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【社内報の作り方】協力者はいますか?

社内報は、社内報担当者だけで作ることはできません。重要なのは、協力者の存在です。今回は、社内、社外の両方にどういうネットワークを築けばよいのかをお伝えします。

部署代表、地域代表を決める

 まずは社内組織から。この肝は、社内の情報収集です。対外的なニュースは、リリースを担当する広報部がもっとも握っていますが、このリリースの焼き直しだけで社内報は作れません。そこで各部署に「編集委員」と呼ばれる部署の代表者を決め、編集委員会を組織するようにしましょう。この編集委員には、①部署内の情報提供 ②掲載内容の確認 ③取材調整の窓口 を役割として担っていただきます。もう一つは、各支社、支店など地域ごとの情報提供を行ってくれる「通信員」も決めましょう。社内報は本社主導で作りがちですが、案外その情報を心待ちにしているのは、情報が少ない地方支店です。それだけに地方の話が入っていないと、がっかりしてしまい、モチベーションを下げてしまいます。こうしたことを防ぐ意味でも、地方拠点には通信員を設けるようにしましょう。

取材は協力者づくりのチャンス

 上記が公式な協力組織であるのに対し、非公式な協力者も必要です。例えば、社内報取材で地方に行った際、取材に協力してくれた一般社員。技術力に優れた工場長。最前線の営業マン。こうした人とは、取材以外でなかなか出会うことがなく、打ち解けることもありません。しかし取材は、そのあと校正のやり取りなど継続してある一定期間仕事をするので、絆が生まれやすいものです。また社内報に登場するのは気恥ずかしいけれど、記念になるうれしい出来事です。こうした前向きなマインドを持つ方々は、真摯に協力してくださいます。企画に行き詰ったとき、誌面にマンネリを感じたとき、ぜひ相談してみてください。つまり取材は協力者づくりのチャンスなのです。

他社社内報担当者とのパイプも

 社内報担当者が社外と接点を持つ機会は、あまり多くありません。しかも少人数で担当している関係もあって、社内に同じ悩みを共有できる存在もなく、「本当にこんな方法でよいのか?」と自問自答しがちです。そんな時頼りになるのは、他社の社内報担当者の存在。営業現場と違い、利害関係なくお付き合いできる貴重な存在です。こうしたネットワークは、社内報担当者向けのセミナー、表彰式などに積極参加することで構築することができます。会社によっては広報部同士社内報交換をしているケースもあります。
 また別の方法としては他社を社内報取材するという手もあります。例えば「他社に学ぶ〇〇〇〇〇」という企画を立て、毎回様々な会社に取材協力を依頼するというものです。そこで協力いただくのはきっと広報部で、場合によっては先方の社内報担当者にニュースネタとして逆取材されることもあるでしょう。そこで仲良くなってしまうのも有効な手段です。このほか、SNSを活用するのも良いでしょう。

制作会社を見極める

 最後に社外の協力者の作り方です。たいていの場合、デザインレイアウトは制作会社にお願いすることになります。場合によっては編集からお願いするケースもあるでしょう。信頼できる制作会社があるのであれば、そこにお願いするのがベストです。しかし、特にそうした接点がない場合は、コンペを開催するのが良いでしょう。2社以上に声がけし、それぞれ案を競わせて、よりしっくりくる提案を持ってきた会社をパートナーに選ぶのが一般的です。但し、見た目のデザインだけに惑わされないように。考え方、過去の実績、体制、費用、などしっかり検討しましょう。コンペの開き方については、次回の記事で紹介します。

 社内報は担当者だけで作るのではなく、どれだけ多くの人を巻き込めるかが勝負です。一人で悩まず、相談できる相手をできるだけ多く確保しましょう。

今回の一冊

高野秀行著
「イスラム飲酒紀行」

 イスラム教は、酒を禁じています。なのに、酒がある???酒を求める著者の、イスラム教国での珍道中。その執念はどこから?とも思える一方、意外にこっそり飲んでる人も多いという驚愕の事実に触れることのできる貴重な体験ルポです。この本が教えてくれるのは、情報提供してくれる地元の協力者たちの偉大さ。人は一人で生きていけるのではない!酒・・・、いや協力者の支えあってこそ!と実感できる一冊です。それにしても著者高野氏の行動力には、いつも驚かされます。クレイジージャーニーが好きだった人にもおすすめです。

社内報の作り方|創刊編 各記事はこちら

VOL.01 発行目的を決めよう
VOL.02 コンセプトって、どう決めるの?
VOL.03 媒体を考える
VOL.04 ルールを決める編集方針
VOL.05 デザインを決めよう
VOL.06 経営計画盛り込めていますか?
VOL.07 ページネーションを決めよう
VOL.08 コーナー企画は数が命?
VOL.09 協力者はいますか?
VOL.10 アウトソーシング①
VOL.11 アウトソーシング②
VOL.12 アウトソーシング③
最終回 誰が決めるの問題

Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。