Connecting the Books

青山大輔(あおやま・だいすけ)。1982年2月19日大阪府吹田市出身。佐川印刷株式会社…

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青山大輔(あおやま・だいすけ)。1982年2月19日大阪府吹田市出身。佐川印刷株式会社 クリエイティブディレクター。専門は社内報編集。経団連推薦社内報総合賞ほか受賞。そのた各種会報誌などの編集や創刊、ネーミングを担当。東京在住。尊敬する人は川久保玲。ビールが好き!

マガジン

  • 社内報の作り方|実践編

    社内報制作に携わることになった全ての人に

  • 5選コラム

    どんなテーマも5選とブックレビューをお届けするコラムです。

  • 麦酒夜話

    うれしい日も悲しい日も悔しい日も、思い出のそばにはいつも黄金色に輝く一杯がありました。 毎回読み切りの不定期連載。今宵、ビールのつまみにエッセイはいかがでしょう。

  • 社内報の作り方|創刊編

    社内報担当者の皆さんにお届けする作り方ガイドです。創刊するまでにやるべきこと、考えるべき道筋が示せるよう、出来るだけ丁寧にお伝えしていきます。

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Connecting the Booksについて

アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ。彼がスタンフォード大学の卒業式辞で話した「Connecting The Dots」は、人生においてどのような経験が、どう生かされるかわからない、という人生の冒険性について触れた名言です。この言葉を思い出すたび、勇気づけられます。 読書もまたしかり。 何かを企画しないといけない場面で、まさかあの時の、あの1冊が、ここで生きるとは、という経験はこれまで幾度となくありました。 Connecting the Booksでは、これまで培

    • 【社内報の作り方】他人の面白いには合わせられない

      読み手はどんなことに興味があるんだろう。読者アンケートなどで探り出して、人気のコンテンツを検証する…。一見大切そうなことのように思いますが、これで果たして面白いものができるのでしょうか。今回はマーケティングに頼らない、企画立案の大切さをお伝えします。 マーケティングデータとは常識のこと 物事は客観的に。こんなことを社会人になるとよく言われます。周りがどう感じるか、配慮すべきが社会人の基本ではありますが、企画の世界では決してそんなことはありません。マーケティングから得られる

      • 【社内報の作り方】不祥事が起きたら

         あんまり想定したくないですが、会社では不祥事の起こることがあり、しかも経営側のそれということもあります。こういったとき、社内報はどういうスタンスを取れば良いのでしょう。読者目線から考えてみます。 社員の心情は… 経営側の不祥事に社員が抱く感情は2つです。1つは怒り。普段偉そうにしてるくせに、という感情はほぼ全員が抱きます。もう1つは不安。会社が潰れないだろうか。社会的信用の失墜は、同時に社員の失望を抱かせます。こういう場合、新聞なら批判的な記事を展開すればいいですが、ほ

        • 【社内報の作り方】顔!

          社内報、読まれてないなら辞めよっかとはなりません。これは校長先生が、生徒の前で話し続けるのと同じです。どうせ出すなら、やっぱり読んでもらえる内容に。その最も簡単な指標が、実は顔です。 社内報は、飲み会!? 社内報編集者が忘れがちなのは、配られる側だったときの気持ち。社内報って、配られる側は案外楽しみにしているものです。では何が楽しみなのか。それは誰が出ているかです。同期、同じ部署、隣の部署。普段仕事でかかわった人の、意外な姿が見られたとき、飲み会で話したときと同じような発見

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        • 社内報の作り方|実践編
          11本
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        • 麦酒夜話
          8本
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          13本

        記事

          【社内報の作り方】NG集

          社内報を自由に編集している、と思われても実はNG事項があります。逆に言うと、このNGさえ避ければ、あとは自由に作ってもいいということです。自由に社内報を編集したい言う人は、このNG集を必ず抑えるようにしましょう。 NG1 経営方針に沿わない 「利益重視で、売り上げは追わない。」もしこういった経営方針があり、それに疑問を持っていたとしても、この方針に沿わないことは掲載してはいけません。社内報はあくまで経営伝達ツールであり、編集者が会社を論評したり、批判したりする場所ではありま

