレクチャーいただく。逆に失敗談を例示する。そこに表現におけるテクニックが加わります。マンガで見せる。インタビューで見せる。メッセージで見せる。動画で見せる・・・。どの見せ方が面白いのか、効果的なのか。無数にある選択肢から直感的に面白いと思うもの、例えばホストにインタビューしてもらう企画、を選び取る力は、それこそアイデアの世界です。しかし、この文章を読むと、howに行きついた時点で、おおよそ企画が決まっており、そこから先も考える道筋が見えたと思います。つまり、アイデアは最後に必要なエッセンスであり、日常の業務はそこまで多くのアイデアに頼らなくても進めることができるのです。

とにかく数を出すこと

 とはいえ、アイデアが思いつかないので、いつも同じような企画になるという人もいるでしょう。そんなあなたにお伝えしたいのが、アイデアをひねり出すという発想です。そのためには、数を出すことが大切です。そして自分自身でつまらないと思わず、とにかく「タイトル」を、紙に書きだすことです。PC上ではなく、紙に書いたほうがよいです。すると変なタイトル同士が、意外なところで結びつき、自分自身が思ってもみなかったアイデアの形になることがあります。アイデアは純粋に0から生じることはありません。既存のアイデア同士の新たな組み合わせによって成立するものです。例えば「ホストに聞く雑談力」、「あるある雑談時の失敗」、「雑談の金言」など羅列して書いていくと、ホスト×失敗、ホスト×あるある、ホスト×金言=ローランド=俺か、俺以外か=カリスマ?・・・と連想で、新たアイデアが生まれる「予感」がありますね。この「予感」を大切に手繰っていくと、ビッグアイデアへ結びつけられるでしょう。これがひねり出すということです。コーナー企画は編集者の腕の見せ所です。ぜひ楽しみながら企画をひねり出してください。

今回の一冊

宣伝会議編
「SKAT」

 2003年に宣伝会議コピーライター養成講座大阪教室に通っていました。あまり金の鉛筆はもらえなかったけど、ここで学んだことは一生の宝です。そして受講生なら誰しもが挑戦する宣伝会議賞。当時は手書きでの応募で、数を出すのが大変。それでも100案ほど作成し、1次審査通過が1本、2次審査通過が1本と、結果すべて予選落ちでしたが、儚く散った夢の足跡が掲載されているのが、この前年から始まったSKATです。1次審査通過以上の全応募作が掲載されており、自分では思いつかなかったアイデアの残骸が膨大に収録されています。そうか、この発想があったか・・・。悔しがるなら、才能を恨むなら、とにかく数を出せ、ひねりだせ。読み返すたびに、そういわれている気がする青春の一冊です。

社内報の作り方|創刊編 各記事はこちら

VOL.01 発行目的を決めよう
VOL.02 コンセプトって、どう決めるの?
VOL.03 媒体を考える
VOL.04 ルールを決める編集方針
VOL.05 デザインを決めよう
VOL.06 経営計画盛り込めていますか?
VOL.07 ページネーションを決めよう
VOL.08 コーナー企画は数が命?
VOL.09 協力者はいますか?
VOL.10 アウトソーシング①
VOL.11 アウトソーシング②
VOL.12 アウトソーシング③
最終回 誰が決めるの問題

Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。