          【社内報の作り方】NG集

          【社内報の作り方】紙の魅力

          世の中、なんでもDX。でもその本来の意味を分かっていない人も多く、DXデジタル化=紙媒体は時代遅れという発想が根底にあるように思います。しかし、情報を伝達する手段として「紙媒体」がいまだに支持される背景には、それなりの魅力があるからです。今回は改めて紙媒体の魅力を考えたいと思います。 電源不要の無料のデバイス 紙媒体は、CDやレコードと同じく「フィジカル」であり、「プロダクト」です。ではどういったプロダクトかというと、電源が不要なデバイスで、かつ軽量で、大画面です。社内報の

          【社内報の作り方】紙の魅力

          【社内報の作り方】それ誘導尋問です

          コメント取りをしていて、こちらの思い通りに話してもらえないってことが多いと思います。でも考えてみてください。あなたが考えていることを相手が話すなら、そもそもコメントなんてとらなくていいのです。でも多くの編集者は「誘導尋問」で記事を作りがちです。今回は、誘導尋問から考える社内報取材のテクニックを考えたいと思います。 欲しい答えがあるから・・・ 例えば、成績優秀者にコメントをもらうとき「来年も受賞できるよう頑張ります」みたいな前向きなコメントを期待して話を聞くと思います。しかし

          【社内報の作り方】それ誘導尋問です

          【麦酒夜話】第八夜 ブロムレイサウス

           目覚めたら3時だった。陽はまだ遠く、空は薄い紫で覆われている。向こう側で聴き慣れないサイレンの音がする。ここはイギリス・ロンドン近郊ブロムレイサウス。時差ボケの青年は、ホームステイ先へ無事にたどり着けた事実を反芻していた。  関空からシャルルドゴール空港への長い空の旅の後、ヒースローへ乗り継いだ。到着したのは夕方で、その1時間少しのエールフランスの機中、バゲットが出たことにお国柄を感じ驚いた。ヒースロー空港は、関空やドゴール空港と違って無骨で古びている。迎えに来てくださっ

          【麦酒夜話】第八夜 ブロムレイサウス

          視点発見!社会見学的な本5選

           いよいよGW。日ごろなかなかできない読書でもして、ゆっくり過ごしませんか。ということで、新旧問わず、新たな視点が得られるような「社会見学的」な本を5冊選びました。いわゆるビジネス本ではないジャンルからご案内します。 1冊目 ピーター・スコットモーガン著 NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来  イギリス人の科学者が、身体の自由が失われていく難病に罹ったことを知る。身体が動くうちに、自身のサイボーグ化に取り組もうとするのだが…。まるでSFのようなこの

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          【麦酒夜話】第七夜 渡せなかった創刊号

           履歴書は思い切って個性的に。趣味はいっそ「空想」としてしまえ。就職氷河期の最後の世代にとって、5月を過ぎるとヤケクソだ。当時は大学3年の10月に就活が解禁され、4月ごろには大手は内定を出し終わっている。そして6月を最後に求人がガクッと減る…。  マンションの郵便受けにDMが入っていった。印刷会社の求人で職種にコピーライターとある。とりあえず受けてみるか。肩肘張らず面接に臨み、志望理由も家から近いからと答え、これまでの面接セオリーを無視し、正直に話した。それが奏功したのか、

          【麦酒夜話】第七夜 渡せなかった創刊号

          【麦酒夜話】第六夜 メコンデルタの誘惑

          (第5夜 ホーチミンの警告からの続き)  オップは、翌朝ホテルの前で早くから待っていたようだ。私たちを見つけるなり、早く行こうと声を掛けてくる。ミトーまでの道のりは1時間ほど。高速道路らしい道を、ヘルメットもなく2人乗りで走る。時速は110kmほど出ていた。舗装はされているけれど、ところどころ砂が散らばっている。そのたびに急減速するから生きた心地がしない。こけたら最後。そう何度も心の中で叫んでいた。そんな心配をよそに、何事もなかったかのように、メコンデルタの町ミトーに到着。橋

          【麦酒夜話】第六夜 メコンデルタの誘惑

          【麦酒夜話】第五夜 ホーチミンの警告

           東南アジアらしさが残る最後の国ベトナム。こんなキャッチコピーに惹かれ大学4年の卒業旅行に、友人のTくんとホーチミンへ行くことにした。彼は高校時代の友人で、ロンドン、パリ、上海を旅行した仲だ。本来であればお互いそれなりに予算をかけてヨーロッパにでも行きたかったのだけれど、残念な懐事情で早々に断念。しかし、せっかくなので面白そうな近場の国を探したところ、前述のキャッチコピーに出会った。  なんでも上海より物価が安いらしい。当時の上海の物価は、日本の5分の1から10分の1。それ

          【麦酒夜話】第五夜 ホーチミンの警告

          【麦酒夜話】第四夜 駆け出し

           15年近く前、一度だけ訪れた中目黒のダイニングバーがある。おしゃれで、味もよく、今でも行きたい店なのだけれど、苦い思い出が蘇り、結局足が向かない。春の終わり、梅雨前の、心地いい日の出来事。新聞広告を見て愕然とした。自分のアイデアがパクられていたのだ。  パクられたのは3回目だった。よくもこう悪行が横行しているものだ。駆け出しの青年コピーライターにはショックが大きかった。1回目はパクった本人からパクらせてもらったよと、申告があった。有名クリエイターで、パクったといっても、着

          【麦酒夜話】第四夜 駆け出し

          【麦酒夜話】第三夜 飲めなかったワンパイント

           文句の多い人は、どこの組織にも一人はいる。クラスにも、バイト先にも、サークルにも。同僚にも一人いた。内務部門のJさんだ。  会社には締め日というものがあって、経理処理が集中するのだけれど、それがためにJさんは毎月同じように不機嫌になる。こちらが提出した書類を受け取らない、受け取っても一言文句を言う。なぜこんなタイミングなのだ。寝かせていたのではないか。先月も同じ話をした。今月は特にひどいのではないか。文句を言われる私も締め日は忙しく、いちいち付き合っていられない。しかし、

          【麦酒夜話】第三夜 飲めなかったワンパイント

          【麦酒夜話】第二夜 金沢のおでん

           婚前旅行は、親には内緒。そんな奥ゆかしい奥さんが彼女だった最後の夏、2人で金沢へ行った。楽しみは、できて間もない21世紀美術館。中でもレアンドロ・エルリッヒのスイミング・プールは、雑誌やテレビで何度も見ており、そこで写真を撮ることが、旅の目的になっていた。到着したその足で向かい、アニッシュ・カプーアのL'Origine du mondeに圧倒された。兼六園、浅野川、ひがし茶屋町、近江町市場。美味い寿司を食い、昼間っからビールを飲んだ。  宿は素泊まりだったため、夜は食事に

          【麦酒夜話】第二夜 金沢のおでん

          【麦酒夜話】第一夜 春の鮨

           春から部署を任されることになった。若かったからか謙遜もなく、新年度は楽しみでしかない。現場の業務も大部分を部下に任せられるようになり、もっぱら新規受注のことだけに集中しようと思っていた。今よりもエネルギッシュで、怖いもの知らず。喧嘩っ早く、疲れもなかった。そんな出鼻をまさかひとりの新入社員に挫かれようとは。 専門卒の20歳で入社してきた彼女は、前任の部署長が面接で採用した、いわば置き土産だ。ケラケラと笑い、物怖じしない。無理に髪を黒くしているようで、押し付けられた清楚さは

          【麦酒夜話】第一夜 春の鮨